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さらなるAIの活用へ 「AGI」について徹底解説!

掲載日:2024/02/20

さらなるAIの活用へ 「AGI」について徹底解説!

AI技術は日々進化し、仕事や生活に浸透してきた。そのような中、あと数年あれば人間と同様に思考し、感情を理解する人口知能であるAGI(Artificial General Intelligence/汎用人工知能)に注目が集まっている。現在のAIに代わってあらゆるタスクをこなすだろうと予測されているAGIだが、従来型のAIとの違いはどこにあるのだろうか。

AGI(汎用人工知能)とは

AGI(Artificial General Intelligence)は、AIの一種。人間と同様に思考してあらゆる作業を理解・学習・実行できると言われており、従来の特化型AIと区別してAGIを「強いAI」、特化型AIを「弱いAI」と呼ぶこともある。

特化型AIは、特定の分野において人間が指示したことを実行するに留まる。それに対してAGIは、幅広い範囲において独自に学習し問題解決をする能力を持つようになるという。AGIは自らの経験から学習して新たな情報を蓄積することで、AGI自身で進化できる。独自の判断や意思決定までできるだろう。

AGIについて初めて研究が行われたのは、2009年、中国の厦門大学で開催された夏期講習だった。その後ブルガリアの大学でのAGIの専門課程設置を経て、2018年にマサチューセッツ工科大学(MIT)でAGIの専門課程が設置された。2022年にDeepMind社が発表した汎用システム「Gato (DeepMind)」、2023年にOpenAI社が発表した「GPT-4」(GPT-3の後継)などが記憶に新しく、AGIの実現は現実味を帯びてきている。

AGIは、AI分野での最終的な目標であると考えられている。生成AIに関するメディア運営などを行ってきた株式会社WEELは、AGIの到来にどこまで近づいているかを示す「AGI終末時計」をリリースした。イーロン・マスクやサム・アルトマンの発言などを元にAGIの誕生を2027年と仮定し、カウントダウンを続けている。

AGIに期待できること

AGIにできることは、現在AIが目指していることの延長線上にあると考えられるが、自ら学習するAGIは、特化型AI以上に速いスピードで進化していくことだろう。AGIに関してさまざまな臆測がある中で、以下のようなことがAGIによって実現できるだろうと予測されている。

自動運転の実現

アメリカの非営利団体SAE(Society of Automotive Engineers)により、自動運転は「レベル0:自動運転化なし」から「レベル5:完全自動運転」の6段階に定義されている。

日本では2023年4月1日の改正道路交通法で、レベル4(過疎地域や高速道路など特定の要件を満たす場合にドライバー不要でシステムによって自動運転可能)まで解禁になった。現在は場所や条件を問わずシステムが完全に運転するレベル5には至っていないが、AGIの実現によってレベル5が解禁になる可能性は高い。

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医療分野でのパーソナライズ

ゲノム(生物のもつ遺伝子=遺伝情報)は個人によって異なり、これを特定することで病気の予防につながる。一部の難病やがんなどでのゲノム医療は、既に臨床で実用化されているが、AGIで詳細なゲノム情報が解析できるようになると、より個人に合った治療や予防に役立てられるため、さらなる医療の発展が期待できる。

マーケティングやサービス向上

あらゆるデータを利用して、個人レベルでの需要に合った製品や情報を今よりも正確に届けることが可能になる。またAGIは顧客の感情レベルまで情報を把握できると言われているため、現在のチャットボットよりはるかにきめの細かいフォローができる。

大量のデータ分析やクリエイティブ

AIによりビッグデータ分析は可能になったが、AGIではさらに多くのデータを素早く正確に分析することが可能になり、研究への貢献が期待されている。また音楽やイラストレーション、コピーワークなどクリエイティブな分野も例外でなく、AGIが人間より精密で柔軟なものを創り出す可能性すらある。

AGIは人間の仕事を奪うのか

現状ではまだ人間の行う業務の大半はAIに取って代わられることはないが、AIの進化やAGIの実現によって、人間を超える分野が増えることは間違いない。実際に、ルーティンで行う工場の製造ライン業務や事務業務、CMやショート動画に用いる音楽や個性を問わないイラストレーションの制作などは、徐々にAIにその場を奪われつつある。

しかし、AGIが業務の大半を担ったとしても人間が完全に業務に関わらなくなることはない。ハード・ソフトを用いるため故障する場合はあるし、その場合人間はAGIを実施する機械などの監視・管理・メンテナンスを行うことになるだろう。

また、いくらAGIが自己学習を行うといっても、新しい業務分野を生み出すことや倫理面に配慮することは難しいだろう。AIやAGIに職を奪われることを恐れるのではなく、うまく活用できるように新しい技術の進化をしっかりと見守り、企画していく力が必要だろう。