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Bricsys Conference 2024レポート

掲載日:2024/02/27

Bricsys Conference 2024レポート

1月23~25日の3日間、ベルギーの古都ゲントでBricsys Conference 2024が開催された。旧市街の歴史的建造物で開催されたイベントには、リセラーや開発パートナー、ユーザーなどが参加。BricsCAD製品のワークフローや開発ビジョン、製品ポジショニングに関するセッションが行われた。本記事では、今回行われた講演の内容を一部紹介していく。

基調講演 ~Bricsys CEO ラーフル・ケージュリワール~

Bricsysの歴史は、過去40年にわたりCAD市場をリードしてきた大企業を相手に、優れた戦略と洞察力で対抗してきた歴史と言うことができます。ライバルに対抗するうえで常に大切にしてきたのが「信頼」です。

「信頼」のための取り組み

創業以来、ユーザーの皆様に信頼いただけるテクノロジーパートナーであることを常に目指してきました。そのための取り組みは、大きく三つに分けることができます。

一つはより優れた技術や機能、セキュリティをより柔軟なライセンス体系で提供するという観点です。また、二つ目は技術を最優先に考え、先行投資を積極的に行ってきた点です。2DCADから事業を始めた私たちは、3Dモデリングエンジンの開発、BIM、機械設計などへの対応を積極的に推進しています。三つめは、積極的な再投資による業容拡大です。Bricsysのチーム規模は過去6年間で4倍に拡大し、その50%がR&Dに充てられました。この比率は、競合するテクノロジー企業の一般的なR&D支出の3倍に相当します。

Survivability

先日、日本における顧客にこう尋ねられました。「我々は、全社の設計プラットフォームをBricsCADに移行しようとしています。そこで懸念するのは貴社のsurvivabilityです。あなたはそれをどう保証しますか?」

問いの答えとしてまず挙げられるのは、我々のビジネスが確実に利益を生み、これまで資金不足を理由に解雇した従業員はいないという事実です。また、私たちは世界的なテクノロジー大手企業の傘下に加わっています。資本と技術的リソースの両面で私たちの企業経営に大きな安定性を与えています。さらに、20年の歴史で培われたテクノロジーパートナーの強力なエコシステムの存在も我々のsurvivabilityを保証するものの一つです。新たな技術パートナーを探す企業にとって、BricsCADが正しい選択であることを確信しています。

プレゼンテーション
~VP、Sale and Marketingパトリック・ウィリアムズ~

市場におけるBricsCADの強みについて皆様にお伝えしたいと思います。まず一つ目は、既存環境からの移行の容易さです。顧客の生産性を向上させ、成功へ導くためには、既存環境からの移行の容易さが不可欠です。パフォーマンスやライセンスの柔軟性を追求するBricsCADは、生産性向上に加え、ライセンスコスト削減の機会を提供します。

ライセンスの柔軟性に関連して、日本の顧客の事例を紹介します。同社は現在、100人ほどのユーザーがBricsCAD製品を利用していますが、利用実態に応じてライセンスを使い分けることで600万ドル近いライセンスコストの圧縮を実現しています。

二つ目のポイントは、効率的かつ予測可能な設計業務を支援する高度なAI機能の存在です。BricsCADは7年以上前からAI機能を実装し、現在は生成AIによる意匠デザイン支援の実現に向けた取り組みも進行中です。三つ目は.dwgファイル形式の2D、3D、BIM、メカニカルの各データに一つのソフトウェアで対応する点です。最後にコスト面のメリットです。BricsCADは競合製品と比較して安価ですが、パフォーマンスは決して劣りません。BricsCADを試用したユーザーの多くが利用を継続する第一の理由でもあります。

BricsCADは、過去10年間で実に700%の成長を達成しました。多くの顧客が求める、より柔軟なライセンス体系を提供するベンダーとして、今後も確実に成長を続けていきます。

プレゼンテーション
~Executive Product Managerドン・ストリンブ~

主にワークフローの観点からBricsCADの特長をお話ししたいと思います。BricsCADの強みとしてまず挙げられるのは、コンセプト立案から図面作成に至るプロセスの短縮化です。また、ライセンスの柔軟性も重要なポイントです。BricsCADの柔軟で公平な仕組みであれば、CADライセンスに費やしていた費用を別の領域に振り向けることが可能になります。さらにCADデータのデファクトスタンダードである.dwgへの対応による高度なデータセキュリティも注目いただきたいポイントです。

しかし多くの企業にBricsCADが選ばれる背景には、もう一つの大きな理由があります。それは2Dデータから3Dデータの互換性の高さです。BricsCADユーザーの9割以上が2D設計を行っている状況を受け、最も迅速で最も互換性が高い2D図面作成プロセスの提供を目指しています。

互換性の観点では、描画ベースのCAD製品として最も高度な.dwg形式との互換性をすでに実現していますが、さらに2Dから3Dへの最も直感的な経路、3Dから2Dの主要な戻り経路になることを目指しています。

一連の移行プロセスで注目したいのは、3Dによる干渉チェック機能の活用です。干渉チェックによる生産性の向上は3D設計のメリットの一つですが、BricsCADでは3Dに移行して干渉チェックを行い、再び2Dに移行して図面を出力するというワークフローをスムーズに行うことが可能です。

また、さまざまな業界標準ソフトウェアからCADデータを抽出し、再利用できることもBricsCADの特長の一つです。例えば『Communicator for BricsCAD』を使用して、他のシステムからCADデータを『BricsCAD Ultimate』にインポート。データをネイティブとして再利用し、2D図面とドキュメントを作成することが可能になります。

業務プロセスの短縮化、ライセンスの柔軟性、そしてスムーズな2D、3Dの移行の実現は、どれも生産性向上に直結します。我々のプロダクトは特に2Dをベースに事業を行う企業において大きな役割を果たすと考えています。