IoT・AI

IoTシステムの改題解決へ エッジコンピューティングに注目!

掲載日:2024/04/23

IoTシステムの改題解決へ エッジコンピューティングに注目!

日本が超高齢化社会を迎えることで、雇用や福祉など多方面へ影響を及ぼすであろう「2025年問題」が目の前に迫り、AIやIoTを用いた労働者不足の解決が望まれている。しかし、IoTシステムの構築にはデータ通信容量や運用管理の業務負担などさまざまな課題が残されている。その解決策として注目されているのが、エッジコンピューティングだ。

IoTのシステム構成

まずはIoTシステムの構成要素を知ろう。システムごとに構成は異なるが、最低限必要なものとして以下のものが挙げられる。

IoTゲートウェイ

IoTデバイスが収集したデータをIoTサーバーに送信したり、IoTサーバーからの情報をIoTデバイスに中継処理したりする。

IoTサーバー

収集したデータをクラウド上に蓄積・保管して、加工・分析を行う。

IoTにおけるエッジコンピューティングの役割

IoTデバイスから収集した全てのデータをIoTサーバーで保管、処理しようとすると、通信データ量が増大することで通信速度の低下や通信コストの増加を招いてしまう。また、蓄積するデータ量が大きくなると、IoTサーバーで全て保管・処理するのは物理的にもコスト的にも限界がある。

こういった課題を解決するために導入されるようになったのがエッジコンピューティングだ。「エッジ」とはネットワークユーザー側の「端・周縁」を指し、処理を行うという意味を表す。ゲートウェイ機能や負荷分散、リアルタイムでの応答性を担っている。

ゲートウェイ機能

IoTデバイスとIoTサーバー間のデータ送受信の中継を担い、データを集約して送信タイミングを調整する。基本的には無加工のデータをそのままIoTサーバーに送るのが役割だが、無駄なデータやノイズをフィルタリングしてトラフィック量を減らしたり、データ加工までエッジコンピューティングで行ったりもできる。

負荷分散

ソフトウェアの処理が高度化し、マイクロコンピューターが高性能になることで、エッジコンピューティングの処理能力は向上する。従来IoTサーバーで担っていた処理を分担することで負荷を軽減しており、データが分散することによってセキュリティも向上する。

リアルタイムでの応答性

IoTサーバーとのデータの通信が増大すると、遅延が生じる。しかし、エッジコンピューティングを導入することでリアルタイム処理が可能になる。

エッジコンピューティングのデメリット

このように、IoTシステムにエッジコンピューティングを導入するメリットは大きいが、導入コストやランニングコストがかかることに注意しなければならない。

また、運用管理がエッジコンピューティングの導入によって煩雑になる可能性も否定できない。エッジコンピューティングの管理下には大量のデバイスが存在する場合もあるため、エッジコンピューティングを利用する際には効率的な仕組みをつくることも重要になる。

AI活用でも期待できるエッジコンピューティング

製造業で活用できる予知保全や不良品の検知、スマート農業、物流業界での在庫管理をはじめ、あらゆる分野でAIが利活用されるようになった。それに伴い、データのトラフィックが増えたりデータを処理するサーバーの負荷が高くなったりしている。

その解決策としても、エッジコンピューティングの導入が進む。この目的はIoTと同様に、AIサーバーの負荷やネットワークのデータ量を減らすこと、セキュリティリスクを低減することにある。万が一、データセンターやクラウドがダウンしても、エッジコンピューティングで処理を行っていれば巻き込まれる心配もない。

話題となっている自動運転でも即時にデータを処理する必要があり、エッジコンピューティングとの連携が期待される。その他、エンターテインメントでのVR、医療機関での遠隔治療・手術など、エッジコンピューティングの活用場面は今後一層増えていくことが考えられる。