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生成AIで実現する業務効率化

掲載日:2024/04/30

生成AIで実現する業務効率化

「生成AI」という検索ワードでニュース記事をリサーチしてみると、数時間間隔で最新ニュースが配信されていることが分かる。それだけ生成AIの動きが活発なのだろう。ニュースの中には生成AIのビジネス活用に関するものも少なくない。今回は生成AIの概要とともに、生成AIの活用事例などを見ていこう。

生成AIのビジネス利用における注意点

対話形式で自然なテキストを生成する『ChatGPT』が有名な生成AIだが、その特長の一つがコンテンツの生成スピードだ。生成AIの種類にもよるが、プロンプトと呼ばれる指示・質問を入力して数秒〜数分程度でコンテンツが生成される。そのスピードは人間が作成するよりもはるかに速いだろう。

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生成AIをビジネスで活用する際は、特に入力した機密情報の流出や生成物の正誤に注意したい。機密情報が生成AIに学習データとして取り込まれると、第三者に機密情報が漏れてしまうリスクが生じるほか、生成AIによる生成物が必ず正しい内容のデータであるとは限らないからだ。

実際に生成AIを使う行政機関では、ガイドラインを策定して機密性の高い情報の入力や職員が確認していない生成AIの回答の利用を禁止事項に設けている。

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生成AIが業務効率化に役立つ?

前述のとおり、生成AIは驚異的なスピードでコンテンツを生成する。そのため生成AIでコンテンツのたたき台を生成し、それを人の手で手直しするなどして業務を効率化することが期待できる。

オンラインスクールを運営するとある企業では、顧客からの問い合わせ対応に生成AIを活用したソリューションを利用している。毎日Webから約30~50件寄せられる問い合わせの返信文を生成AIで生成し、その文章を参考にスタッフが正式な返信文を作成している。さらに返信文の添削にも生成AIソリューションを利用しており、返信を担当するチームでは月約69時間の業務時間を削減したという。

生成AIビジネス活用事例

それでは、具体的な生成AIのビジネス活用事例を見ていこう。

行政機関内での業務効率化

とある行政機関では、メールや答弁書などのたたき台作成や議事録の要約・論点整理、企画立案のアイデア出し、関数・VBAなどのコード生成などで生成AIを活用している。なお、同行政機関が生成AIを本格活用する前に行った検証によると、対象職員の25%から「1日あたりの業務時間が平均1時間以上短縮された」という回答が得られた。

飲料メーカーCMへのAIタレント起用

大手飲料メーカーでは、生成AIで作成したAIタレントをテレビCMに起用。同メーカーが定義するテーマに近いタレント像を選定し、さらにデザイナーやクリエイターによって微調整を加えたうえで起用された。実際のタレントとは異なり、スケジュール調整が不要なほか、タレントの私生活から生じるイメージダウンなどのリスクがない点もメリットだ。

生成AIを活用した教育サービス事業

とある教育サービスを提供する企業は、生成AIを活用したサービスの提供を開始した。同サービスの一部機能には生成AIが利用されており、サービス受講者はチャット形式で質問できる。仮に入力内容が単語レベルであっても適切な解説にたどり着ける仕様で、同サービスで解決できない場合はアドバイザーによる回答が得られる。

AI元年と呼ばれる盛り上がりを見せた2023年だが、2024年もAIの話題には事欠かない。民間だけでなく行政機関でも活用が浸透しておりさらなる発展が予想されるが、その一方でハードルの高さを感じるビジネスパーソンも少なくないかもしれない。ベンダーとしては生成AIのメリットとともに注意点も伝えつつ、状況に応じた適切なソリューションを提案できる準備をしておきたい。