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AI時代に必要とされるデータストレージとは

掲載日:2024/04/30

AI時代に必要とされるデータストレージとは

フォーチュン・ビジネス・インサイトの発表によると、世界のデータストレージ市場規模は2024年現在で約2,000億ドルだが2032年には約8,000億ドルに成長する見込みで、この成長の要因としてAIの発達によるデータ量の上昇が挙げられている。そこで、AIがデータストレージのニーズにどのような影響を与えるのかを紹介していく。

膨大なデータ量に対応できるストレージが求められている

世界では常にデータが生成・消費されている。調査会社のIDC Japan株式会社が発表した資料によると、2010年の段階では世界の総データ量が約2ゼタバイト(1ゼタバイト=1兆ギガバイト)だったのに対し、2017年には約26ゼタバイトに上昇し、さらに2025年には約181ゼタバイトに到達すると予測されている。

データの総量が増加し続ける背景には、AIの発達がある。近年のAIが高度で複雑、かつ多様なデータを生成することに長けているため、今後は大幅に増加するデータをどのように管理するかが企業にとって課題となるだろう。

そこで注目が集まっているのがデータストレージの存在だ。AIの発達により多くの人が多様なデータを生成することができるようになったため、データの総量が増え、従来型のストレージでは管理が難しくなるだろう。また、データ生成のためにはAIに相応のデータを学習させる必要があるため、学習用データを保存・管理するストレージも用意しなければいけない。すなわち、社会がAIと付き合っていくためには、大容量の新時代型ストレージを確保することが不可欠になるということだ。

では、具体的に今求められている新時代型のストレージにはどのようなものがあるのだろうか。

従来型を上回る超大容量のHDD

とある企業は、世界初となる容量30テラバイト以上のHDDを発表した。同社は世界的なデータ生成量の増大に対しストレージインフラの生成が追いついていない点に着目。AI時代に企業が競争優位性を保つためにはこれまでよりはるかに大容量のHDDが必要だとアピールしている。

また、同社の大容量HDDは、従来の製品が抱えてきた問題を解決することも期待されている。例えば現在一般的なデータセンターで採用されているHDDは平均約16テラバイトの容量を持っているが、これを30テラバイトのHDDに置き換えれば使用台数を約半分に抑えることができる。これにより、HDD1台あたりの消費電力や製造時の温室効果ガス排出量を大きく抑えることが可能になり、SDGs施策としても有効である。このように、大容量HDDの導入は企業の競争優位性を保つだけでなく、コストや環境負荷への対応策としても注目されている。

コロナ禍を経て需要が高まるクラウドストレージ

近年は、物理的なストレージからクラウドストレージへ移行する動きもある。これは、大容量のデータを社内の物理的なストレージで管理することに多くの企業が限界を感じ始めているからだ。特に、中小企業はストレージへ強固なセキュリティ対策を施すことがコスト的に難しい。そこで、専門の企業がセキュリティサービス込みで提供するクラウドストレージの需要が高まっていると分析されている。

コロナ禍でリモートワークが一般化して以降は、アクセスに物理的な制約がないクラウドストレージの価値はさらに高まることになった。実際、IT製品やサービスの総合情報サイトであるキーマンズネットの調査を見ると、2019年から2021年にかけてクラウドストレージのビジネス利用が大きく増加し、2023年に至るまで右肩上がりで数字が増えていることが分かる。

最新ストレージニーズを押さえた提案を

物理的なストレージは、製品自体に費用がかかるだけでなくそれを設置するイニシャルコストも発生する。一方多くのクラウドストレージサービスは月もしくは年単位で利用料金が発生するため、用途に適さないと判断した場合は期間内であっても解約できる点が特徴だ。コストに余裕がない企業にとっては導入の前に「お試し利用」することができるため、うってつけのサービスであると言える。

AIのビジネス活用は多くの企業にとって急務であるが、それとともにストレージの切り替えも必要である。AI活用とともに、クラウドストレージの使用を提案することをお勧めしたい。