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「Fusion 360」が「Fusion」にリブランド
パッケージ構成や価格体系の変更を解説

掲載日:2024/04/30

「Fusion 360」が「Fusion」にリブランド パッケージ構成や価格体系の変更を解説

高機能CADソフト「Fusion 360」は、2024年1月30日より「Fusion」へ名称を変更。このリブランドに伴い、ラインアップや価格体系も再構築される。今後も適切に運用をしていくうえで、変更点を把握しておきたい。

多彩な機能で設計から製造までを一貫で実現

オートデスクの「Autodesk Fusion」は、3DCADやCAM、CAEなど、多彩な設計機能を搭載したオールインワンの製品開発クラウドプラットフォームだ。このため、設計から製造に至るまでの作業を一貫でスムーズに実現できる。

3DCAD機能ではソリッドモデルをはじめ、4種類の手法で多様なモデルを設計できるほか、パーツ同士の構成や干渉、熱解析などを検証可能。プロトタイプの作成前に問題点を潰し、試作コストを削減できる。スタッフ間でのイメージの共有やプレゼンテーションに役立つ、ビジュアライゼーション機能も充実している。

CAM機能を強化する「Fusion Manufacturing Extension」など、拡張機能も豊富だ。射出成形や構造座屈解析など幅広いシミュレーションに対応する「Simulation Extension」や、プリント基板 (PCB)の電磁界解析に対応する「Signal Integrity Extension」といった、一分野に特化した拡張により、必要な作業環境を柔軟に構築できる。

「Fusion 360」から「Fusion」へ

「Autodesk Fusion」は2013年の発表以来、「Fusion 360」の名で展開されてきたが、2024年1月30日より、現在の名称に変更された。この際、過去に「Fusion 360」で表記されていた名称は全て「360」が削除され「Fusion」となっている。

このリブランドに伴い、8系統あった拡張機能パッケージのラインアップも5 系統に再構成されている。これは名称変更も伴うリパッケージで、例えば高度な3D設計ツールと3Dモデリングツールを備える「Product Design Extension」は「Fusion Design Extension」、エンジニアリングワークフローを強化する「Manage Extension」は「Fusion Manage Extension」、電磁界解析機能を実現する「Signal Integrity Extension」は「Fusion Signal Integrity Extension」と、「Fusion」ブランドを冠する形となる。また、一部の拡張機能は販売終了になるが、これは単体製品としてのライフサイクルが終了となるだけで廃止ではなく、新たなパッケージへ統合されている。例えば、ジェネレーティブデザイン機能の「Generative Design Extension」は「Simulation Extension」と合わせて「Fusion Simulation Extension」へ。「Nesting& Fabrication Extension」と「Additive Build Extension」は、「Manufacturing Extension」と合わせて、金属加工や3Dプリンティング向けの「Fusion Manufacturing Extension」となった。

また、Fusion 360時代から提供されていたペルソナオファリングパッケージ(業務別提案型製品)も、2月7日からリパッケージに伴い変更された。これはAutodesk Fusion本体と、業務別に利用可能なExtensionのセットを割安に提供する製品で、Fusion本体とDesign Extension、Manage Extension、Simulation Extensionがセットの「Fusion 360 for Product Design」は、価格・パッケージ構成ともそのままに「Fusion for Design」へ改名。本体とProduct Design Extension、Manage Extension、Machining Extensionを同梱した「Fusion 360 for Manufacturing」は「Fusion for Manufacturing」となり、パッケージ構成はFusion本体とManufacturing Extensionに変更された。

リブランドに伴い価格も変更

一連の変更に伴い、価格も改定。Fusion本体のサブスクリプション価格は、1年分で6万5,000円から8万8,000円へ、3年分で19万5,000円から26万4,000円へと、全般的に値上げされている。拡張機能もリパッケージに際し若干の値上げはなされているが、その一方で、Fusion Simulation ExtensionやFusion Manufacturing Extensionのように統合された新パッケージは、統合前の各製品単体程度の価格に設定されており、ある意味値下げといえる。

なお、Legacy/Early Adopterや教育期間版といった商用版以外のユーザーにおいては、基本的に影響はない。ただし教育期間版でExtensionを使用するユーザーの場合、廃止となった機能にはアクセスできなくなるため、再アクティベーションの際に統合先のExtensionを利用する必要がある。

Fusion 360はFusionへのリブランドに当たり、さまざまな仕様変更が行われた。パッケージ体系や価格変更について、あらためて把握したうえで、製造部門での使用が想定される場合、まずはFusion for Manufacturingを、設計部門での使用が想定される場合、まずはFusion for Designをご提案いただきたい。また、現在、オートデスクでは、「GET 3-FOR-2」というキャンペーンを実施している。これは1 年契約のAutodesk Fusionサブスクリプションを3本同時に購入する際に2本分の金額になるキャンペーン。複数ライセンスの導入を検討中のお客様に、ぜひご案内したい。