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2024年は「NEXT GIGA」に注目しよう!

掲載日:2024/05/07

2024年は「NEXT GIGA」に注目しよう!

2021年度から始まった「GIGAスクール構想」から約3年。学校に導入されたPC、タブレットなどのデバイスの多くはリプレースの時期を迎える。GIGAスクール構想第2期である「NEXT GIGA」では、機器のリプレースを進めるだけでなく、小学校・中学校・高等学校のICT環境をさらに進化させることも望まれている。

GIGAスクール構想とNEXT GIGA

GIGAとは「Global and Innovation Gateway for All(全ての児童・生徒のために世界につながる革新的な扉)」を表す言葉で、Society 5.0時代を生きる子どもたちが社会を生き抜く力を育み、時代に取り残されないようにするための取り組みだ。

GIGAスクール構想では、1人1台の端末と高速大容量の通信ネットワークを各学校に整備することが最初の目標として掲げられ、2021年度3月期には全国の自治体への整備がほぼ完了した。

ただ、そこから数年経過したことで端末やバッテリーが耐用年数を迎えるため、2023年11月に閣議決定された文部科学省の補正予算案で、今後5年程度かけて端末を更新するための予算が盛り込まれた。補助金額は端末1台につき5.5万円。全ての小学校・中学校・高等学校の児童・生徒が対象になっている。

GIGAスクール構想の現状

2024年1月に株式会社MM総研が行った「小中学校におけるGIGAスクール端末の利活用動向調査」によると、GIGAスクール構想によってICT活用が進んだ自治体と、あまり進んでいない自治体に分かれており、自治体ごとの温度差がかなりあるという。その原因の一つは、教員のICTスキルの差にもありそうだ。実際に2022年12月に同社が行った調査では、端末の利用拡大に対する一番の課題として「教員のICTスキル」が挙げられ、調査対象の6割以上が課題と認識している。

また、導入した端末の問題も明らかになっている。ほとんどの学校でGIGAスクール構想が順調に進む中、名古屋市で端末に不具合が生じて全2万9,000台の交換が必要になった事例や、徳島県教育委員会が購入した端末の2割がPCには「GIGA Basic PC」と「GIGA Advanc故障して授業に支障が出た事例などがあった。

NEXT GIGAを進めるためには、こうした問題を解消する必要があるだろう。

GIGAスクール構想の端末

GIGAスクール構想で導入が定められているのは、Windows端末、Chromebook、iPadの3種類となる。文部科学省が発表している最低スペック基準は以下のとおりだ。

Microsoftは教育向けのOSとPCを新たに発表した。OSは「Windows 11 Pro Education」。誰でも利用しやすいように、カラーフィルターや画面の拡大、音声読み上げ、ユニバーサルフォントなど、アクセシビリティ機能を持たせている。

GIGAスクール構想用のPCには「GIGA Basic PC」と「GIGA Advanced PC」の2種類があり、「Basic」はメモリ4GB、ストレージ64GBで、「Advanced」はSTEAM教育(Science、Technology、Engineering、Art、Mathematics)やプログラミングなどを見据え、メモリ8GB、ストレージ64GBとなっている。

Chromebook、iPadについては現在のところNEXT GIGAに向けた発表はないが、Microsoftと同等以上の端末が選ばれると見込まれる。

ネットワークと遠隔授業

端末以外で必須になるのが校内LANの敷設だ。2007年3月に総務省がリリースした「校内LAN導入の手引」では、児童・生徒用ネットワークと先生用ネットワークで分けることを推奨していた。これは、児童や生徒が教員間でのみ共有するファイルにアクセスできないようにするためだ。しかし、別のネットワークを構築することは現実的ではないため、実際には、ファイルへのアクセス権を設定し、児童・生徒のアクセスを制限する仕組み作りをすることになるだろう。

学校には、企業のようにICT部門やセキュリティ部門専任の従業員がいるわけではない。教員の中にはICTに強い人員がいるかもしれないが、多くの学校ではICTリテラシーの高い教員はいないものと考え、ネットワークの状態が可視化される製品やトラブルの際に誰でも対応できる製品を薦めたい。

コロナ禍のようにオンライン授業を余儀なくされる状況に備えて、オンライン授業に切り替えられるように準備しておくとさらに安心だ。チャット機能やWeb会議システムにより、双方向型の授業やクラスメート同士でのオンライン交流ができるとなお良いだろう。

また、教員も児童・生徒も、自宅のWi-Fiやモバイルネットワークからつなぐことを想定したセキュリティ対策を施しておくと良いだろう。

学校にICT担当者がいない場合は端末やソリューションを売って終わりにするのではなく、サポート体制をしっかり整え、児童・生徒が十分なICT教育を受けられるようにしておきたい。