ネットワーク

2024年3月末にADSLサービス終了!
代わりとなる手段とは?

掲載日:2024/05/14

2024年3月末にADSLサービス終了!代わりとなる手段とは?

ADSLサービスの提供が、一部地域を除いて2024年3月に終了した。2022年2月1日から2023年1月31日に「フレッツ光」が新たに提供可能となったエリアのみ2025年1月31日までサービスが提供される。ADSL終了の理由には何があるのか、そして代替となるインターネット回線には何があるのか、今一度見ていこう。

ADSLサービスはなぜ終了に?

ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)は非対称デジタル加入者線を意味し、電話回線(メタル回線)を用いて高速データ通信を行う技術を指す。通常の電話では使用しない周波数帯を利用してデータ通信を行い、電話回線が1本あれば電話と高速インターネット接続を同時に行えるのが特徴だ。

非対称デジタル加入者線の「非対称」とは、下りと表現される受信と、上りと表現される送信の通信速度が異なることを意味している。一般的にインターネット利用においては上りより下りを使うことが多いため、上りの通信帯域を削り、下りにその分の通信帯域を割り当てた。その結果、通信速度は下り最大50MB、上り最大5MBに。これは、最大64Kbpsである統合デジタル通信網を指すISDN(Integrated Services Digital Network)と比較して格段に速いスピードだ。

ADSLの技術は、1990年代にスタンフォード大学とベルコア社によってメタリックケーブルを利用した高速デジタル通信技術として提案されたことに始まる。日本では1997年に実証実験が行われ、同年に株式会社長野県協同電算がJANISネットのサービス提供を開始。さらに1999年以降は、コアラ社や東京めたりっく通信社(現在はソフトバンク社)がADSLサービスを開始した。

ADSL利用者の数はブロードバンド元年といわれる2001年から拡大し、2003年12月末には1000万回線を突破。それまでインターネット接続に用いられていたダイヤルアップ接続やISDNは次第に縮小したが、光ファイバーを用いて光信号でデータを送受信する「光回線」が普及するにつれ、インターネット接続の主流は光回線に変わってきた。上り、下りともに1Gbps出る光回線に比べるとADSLは低速であること、ADSLはほかの回線や電波などの干渉を受けやすく、通信が途切れてしまったり遅延が生じたりするというデメリットがあるからだ。

今回の廃止に至った背景には、ADSLユーザーが減り、また設備が老朽化して維持が困難なことがある。

代替できる主なインターネット回線

ADSLから乗り換えるインターネット回線には、光回線やCATV、モバイルルーター、ホームルーターがある。企業がオフィスで利用するのは主に光回線になるだろうが、多様な働き方を推進するうえでサテライトオフィスやホームオフィスでほかの方法も視野に入れておくと良い。

光回線

光ファイバーを利用してデータを送受信する通信回線のことで、正式にはFTTH(Fiber To The Home)という。大容量通信が可能で、外部からの影響を受けにくく安定しているのがメリットだ。

家庭用インターネット通信の場合は、エリアや建物の構造の関係上利用が難しいケースや、工事が必要である場合、開通までに時間がかかるといったデメリットも生じるが、企業が利用する際は大きな問題にはならないだろう。

CATV

ケーブルテレビ放送用の同軸ケーブルの一部をデータ通信に用いるもので、ケーブルテレビを契約している場合はインターネットとセットで、光通信より安価で契約できることがある。

モバイルルーター

持ち運びできる小型のルーターで、工事不要で契約すればすぐに使えるのがメリットだ。出張先や客先でも使えて毎日のように業務先が変わる場合に便利である。社内では光回線のインターネットをWi-Fiで利用し、出先ではモバイルルーターを利用するケースも多い。

ホームルーター

モバイル回線を用いてインターネットに接続する手段である。モバイルルーターと異なり据え置き型で、工事不要。ルーターをコンセントにつなぐだけで利用でき、ホームルーターが1台あれば複数の端末が同時に接続可能なため、小規模のオフィスやサテライトオフィスなどに適している。

ADSLを利用していた大半の企業は、既に光通信などに移行済みではあると予測されるが、これから先に移行を検討している企業や、プラスアルファでモバイル通信を計画している企業に提案していきたい。