製造業

レベル4が解禁!? 自動運転の現在地を解説!

掲載日:2024/05/21

レベル4が解禁!? 自動運転の現在地を解説!

2025年に開催される大阪・関西万博では約100台の最新型EVバスが会場内を走行することが計画されている。EVバスには走行中給電などの新技術が反映される予定であり、注目を集めている。中でもひときわ目を引くのが「自動運転レベル4で運行する」という点だ。果たしてレベル4とはどのような技術であり、自動運転技術はどこまで進歩できるのだろうか。

自動運転レベル4とは?

2023年4月、政府は自動運転レベル4を解禁した。このレベル4とは、「安全を確保しつつ自動走行し、自動運行が困難な状況(故障、天候の急変等)が生じた場合には、安全に停止すること」を保安基準とした自動運転の基準である。なお、自動運転レベル3は「安全を確保しつつ自動走行し、自動運行が困難な状況(故障、天候の急変等)が生じた場合には、運転者に運転引き継ぎの警報を発すること」が保安基準だ。すなわちレベル3ではトラブル発生時に備えて自動運転車に運転者が搭乗する必要があったものの、レベル4では運転者が搭乗する必要がない。

ただ、レベル4において自動運転システムが機能できるのはODD(運転設計領域/自動運転車が設計どおりに動作する環境)領域に限られており、その領域は道路の種類や天気、交通法規など複数の要素によって地域ごとに設定されている。

なお、レベル4はいまだ実証実験の段階であり、全面的にはまだ開放されていない。2024年に国土交通省が実施した検討会の資料によると、高速道路におけるレベル4の実現時期は、自家用車では2025年、物流サービス業(トラック)では2025年以降を目標としているという。ただし、同資料には自動運転の実現時期については動向を踏まえて見直しを行うと記載されており、それぞれの実現は2025年よりも後になると考えられる。

完全自動運転 レベル5

将来的な解禁が期待されている自動運転レベル5では、前述したODDによる制限なしに、完全自動運転が可能になる予定だ。レベル5ではあらゆる状況での自動運転が実現するため、自家用車での移動はもちろん、運送業などの事業においてもドライバーが不要になる。

では、実際にレベル5が本格的に解禁されたとき、社会にどのような影響があるのか例を挙げて紹介しよう。

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2024年問題

2024年問題とは物流業界を取り巻く問題であり、運転業務の年間時間外労働時間の上限が年960時間に制限されることを指す。輸送能力の低下や物流コストの上昇などが懸念されているが、レベル5の完全自動運転は、人手不足の解消や長時間労働の是正など、2024年問題の解決に向けても効果が期待されている。

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MaaSとの接続

レベル5の解禁は、地域住民や旅行者一人一人の移動ニーズに対し、複数の公共交通機関やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて予約や決済などを一括で行うサービス「MaaS」の浸透にも大きな影響を及ぼすとされている。

現在は、個人が旅行する際はバスや新幹線といった移動手段を自分で選択して手続きする必要があるが、MaaSを活用すればそれらの手続きが一元化される。さらに、食事や宿泊施設などもMaaSで手続きできれば利用者の利便性はより高くなり、サービス提供側も利益を得やすくなると考えられる。

自動運転においては、乗車する人数が多いほど一人あたりの走行コストを安価にできる。そのため、MaaSによって計画的に各車へ乗員を振り分けられれば、一人一人車に乗る場合よりもはるかに効率的に移動可能だ。従来のドライバーが必要な乗用車であればスケジュールの都合によって最適な振り分けが実現できないこともあったが、完全に無人で運行できるレベル5の自動運転車であればその心配も要らない。

自動運転が実現した社会とは?

高度な自動運転技術が実現すれば、利便性が向上するだけではなく、交通事故の減少や渋滞の解消も可能だと考えられている。一方で無人化・ネットワーク化された自動車はサイバー攻撃の標的にされやすいため、セキュリティ面の問題が指摘されているのも事実だ。今後、セキュリティに対する意識は一層高くなることが予想されるため、車両の遠隔監視・制御といったシステムは、近い将来のビジネスチャンスとして動向を追っておきたい。