IoT・AI

未来の当たり前をつくる!
エッジコンピューティングの活用例を紹介

掲載日:2024/06/11

未来の当たり前をつくる! エッジコンピューティングの活用例を紹介

内閣府は2030年をめどに「Society 5.0」と呼ばれる超スマート社会の実現を目指し、IoTを活用した新しい産業の育成を推進している。そんなIoT活用をより効果的にするために注目されているのがエッジコンピューティングだ。今回はエッジコンピューティングの活用例や今後の展望について解説していく。

急成長が見込まれるエッジコンピューティング

IoT機器などのネットワークに接続する端末は、収集したデータをデータセンターやクラウドに送って処理していることが多い。これに対し、端末のすぐ近くでデータを処理することをエッジコンピューティングと呼ぶ。データの発生源近くで処理を行うため、通信による負荷や遅延が少なくスムーズに処理することができる。

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総務省が発表した「令和5年版情報通信白書」によると、世界でのエッジコンピューティングの市場規模は2020年時点で約16兆円であり、2025年には約36兆円まで拡大すると予測されている。同様に、日本市場でも2021年時点では約4,300億円だった規模が2026年には約7,300億円規模に拡大する見通しだ。2021年からの5年間で約2倍にまで数字が拡大するという予測からも、エッジコンピューティングがいかに成長著しい分野であるのかが分かる。

これほどまでに成長が期待されている理由は、IoTなどのエッジコンピューティングを必要とする分野の成長が著しいためである。特に収集したデータのリアルタイムでの分析は新しいテクノロジーにとって不可欠な機能とされている。

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特長を生かした活用例

ここからは、エッジコンピューティングを活用した最新テクノロジーを紹介していく。

自動運転

現在、エッジコンピューティングが必要な分野として特に注目されているのが自動運転だ。自動運転は、車体の周囲に位置する障害物や路面状況などのデータをリアルタイムで分析・判断することが求められる。そのため、車体内で処理を完結できるエッジコンピューティングが注目されているのだ。

経済産業省の発表によると、2025年をめどに国内50カ所程度で無人自動運転移動サービスの実現を目指しているという。エッジコンピューティングを前提に設計された自動車が街を走る未来もそう遠くないだろう。

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スマートファクトリー

リアルタイムでのデータ分析は製造業の現場でも有効だ。在庫や製造の状況を正確に把握することで在庫の無駄や管理業務の削減が期待できるほか、外部へのデータ共有がないことから不正なアクセスを最小限に抑えられるため、セキュリティ対策にもなる。近年は新型のスマートフォンやゲーム機などの製品情報が工場から流出する事件も発生しており、製造業の現場でもセキュリティ対策は急務となっている。

エッジコンピューティングの未来

このほかにも、エッジコンピューティングは農業分野やオフィスの入退管理などさまざまな分野で注目されており、今後の生活には欠かせないものになるだろう。ただ実際に導入する際は、IoT端末でデータ処理を行えるように多くの技術を搭載する必要があるため、端末一台あたりのコストが大きくなってしまう。また、端末にはさまざまなデータが存在することになるため、デバイス運用のルール徹底とメンテナンスが不可欠だ。

エッジコンピューティングは「Society 5.0」実現に向けて予想される通信データの増大という課題を解決するとして期待されている。これからのIoT社会のスタンダードになるエッジコンピューティングにはいち早く目を付け、活用法を探っておきたい。