ネットワーク
6Gへのステップ
5G-Advancedの特長と影響
掲載日:2024/07/09
5.5Gとも呼称される「5G-Advanced」は、早ければ2024年中に商用化する可能性がある。5G-Advancedが実用化されることで、ビジネスにはどのような影響があるのだろうか。今回は5G-Advancedの概要や5Gとの違い、多方面に与える影響について解説する。
5G-Advancedとは
5G-Advancedとは、5G(第5世代移動通信システム)の強化版で、2030年頃の実用化を目指す6G(第6世代移動通信システム)へのステップとなる次世代通信規格だ。早ければ2024年中に商用化がスタートする可能性もあると言われており、6Gが実用化されるまでの間5Gと6Gの架け橋となる役割を担っている。
5G-Advancedの特長~5Gとの違い~
2024年6月中旬時点では5G-Advancedのリリース18はまだ仕様標準化していないためあくまで見込みではあるが、5G-Advancedの特長を、5Gとの違いを踏まえて解説する。
高速&大容量&低遅延
5G-Advancedは5Gと比べてさらなる高速化&大容量を実現するとされており、ある企業のデモ動画によると「速度は5Gより10倍速い」「10GBのファイルを2秒でダウンロードできる」とのこと。特に5G-Advancedでは、端末などから基地局やサーバーへ送信される通信経路・速度を指すアップリンクの速度向上が期待されるほか、低遅延な送受信も可能になると考えられている。高速化&大容量化&低遅延の実現は、通信デバイスを使う全てのユーザーにとって大きなメリットになるだろう。
AI・機械学習(ML)技術の導入検討
5G-AdvancedではAI・機械学習(ML)技術の導入も検討されている。同技術の導入により、端末が通信を行う基地局を切り替える「ハンドオーバー」のチューニング最適化や、特定方向からの電波を送受信する技術「ビームフォーミング」の効率的な制御などが実現する可能性がある。これらは直接的には通信事業者側のメリットだが、ユーザー側も通信の安定化というメリットを享受できるだろう。
通信機能とセンシング機能の統合
通信用の電波を用いることで、同時に測定対象物の定量的な情報を取得するセンシングも実施できるとされている。通信機能とセンシング機能の統合により、ドローンや農業機械、自動運転車などにおける測位精度の向上が期待される。
効率的な運用
5G-Advancedでは最新の省エネ技術によって効率的な運用を実現している。省エネ通信が実現することで、低消費電力かつ長期間運用が求められるIoTデバイスの利用が広がる可能性がある。
5G-Advancedが社会・企業へ与える影響
5G-Advancedは多方面にさまざまな影響を与える。例えば、大容量通信や低遅延などの特長があることから、自動運転車や産業用ドローンなどの領域でのさらなる発展が期待できる。中国テックのスタートアップ専門メディアである36Kr Japanも「低遅延、大容量通信といった特性はむしろ、コネクテッドカーやドローン、クラウドコンピューティング、スマート農業など産業用インターネットの分野に適している」と述べている。
参考:ファーウェイ、「5.5G」商用化に向け準備着々 24年にネットワーク機器発売へ|36Kr Japan
さらにセンシング機能の活用により、製造業におけるオートメーション化がより進む可能性があるだろう。
4K・8Kの超高画質映像やAR(拡張現実)・VR(仮想現実)といった大容量コンテンツに関しても、高速&大容量通信が実現することで、一般的に普及が進む可能性がある。これらのコンテンツ制作に関わる企業にとって、5G-Advancedの商用化は追い風になると考えられる。
5G-Advancedの実用化は着々と進んでいる。ベンダーとして顧客それぞれのビジネス状況に応じた5G-Advanced商用化の影響を説明し、来たる6Gの実用化まで含めてビジネス拡大のサポートをしていきたい。