IoT・AI

IoTセンサー×AIの可能性

掲載日:2024/07/09

IoTセンサー×AIの可能性

IoTシステムにおいて大事な役割を果たす「センサー」は、物理的あるいは自然的なデータを収集してクラウドに送信し、解析を行う。収集するデータは膨大になり得るためAIを用いた解析を行うことが多いが、IoTセンサー×AIの仕組みはどのように活用されているのか。また、今後どのような可能性があるのだろうか。

IoTの仕組み

IoT技術を構成するために最低限必要な要素は、デバイス、センサー、ネットワーク、アプリケーションとされている。デバイスとセンサーを統一してIoTデバイスと呼ぶ場合があるほか、ネットワークにはIoTゲートウェイやサーバー(クラウド)が含まれる。

センサーが内蔵されたスマートフォン、自動車、スマート家電、工場などの各種デバイスでデータを収集し、サーバー(クラウド)に送信する。サーバー側では受信したデータを解析し、アプリケーションに結果を送信するというのが大まかな流れだ。

IoTセンサーの種類

IoTセンサーは対象物の状態を測定して、デジタル情報に変換する。センサーには、対象物の状態変化で性質が変わる金属や半導体素子が用いられており、温度や湿度、圧力、照度をはじめ、さまざまな情報を計測するセンサーがある。

センサーは、計測する物やデータ化したい情報によって使い分けられ、以下のような種類がある。

温度・湿度センサー
空間の温度や湿度を計測する。温度センサーは測温抵抗体や圧力温度計、バイメタルなどを、湿度センサーは乾湿材料を用いて計測する。

ガス・CO2センサー
ガスセンサーは可燃性ガスに反応してガス漏れなどを検知し、CO2センサーは空気中のCO2濃度を検出する。

光センサー
物質に光を照射するときに発生する光電効果を検知する。

照度センサー
光の明るさの程度を検知する。スマートフォンの明るさ自動調整も照度センサーの一種である。

人感センサー
人間が発する赤外線を検知する。

近接センサー
物体が一定距離に近づいてきたときに検知する。

加速度センサー
単位時間あたりの速度を表す加速度を測定する。

ジャイロセンサー
角度を検出する。加速度センサーでは計測できないような回転する動きを検知可能で、カメラの手振れ防止機能などにも利用される。

振動センサー
対象とする物体の変位や速度、加速度を揺れ具合で計測する。

距離センサー
光、電波、超音波などを照射し、反射を確認して物体間の距離を計測する。

圧力センサー
液体や気体に対してかかる圧力を計測する。シリコンチップの隔壁の変形具合などを検出して変換する方式などがある。

指紋・静脈センサー
指紋の模様、表皮の下の静脈を読み取る。

イメージセンサー
光を電気信号に変換し、画像を取得する。物体の形の異常や、人の目では見つけられないような小さいゴミなども検出できる。

音センサー
音が発生したときに発する振動を検知する。音の高さや大きさなども細かく判別可能で、音声認識技術と組み合わせることでより利用範囲が広がる。

水位センサー
タンクや河川などの水位を観測する。水位の変化によって底面に発生する圧力の差や電極の静電容量の変化などを検知する。

IoTセンサー×AIで何ができるのか

製造業や農業、医療機関、商業施設などで、既にIoTセンサー×AIの仕組みは活用されている。

製造業では製品の検品・外観検査のほか、製造機械の予知保全などに用いられている。工場の製造ラインの最後部にカメラを設置して、その画像と学習データを比較。良品あるいは欠陥品を検出することが可能になる。製造業では人手不足が問題視されているため、その解決策として期待できるだけでなく、見落としなどのミスの軽減にもつながるだろう。

また、製造機械の部品は消耗してから交換するのでは間に合わないため、従来は交換時期を定め、それに従って交換することが多かった。しかし、予知保全においてIoTセンサー×AIを活用すれば、機械に取り付けたセンサーによって部品の状態が分かるようになる。センサーでわずかな異常を検知することで、適切なタイミングでの部品交換や修理が可能だ。

農業分野では、常に人間が見ていなくても田んぼの水量を水位センサーとAIで検知して自動的に水を供給してくれるほか、温室の温度・湿度の自動管理や、家畜の状態を遠隔で確認するなどさまざまな活用方法がある。さらに医療機関では、レントゲンやCT、MRIの画像解析をAIに任せることで人間の目だけで確認するよりも高い精度での診断が期待されており、商業施設では空調やCO2濃度などのコントロール、不審者の発見などでの活用が考えられる。

IoTセンサー×AIに期待できること

自動車や公共交通機関での自動運転が、この先さらに本格導入されていくと考えられている。進行する高齢化社会において働き手不足を補う、というのもIoTセンサー×AIの活用目的になりそうだ。

さらに、スマートシティの実現で住みやすさが向上することも期待されており、今後もIoTセンサーとAIは、さらなる進化が見込まれる。新しい技術を見落とすことなく、最新情報をチェックしていきたい。