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2025年1月にISDN回線サービス完全終了!
企業が取るべき対応は?

掲載日:2024/08/06

2025年1月にISDN回線サービス完全終了!企業が取るべき対応は?

NTT東日本・NTT西日本が提供するISDN回線サービス「INSネット」のディジタル通信モードは、2024年1月から段階的にサービスが終了しており、2025年1月にIP網へ完全移行する予定だ。ISDN回線サービス終了に伴い、企業はどのような対応を求められるのだろうか?

ISDN回線サービスは2024年1月より順次終了

ISDN回線サービス「INSネット」のディジタル通信モードは、1988年から約36年もの間サービス展開されてきたが、NTT東日本・NTT西日本(以下、NTT東西)は、固定電話網からIP網へ移行するため2024年1月から地域ごとに段階を踏んでサービスを終了している。2025年1月には「ディジタル通信モード」はIP網に完全移行する見込みだ。ただし、電話機などで音声を伝送する「通話モード」は、2024年1月以降もサービスが提供されている。

実は、NTT東西では「ディジタル通信モード」のサービス終了に合わせて、「切り替え後のINSネット上のデータ通信(補完策)」を提供している。

しかし、NTT東西のニュースリリースによると、この補完策もNTT東日本は2028年12月31日、NTT西日本は2027年頃に終了予定で、「補完策では『ディジタル通信モード』より伝送遅延が生じ処理時間が増大する等、利用する機器によっては通信に影響が発生する」と注意を促している。そのため補完策は、あくまで2025年1月までにIP網への切り替えが間に合わない事業者を対象としている、と考えるべきだろう。

ISDN回線サービス終了の背景

ISDN回線サービス終了の背景には、利用者の減少が挙げられる。同サービスは1988年に開始されて以降1990年代後半から2000年代初頭にかけて国内で普及したが、近年は、ISDN回線よりも速度が速く安価な光ファイバーへの置き換えが進んだことでISDNサービスの利用者が減少。2022年3月末時点での光ファイバーの整備率は99.72%にも上る。

そのほかISDN回線やアナログ回線を使用している固定電話の需要減少や、設備の老朽化もサービス終了の理由だと考えられる。

企業に求められる対応

ISDN回線サービスを利用している企業は回線の切り替えが必要だが、同回線を利用しているシステム・サービスの判別は難しい。主に利用されているのは、企業の本部と店舗をつなぐPOSシステムや、銀行と企業間での振込や取引口座の照会を行う電子バンキングなどで、ほかにもビル内の監視カメラの映像を統括するビル管理システムなどに使用されているケースが多い。

ISDN回線サービスを利用するシステムの確認方法

ISDN回線サービスを利用しているかどうか確認する方法は、主に二つある。一つ目は機器の取扱説明書などで仕様を確認する方法。二つ目は、NTT東西から送付される請求書に「INS」という表記があるかどうかだ。ISDN回線の利用状況が分からない場合には、これらの方法で確認するのが良いだろう。

ISDN回線の代替通信回線

ISDN回線の代替となる通信回線には、例えば「光回線」や「セルラー回線」が挙げられる。主流回線である光回線は通信速度の速さが特長で、代替すれば業務効率化にも貢献するだろう。一方でセルラー回線は回線工事が不要な点がメリットだ。

ISDN回線サービスは先述したPOSシステムなどのほかにも、銀行ATMやオンライン請求、企業内WAN(事業者の拠点間ネットワーク)などに使用されている可能性がある。

ISDN回線サービスの完全終了は2025年1月だ。まずは顧客がISDN回線を利用していないか確認するとともに、代替回線の案内やその手順について案内できるように準備しておくべきだろう。