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2024年最新のクラウド市場の動向をチェック!

掲載日:2024/08/20

2024年最新のクラウド市場の動向をチェック!

国内のクラウド市場規模は2016年からの5年で約2倍に急成長しており、2028年には16兆円を超えると予測されている。そこで、今後も拡大が見込まれるクラウド市場動向をキャッチアップし、今後のニーズの変化についても解説していく。

国内のクラウド市場の動き

調査会社のIDC Japanが2024年6月3日に「国内クラウド市場予測」を発表した。レポートによると、2023年の国内クラウド市場規模は、売上額ベースで前年比29.6%増の7兆8,250億円にも上る。2023年の成長率は、2022年に記録した38.7%と比較するとやや下がってはいるが、高水準で成長を続けていることが分かる。

2023年~2028年の年間平均成長率は16.3%で推移すると予測されており、2028年の市場規模は2023年比で2.1倍の16兆6,285億円になると見込まれている。

成長をけん引しているのは、既存のシステムをオンプレミスからクラウドへ移行する「クラウドマイグレーション」の拡大を中心に、供給不足となっていたハードウェア製品の回復、製品・サービスの単価上昇などである。

これまでも基幹系システムのクラウドシステムへの移行は活発であり、特にWebシステムや情報系システム、パッケージアプリケーションを活用したものが多かった。ただし、2023年以降は、カスタムアプリケーション開発した基幹系システムをクラウドに移行するマイグレーションが増えている。

レポートでは、今後も基幹系システムのクラウドへの移行やDX、データ駆動型ビジネスが国内のクラウド市場の拡大をけん引すると述べられている。また生成AIの活用拡大に伴ってインフラへの投資が増大し、さらに製品やサービスの単価が上昇していく可能性にも触れられている。

世界のクラウド市場の状況

Fortune Business Insightsによると、2023年の世界のクラウドインフラサービスの市場規模は1,281億3,000万米ドルと推定されており、2024年は1,423億5,000万米ドル、さらに2032年までには3,960億1,000万米ドルに成長すると予測されている。

海外では新型コロナウイルス感染症のパンデミックを機にDXへの移行が加速し、同時にクラウドインフラの需要も急増した。また、2010年に米国連邦政府が「クラウドファースト」を打ち出したことも、普及が進んだ背景にある。

IDCが2024年6月に公表した調査結果によると、全世界のクラウドベンダーのシェアは、2023年時点でAmazonのAWSとMicrosoftのMicrosoft Azure、Salesforceの順で、Google、Oracleも含む5大プロバイダーの収益を合わせると、世界全体で合計40.5%を占める。

政府・自治体向けクラウドに国産クラウドが初選定

日本の政府や自治体でもクラウドサービスの活用が進んでいる。その例が、政府のデジタル改革の一環で行われる業務効率化の取り組みで、政府や自治体が利用するシステムを共通化する「ガバメントクラウド」だ。これまでガバメントクラウドとして認められていたのはAmazon 、Microsoft 、Google 、Oracleの4社で、厳しい基準を満たすことができる大手外資系のサービスのみが採用されていた。

しかし、令和5年度のガバメントクラウドには、2025年度末までに全ての仕様要件を満たす条件で、国産クラウドサービスで初めて「さくらのクラウド」が選定された。

「ガバメントクラウド」の詳細はこちら!

経済産業省が2021年5月に公表している「デジタル産業に関する現状と課題」では、日本に根ざしてサービスを提供するデジタル産業の育成を今後の課題の一つとして掲げている。今後も、産業・政府・インフラ用途のクラウド化に求められる要件を満たす国内のクラウド事業者を増やすために、継続的な対応能力を確保していくことが求められている。

国産クラウドサービスの活用は、為替の影響を受けずに一定額で利用できるなど一般企業にとってもメリットが期待できる。また、クラウド提供業者によってはデータセンターを日本に設置し、日本語のサポートにも対応しているケースもあるため、セキュリティ面でも大きな安心につながる。

AIの発達にクラウドは欠かせない

近年、エッジAIやオンデバイスAIなど、クラウドに頼らないAIが登場しているが、今後も高度な計算や解析が必要な場合、大容量のデータが扱えるクラウドに軍配が上がると考えられる。またクラウドAIは学習プロセスが確立されているため、新たに自前で学習させる必要がなく、高度な計算を行う場合にも高性能なコンピューターを自社で用意する必要がないというメリットもある。

さらに、利用するデバイスの性能に依存しない点から、スモールスタートにもクラウドAIは向いているとされている。セキュリティ面や遅延などのデメリットが指摘されるクラウドAIだが、用途によってはクラウドAIがまだまだ主流となるだろう。

クラウド市場におけるAIの活用の拡大は、今後も注目していくべきであることは間違いない。