SDGs
SDGs推進の鍵⁉
サステナブルビジネス認証制度の導入を検討しよう
掲載日:2024/08/27
SDGs対応戦略の加速と産業界の活性化を目指し、一般社団法人日本サステナブルビジネス機構(JSBO)が2024年3月に設立された。同法人は、2024年6月から企業向けのSDGs認証制度である「サステナブルビジネス認証制度(JSB認証)」を開始している。JSBOの設立背景や目的、日本のSDGsの現状について見ていこう。
日本でのSDGsの取り組み状況
日本ユニセフ協会によると、「SDGs(持続可能な開発目標)」は2015年の国連総会で採択され、気候変動や感染症などの数多くの課題を抱える中でも人類が安定して暮らし続けるための世界共通の目標であり、2030年までに達成すべき17個の項目を定めた目標が示されている。
SDGsの「17個の項目」はこちらからチェック!
前述のとおり、SDGsは2030年までに達成することを目標とされており、各国のSDGsの達成度は毎年、持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)が発表する「Sustainable Development Report」で公表されている。最新の2024年版のレポートでは、日本のSDGs達成度は167カ国中18位。日本は2017年の11位をピークに毎年順位を落としており、2023年には過去最低の21位を記録したが、2024年は約7年ぶりに順位が3位上がったことになる。
レポートでは、17個のSDGsの各項目の達成状況を、高評価順に「達成済み」「課題が残る」「重要な課題がある」「深刻な課題がある」の4段階で評価している。
ただし、日本が 最高評価の「達成済み」と評価をされているのは、「産業と技術革新の基盤をつくろう」の一つのみである。そのほかの項目は依然として課題があると評価されており、特に「ジェンダー平等を実現しよう」、「つくる責任、つかう責任」、「気候変動に具体的な対策を」、「海の豊かさを守ろう」、「陸の豊かさも守ろう」の5つは最低評価だった。
日本サステナブルビジネス機構(JSBO)とは
日本のSDGsの達成状況は高いとは言えないが、2030年までのSDGs達成に向けて、大企業を中心に取り組みは活発化している。一方で中堅・中小企業では、何から始めるべきかが分からないという声もある。そこで設立されたのが、一般社団法人日本サステナブルビジネス機構(JSBO)だ。
同団体は、大企業に限らず、SDGsへの取り組みが遅れている中堅・中小企業も支援することを目的に設立された。企業のSDGsへの取り組みがどのレベルにあるのかを調査し、サステナブルビジネス認証制度(JSB認証)として評価することで、各企業のSDGsの取り組みを可視化し、促進する役割を担っている。
JSBOが取り組むサステナブルビジネス認証制度(JSB認証)とは
2024年6月に開始した「サステナブルビジネス認証制度(JSB認証)」は、企業のSDGsへの取り組みがどのレベルにあるかを評価・認定する制度だ。
JSB認証には25のチェック項目があり、それぞれの段階で目指すべき企業像に応じてブロンズ、シルバー、ゴールドの3段階で評価される。
認定を受けた企業は、企業認知度の向上や人材確保、取引リスクの低減、広報活動の強化など、競争力やブランドイメージの向上を期待できる。また、ニュースメディアの「ニューズウィーク日本版SDGsアワード」とも連携しているため、参画企業として紹介を受けられる点もメリットだ。
JSB認証の申請には、まずJSBOのHPからの問い合わせが必要だ。そして申請書類など必要書類の提出や申請料の振込みをした後、審査を受けることで認定される。
SDGsビジネスが企業にとって重要な理由
世界全体でSDGsの達成を目指している状況で、SDGsを軽視して事業を行うことは今後大きなリスクになるだろう。今からでもビジネスを通じてSDGsに取り組むことで、企業の将来的な利益につながる可能性がある。
SDGsと聞くと環境や社会貢献のイメージが強く、企業成長には結びつかないと考えられがちだ。しかし実際にはSDGsの発展に伴って、新たな市場創出が見込まれており、近年では投資家なども企業のSDGsへの貢献度を検討材料にしているようだ。また、SDGsに積極的に取り組むことで、新技術や新たなビジネスモデルを生み出す可能性もある。
このように、SDGsへの取り組みが短期的に企業に与えるメリットは少なく感じるかもしれないが、将来への投資という視点で考えてみると、取り入れる意義を感じてもらいやすいかもしれない。
SDGsのこれから
SDGsは、2030年のゴールに向けて取り組まれているが、SDGs自体が世界中の課題を解決するための指針のような位置付けであるため、2030年以降も取り組みは継続されていくだろう。そのため日本でも、達成済みの項目「産業と技術革新の基盤をつくろう」以外の達成項目を増やし続けていく必要がある。
SDGsの項目には、さらに「働きがいも経済成長も」、「人や国の不平等をなくそう」、「住み続けられるまちづくりを」などがあるが、これらの項目は各企業でも取り組んでいけるのではないだろうか。
SDGsの目標をいま一度見直して、事業にも組み入れていきたい。