業務改善

DX推進の切り札!
これから活用したいノーコードツールの概要と活用事例

掲載日:2024/09/03

DX推進の切り札!これから活用したいノーコードツールの概要と活用事例

エンジニアがおらずとも、プログラミング知識不要でアプリやシステムの開発が行える「ノーコードツール」。昨今は同ツールを用いて、専門知識を持たない非IT人材が主体となってDXを進めている事例も見受けられる。そこで今回は、DX推進にノーコードツールが有効な理由やDX推進事例を紹介する。

DX推進にノーコードツールが有効な理由

DX推進にはさまざまな手法があるが、最新のIT技術を既存の組織や業務の中に取り入れられるようなIT人材が社内に不足していると悩む企業は多いのではないだろうか。実際にDXを軌道に乗せるには、変化する外部環境や社内のニーズに対応するために、柔軟かつ迅速な開発・運用・改善が求められる。そこで活用したいのが「ノーコードツール」だ。

ノーコードツールとは、既存のパーツを組み合わせるだけで簡単にアプリやシステムの開発ができるツールのことを指す。このツールを使用したノーコード開発の特長は、プログラミングなどの専門的な経験や知識がない人でも開発が可能な点、そしてドラッグ&ドロップといった直感的な操作で利用でき、スピーディーに作業が行える点だ。もちろん、一度開発したアプリを作り替えることも可能なので、運用や改善も柔軟に行える。

さらに、これまでアウトソーシングしてアプリ・システム開発を行っていた企業であれば、開発の内製化、そして低コスト化につながる。内製化ができれば、現場のニーズをいち早く捉えた、幅広い業務の効率化を実現するアプリやシステムの開発が実現可能になるだろう。

本当にプログラミング知識不要で開発が可能なのか

ノーコードツールの概要を押さえた方の中には「本当にプログラミング知識がなくてもノーコード開発ができるのか」という疑問を持つ人がいるかもしれないが、結論から述べると「可能」である。

実際、デジタル活用で地域課題解決などに取り組む事例を政府が表彰する取り組みでは、普段は溶接や金型の磨き作業を行っている町工場の現場社員が、研修を受けながらノーコードツールを使用して業務の効率化アプリの開発を行い、参加した社員10名中9名がアプリ開発に成功した事例が入選している。

なお、この事例は研修を受けて開発を進めたケースだが、ノーコードツールの提供会社の中には技術的なサポートを行っているところもある。プログラミング知識がない人でも、サポートや研修などを活用することでアプリ・システムを開発することができる可能性は十分にあると言える。

ノーコードツール活用によるDX事例3選

ここでは、実際にノーコードツールを活用したことで、業務効率化を実現した事例を3つ紹介する。

インフラ保守DXアプリ開発

ある鉄道会社では、インフラ保守業界における技術者の担い手不足や、それによる技能継承という課題を背景に、ノーコードツールを用いて保守DXアプリを開発した。開発したアプリにはノウハウ動画や手順、質問機能などを搭載しており、先輩技術者のリソースを必要以上に割くことなく、保守作業や道具の使い方について動画で効率的に学習できる仕組みを実現した。その結果、新人の即戦力化や多能工化を促進したほか、低コストで開発を行えたことで余った予算を他の用途に充てることも可能になった。

多様な業務にノーコードアプリを活用

全国で宿泊施設を運営する総合リゾート運営会社では、ノーコードツールを用いて幅広い業務に対応するアプリを開発した。これまでに開発したアプリの数は2,700個以上もあり、そのうち約800個のアプリを日常的に利用している。例えば、これまではスプレッドシートで管理していた顧客からの問い合わせ管理をアプリへ置き換えることで現場の業務改善が進んだという。

ノーコードアプリで脱アナログを実現

産業用ロボットなどを製造する会社では、データ化・集計が煩雑で記入ミスも発生していた紙の作業日報と出荷管理業務を、ノーコードツールで開発したアプリにそれぞれ置き換えることで、基幹システムや社内サーバーともデータ連携するしくみを開発。その結果、年間200時間超の業務時間削減を実現した。

ノーコードツールの今後の展望と見通し

DX推進に向けた取り組みが広がる一方で、社内のIT人材が不足しており何から取り組めば良いのか分からないと感じている企業にとって、「ノーコードツール」はDXと業務効率化を同時に実現する切り札になる可能性を秘めている。

実際に本記事で紹介した以外にも、ノーコードツールを用いて開発したアプリやシステムによって、DX推進を実現した企業の事例も出てきている。ノーコードツールの最大の強みは、専門知識がない非IT人材であっても利用できる点にあるため、IT人材の確保も中長期的には重要だが、まずはノーコードツールで身近な業務を効率化するところから始めることも選択肢に入れてみると良いだろう。