セキュリティ

Windows 11 リプレースに備えて
PCの安全な処分方法を押さえておこう

掲載日:2024/09/17

Windows 11 リプレースに備えてPCの安全な処分方法を押さえておこう

Windows 10のサポート期限が2025年10月14日に終了することでWindows 11への移行は待ったなしの状況だが、OS移行に伴いPCをリプレースする場合は処分方法に注意が必要だ。そこで、PCを安全に処分する方法を確認しておこう。

PCの処分方法に伴うリスク

業務で取り扱ったデータは、正しく処理しないとHDDやSSDに残ったままになってしまう。特にPCのデスクトップにある「ごみ箱」に入れただけではデータ自体はOSに残っているため完全に消去できておらず、ファイルの履歴やシステムの復元ポイントから容易に復元できるため、情報流出の危険がある。

処分されたPCのHDD、SSDはリサイクルされることが多く、新たなユーザーが過去のデータを引き出してしまうケースも見られる。万が一、データに個人情報や機密情報などが含まれていた場合は、企業の信用を損なうだけでなく、最悪の場合は損害賠償や業務停止になるなどの大きな損害につながる可能性もある。

また、PCを初期化してもOSがインストールされたままである場合、PC内にはファイルなどのデータだけでなく、ネットワークのIPアドレスやWi-FiのSSID、SaaSなどへのログイン情報までが残っていることもある。

この特性を生かし、デバイスに残された情報を回収、分析する「デジタル・フォレンジック」という犯罪捜査も行われているほどだ。

正しいPCの処分方法は?

PCのデータを正しく消去してから処分する方法は以下の三つの方法が挙げられる。

ハードディスクを物理的に破壊する

一つ目はHDDやSSDをPC本体から取り外し、穴を開けるなどして物理的にデータの読み込みを不可能にする方法である。

ただし、この方法は穴を開ける際に出る破片などで作業時にケガをする危険性があり、さらに破壊の程度によってはHDDに限り部分的にデータが残る場合があることから、可能であれば後述する専門業者への依頼を行う方法をおすすめする。

また、HDD、SSDの再利用ができなくなるため環境保護の面からはあまりおすすめできない方法でもある。

専門業者に依頼する

PCデータの消去サービスを専門にしている業者、またはデータ消去込みで請け負っているPC廃棄業者に依頼することで簡単に処理できる。ただし、業者に渡す時点ではPCにデータが残っているため、信頼できる業者であるかどうかを事前に確認する必要がある。

データ消去ソフトを利用

データ消去ソフトを利用することで、HDDやSSDに保存されているデータに対して意味を持たない値を上書きすることで、元のデータを復元できないようにできる。上書きされたHDDやSSDは、万が一データを抜き取られることがあっても情報が漏えいすることはない。

例えばアイ・オー・データ機器の『D-REF5』は、米国国立標準技術研究所(NIST)が定める高レベルな消去方式「PURGE」方式を採用しており、安全にPCを廃棄できる。Windows版とUSB起動版(USBブート版)の2種類のアプリを内蔵したUSBメモリーとして提供されており、用途に合わせて使い分けが可能だ。

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SDGsを考慮したリサイクルの取り組み

SDGsの目標12である「つくる責任、つかう責任」では、化学物質やあらゆる廃棄物が環境に害を与えないように管理することが示され、2030年までにごみの発生防止や削減、リサイクル・リユースを行い、ごみの発生量を減らすことが求められている。

各IT機器メーカーはこの目標を達成するため、リユースPCやリサイクルPCの提供を行っている。リユースPCはメーカーが引き取った古いPCをメンテナンスして販売している製品で、リサイクルPCは回収したPCを分解し、リサイクルできる部品を組み合わせて新たに作った製品である。

データを消去するためにHDDやSSDを破壊してしまうと、このリユースやリサイクルが不可能になるため、データ消去ソフトの利用が推奨される。

また、環境にやさしい取り組みとして、EPEAT(Electronic Product Environmental Assessment Tool)という認証制度がある。これは2006年にアメリカで策定された制度で、電子機器製品が環境に対して配慮した製品であることを示す認証である。

米国連邦政府機関では、利用する電子機器の95%以上をEPEAT認証済みのものにすることが義務付けられており、アメリカに本社がある電子機器メーカーでも、このEPEATに準拠したPCやモニターが販売されている。

ユーザー側である企業もEPEAT認定の製品を選定するほか、処分するPCは、リユース・リサイクルを行うメーカーや廃棄業者を選定することで、データの流出を防ぎながら環境に配慮した処分ができるだろう。