セキュリティ

セキュリティ強化を検討するうえで知っておきたい!
顔認証システムが注目を集める理由

掲載日:2024/10/22

セキュリティ強化を検討するうえで知っておきたい!顔認証システムが注目を集める理由

スマートフォンやPCをはじめとするデバイスのログイン認証、マイナ保険証や銀行の本人確認、オフィスの入退室管理など、顔認証システムの利活用が広がっている。その理由として、セキュリティが高く、非接触で認証可能なため衛生面でも安心できるなどの特長が挙げられる。今回はこの顔認証システムの仕組みや活用シーンなどを見ていこう。

顔認証システムの仕組み

顔認証は、人の顔が持つ情報を基に本人認証をする技術だ。仕組みとしては、最初に認証システムがカメラに写る映像や画像から顔を検知し、そこから目や鼻、口、眉などの特徴を数値へ変換して、座標や大きさなどの情報と組み合わせた顔データとして認識する。最後に、認証システムが捉えた顔データを事前登録されている顔データと照合し、一定値以上の照合率であれば同一人物であると判定されるのだ。

近年はAIの発達によって顔データの検知や認証の精度が向上し、メガネやマスクを着用した状態で認証できるシステムも実用化されている。

顔認証には、認証方式とシステムのタイプによって以下のような違いがある。

認証方式:2D認証(ビジュアルベース)

2D認証はPCやスマートフォン、タブレットなどの電子機器に用いられている認証方式だ。端末の内蔵カメラに写った顔の特徴と、事前に端末に登録した顔データを照合して認証する。

二次元のデータで識別・認証するため、センサーなどは不要で一般的なIPカメラで認証ができ、コストを抑えることが可能だ。一方で、メイクや髪型などの見た目の変化や、日光や照明などの光量が認証精度に影響を与える可能性がある。

認証方式:3D認証(IRベース)

3D認証は、先述の2D認証に加えて赤外線カメラ(IRカメラ)によって顔の凹凸などの三次元で認識した情報をデータ化し、データベースと照合する方式だ。メイクや髪型などの見た目の変化による影響を受けにくく、光量に影響されずに暗い場所でも認証精度を維持できるといったメリットがある。一方で、専用の赤外線カメラを内蔵しているため、本体サイズやコストの増大がデメリットだ。

認証システム:クラウドサービス型

クラウド上にある認証システムを用いて顔認証をするシステムタイプで、ユーザー側でのシステム更新を含む保守管理が不要で、導入コストを抑えられる一方、認証にはインターネット接続が必要であり、万一クラウド上のデータがサイバー攻撃を受けた場合は個人情報の漏えいリスクがある。

認証システム:デバイス型

機器に搭載した専用カメラを用いて認証を行うデバイス型は、端末上で処理を行うためクラウド型と比較すると認証速度が速く、回線の状況にも影響されない。ただ、端末のカメラ性能に依存しており機器によっては認証精度が低いほか、更新や保守は自社で行う必要がある。

生体認証システムの優位性

顔認証システムをはじめとする生体認証システムの優位性は、高い認証精度となりすましを防止できる点にある。例えば暗証番号やICカードでの入退室管理などは、番号忘れやカード紛失などのトラブルが発生する可能性がある。またカードが悪用されれば第三者が不正に入室するリスクも考えられる。

生体認証ではなりすましが難しく、精度の高いシステムでは誤認識をされる確率が100万分の1未満とされており、非接触でありながらセキュリティが安全なので利便性の面でも優位性がある。

顔認証システムの幅広い活用シーン

顔認証システムは、建物の入退室管理やデバイスのロック解除、マイナ保険証や銀行での本人確認などに用いられている。

例えば、作業者の入退場記録を顔認証で行う建設現場がある。従来はICカードを用いていたが、カードリーダー端末の設置にかかるコストや、カードの盗難・紛失による不正侵入リスクが懸念点だった。そこで顔認証を採用したところ、これらの問題を解消できている。

また、とあるマンションでは、移住者のエントランスや玄関ドアの解錠、訪問者の入退出登録、宅配サービスなどの配達員の置き配サービスにも応用している。

さらに生徒と教職員が顔データを事前登録して、校内での物品購入を顔認証のみで行う試みを進める学校もある。決済利用するプリペイドカードなどの情報を顔データとひも付けておくことで、非接触で決済できるほか、保護者が購入履歴をチェックできる仕組みも導入されている。

しかし、クラウド型以外の認証方式を採用している顔認証システムに対しては端末の性能差が指摘されており、さらに人の加齢による変化やマスクやメガネの着用時の認証には対応できていない製品がある点には注意が必要だ。ユーザー企業におすすめする際は、セキュリティ対策としてだけでなく、使い勝手の良さや利便性も訴求しながら提案を進めたい。