IoT・AI
「GitHub Copilot」が実現する
プログラミングの未来
掲載日:2024/10/29
「GitHub Copilot」はAIが最適なコードを提案してエンジニアのコーディング作業をサポートするサービスで、2024年8月に開催されたCEDEC 2024にて、エンジニアリング部門の最優秀賞を受賞している。今回は「GitHub Copilot」の主な特徴や使い方、導入事例を紹介する。
「GitHub Copilot」とは
「GitHub Copilot」 はコーディング作業の際に、AIによってコードの自動補完や関数などの構築をサポートするペアプログラマーのことで、日本語や英語などの自然言語からのコード生成を行うことも可能だ。月額10ドルからの有料サービスであり、VS Codeなどの「GitHub Copilot」に対応しているコードエディターにて拡張機能をインストールすることで利用できる。
対応言語は、C++やJavaScript、Kotlin、PHPなど、主要なプログラミング言語を中心に10種類以上に及ぶ。対応するコードエディターとプログラミング対応言語ともに、今後はさらに拡大していくことが予測される。
また、「Copilot Chat」と呼ばれるAIチャット機能も搭載しており、同機能ではコーディング関連の質問をチャット形式で行うことができる。
さらに、最上位プランに登録している場合は、ポリシー管理、アクセス管理、使用状況データ、監査ログ、Copilotで使用したくないファイルの除外など、管理者向けのより詳細な設定を行うことが可能だ。
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GitHub Copilotのプラン
GitHub Copilotには3つのプランが用意されている。プランによって利用できる機能の数が異なり、月額10ドル~39ドルで利用可能だ。
最上位プランのCopilot Enterpriseでは、上記の機能の他にもコードエディター上でチャットが利用できる機能やカスタム大規模言語モデルのサポートなど、より業務での利用に適した利便性の高い内容となっている。
「GitHub Copilot」の魅力と導入事例
2024年8月に開催された国内最大のゲーム開発者向けの技術交流イベントであるCEDEC 2024にて、「GitHub Copilot」はコーディングにおける生産性を高める優れたツールとして、エンジニアリング部門の最優秀賞を受賞した。同イベントでは、「GitHub Copilot」を導入することで、開発者がコーディングの生産性を高め、より複雑なコードの構築に集中できるようになる点や出力されるソースコードの精度の高さ、使い勝手の良さも評価されている。
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GitHub Copilotの導入事例
ここではGitHub Copilotを実際に開発業務に取り入れた企業の事例をいくつか紹介する。
Webメディアなどの多角的な経営を行うIT企業では、開発業務の生産性を高めるためにGitHub Copilotを導入している。導入の決め手は初期に行った開発者向けのトライアルにて、ツールを利用することで時間短縮や効率化の側面で高い評価を得られた点が決め手になったとのことだ。
また、インターネット広告やゲーム事業などIT領域全般を取り扱う企業では、グループ企業も含めた全体でGitHub Copilotを導入し、現在は1,000人以上のエンジニアのうち約8割が開発業務に利用している。その結果、エンジニアの約半数が導入前と比較してコーディング作業を2割削減でき、さらに約4割のエンジニアは2割以上の作業を削減できたほか、コードにエラーが発生した場合でも迅速に解決策を提案してくれるとのこと。この事例からもGitHub Copilotは作業効率を向上させるだけでなく、学習にも活用できることが分かる。
インターネット上でアパレル事業を手がけるある企業でも、全社でGitHub Copilotを導入している。試験導入では「コーディング時のストレスが軽減される」「より満足度の高い仕事に集中できるようになった」などの意見があり、作業効率が向上したことで、1カ月あたり最大95,604円/人の人件費の削減が可能という結果も出ている。
AIコーディングツールがIT人材不足を補うツールになる可能性
経済産業省は、2030年に最大79万人ものIT人材が不足する見通しであることを発表している。Zenken株式会社が2024年に実施した日本の中小企業の経営者を対象としたアンケート調査によると、既に日本の中小企業の約7割がIT人材が不足していると回答したというデータもある。
GitHub Copilotを筆頭に今後AIコーディングツールは、人材不足を補うツールになる可能性は十分に考えられる。
先述した事例では、GitHub Copilotが提案したコードのうち、そのまま業務で利用できる内容のコードの提示は27.45%だったとのデータもある。現在は低い数値かもしれないが、生成AIがユーザーの利用データから学習を行い、精度が向上していく点を踏まえると、今後はさらに利便性が高まる可能性がある。