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ドローンビジネスに期待がかかる理由と今後の課題について紹介

掲載日:2024/12/17

ドローンビジネスに期待がかかる理由と今後の課題について紹介

2022年、国土交通省が定めるドローンの飛行制度において、第三者の上空を飛行できる「レベル4飛行」が追加されたことを皮切りに、「レベル3飛行」の規制を緩和した「レベル3.5飛行」が解禁されるなど、将来のドローン活用へ期待が高まっている。そこで、今回はドローンビジネスを巡る近年の流れと今後の動きについて説明していく。

日本の課題を解決する鍵として期待

ドローンは単なるホビーとしてだけではなく、物流やセキュリティといった社会的役割を果たすインフラの一つとして官民問わず利活用の方法が模索されている。実際、内閣官房が公開している「ドローン情報共有プラットフォーム」では、地域や分野ごとの活用事例のほかに今後の検討事項などがまとめられている。

例として利用分野を見ると、農業用途や物流用途、測量用途などが紹介されているほか、活用事例に関しても北海道から沖縄まで全国各地の事例もまとめられており、ドローンの可能性が広がる結果となっている。

注目すべきは、人手不足や事業形態の変化などの課題を抱えている業種が、ドローンの活用分野とされていることだ。また、ドローンの活用実績が報告されている自治体も、人口流出の改善や雇用の創出が求められている地方が中心となっている。

このことからも、ドローンビジネスは日本が抱える社会問題の対策として非常に有効なテクノロジーであると言えるだろう。

成長を続けるドローン市場

それでは、今日のドローンビジネスはどのような状況なのだろうか。インプレス総合研究所が発表した「ドローンビジネス調査報告書2024」によると、2023年度における日本国内のドローンビジネス市場規模は3,854億円と推測されており、これは前年比で約1.2倍に成長している。その後も成長は右肩上がりに続き、2028年度の市場規模は2023年度の2.3倍となる9,054億円に届く見込みだ。

また、同資料では、2023年度と比較して2028年度には機体(ドローン本体)や周辺サービス(バッテリーやメンテナンス費など)の分野が約2倍に、サービス(ドローンを活用したサービスを提供する業務)の分野が約2.5倍に成長すると推測されている。サービス分野は2023年度時点でも2028年度でも最も市場規模が大きく、今後のドローン市場をけん引する存在になることは間違いない。

現在のドローン活用環境と今後の課題

近年は、ドローンのさらなる社会実装に向け、法改正などの対応が活発だ。2015年には航空法が改正されてドローンの飛行ルールが定められたほか、2022年には屋外を飛行する100g以上のドローンの登録が義務化された。また、同年は国交省によるドローンの操縦技術を認める認証制度や機体安全性認証制度も始まっている。

このような環境整備が進む一方、ドローンを巡る状況はいまだに完璧とは言い難い。具体的にはドローンの夜間飛行や、人が密集するエリア上空の飛行についてはリスクが大きいため、これらの状況下での飛行には制限がかけられている。ドローンの利活用が当たり前の社会を成立させるためには、より安全性を高い確実な飛行を実現する必要があるだろう。

そこで重要になるのが、操縦ライセンスや機体認証の取得に対する民間のサポート強化だ。既に操縦ライセンスの取得をサポートする事業自体は存在しているが、ドローンの社会実装を進めるためにはさらなる事業拡大が求められる。また、機体の認証取得についても、ベンダーが積極的にユーザーとの仲介を行い、業務用PCのように適切な知識と経験を持って製品を推薦できる環境を整える必要がある。

国土交通省主導のもと、着々と法整備が進められているドローンビジネス。近い将来には無人配送事業や警備や監視、防災・人命救助などの分野にも利活用が期待されている。すぐそこまで来たドローン社会に向け、ビジネスの対応を進めていきたい。