中小企業

中小企業の人手不足改善の切り札に⁉
「中小企業省力化投資補助金」を解説

掲載日:2025/01/14

中小企業の人手不足改善の切り札になる可能性がある「中小企業省力化投資補助金」を解説!

2024年6月より「中小企業省力化投資補助金」がスタートした。同制度は中小企業にとって喫緊の課題である「人手不足」の解消のきっかけとなり得る補助金である。今回は中小企業省力化投資補助金について概要や特徴、活用例などを解説する。

中小企業省力化投資補助金とは

「中小企業省力化投資補助金(以下、省力化投資補助金)」とは、中小企業の人手不足解消を目的にスタートした補助金制度だ。生産性の向上、さらには賃上げにつなげることを目的とした省力化製品を選ぶ際に、基金設置法人である独立行政法人中小企業基盤整備機構が選定したカタログから導入をすることで、導入費用の最大1/2の支援が受けられる。

補助金を受けられるのはカタログに登録された製品群を導入した場合に限られるが、登録されている製品の一例を挙げると、清掃ロボットや配膳ロボット、自動精算機など多様な省力化製品が掲載されている。補助率・補助上限額は以下のとおりである。

なお、省力化投資補助金は2024年6月に第1回公募が実施され、2024年8月以降の当面の間は随時応募・交付申請を受け付けている。

中小企業省力化投資補助金が始まった背景

省力化投資補助金が開始された背景には、中小企業の人手不足の問題が挙げられる。

帝国データバンク社が2024年10月に公表した「人手不足倒産の動向調査(2024年度上半期)」によると、2024年度上半期の人手不足倒産の件数は過去最多ペースで増加している。さらに同資料では、人手不足で倒産した企業のうち、82.2%が従業員数10人未満の企業であることも述べられていた。

このような状況下で、中小企業にとっての活路となり得るのが省人化である。しかし、省人化に取り組もうとしても「何から着手すればいいのか分からない」という企業も存在するだろう。そこで省力化投資補助金では、「省人化に貢献する製品をカタログから選ぶ」というシンプルな仕組みでスタートした。

中小企業省力化投資補助金の特徴

省力化投資補助金は“カタログ型の補助金”であることが特長として挙げられる。各企業は自社の課題やニーズに応じてカタログに登録された省力化に寄与する製品を導入できる点がポイントだ。

また、製品カタログには活用イメージや効果、価格・目安の導入費用など、検討にあたって必要な情報がまとめられている。

中小企業省力化投資補助金の活用事例

最後にカタログに登録されている製品の中から、省力化投資補助金の活用例を二つ紹介していく。

宿泊業や飲食業が清掃ロボットを導入する

宿泊業や飲食業などで清掃業務を行う事業者は、自律走行で床を掃除する清掃ロボットの導入を検討したい。清掃ロボットは各種センサーにより、人や障害物を避けながら廊下やロビーなどの床清掃をしてくれる。導入によって、清掃業務時間の短縮のみならず、人力の清掃と比べた際のコスト削減効果も期待できる。なお、導入費用の目安は数百万円程度からとされており、初期設定を行えばすぐに利用できる。

製造業や倉庫業などが自動倉庫を導入する

入出庫や在庫管理を人手で行っている製造業や倉庫業などの事業者は、自動倉庫の導入・活用がおすすめだ。自動倉庫とは、パレットやコンテナなどを自動で入出庫・保管する製品で、保管棚や物を出し入れする機械や管理システムなどで構成される。入出庫・在庫管理の自動化により生産性向上が期待できるほか、倉庫内通路幅が狭くなる&高積みが可能になるため、デッドスペースの削減も見込まれる。なお、導入費用の目安は小型のもので2,000万円程度からとされている。

小売業が補充ロボを導入する

早期に省人化を進めたい小売業では飲料補充ロボを検討したい。商品棚への補充業務を補充ロボが代替してくれるため、限られた人材を接客といった人が対応をする業務に集中させることで、大きな省人化効果を期待できるだろう。導入費用の目安は数百万円程度からとされており、基本的には設定後すぐに利用することができる。

他にも多くの製品が紹介されており、ベンダーとして中小企業基盤整備機構が公表しているカタログには目を通しておきたい。クライアントの課題・ニーズに沿った製品があれば、制度および製品を積極的に紹介することで顧客との関係強化を図れることだろう。