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次世代ビジネスワードを先取り!
低コストで高い成果が望める「フラクショナルCMO」とは

掲載日:2025/02/25

次世代ビジネスワードを先取り! 低コストで高い成果が望める「フラクショナルCMO」とは

時間やプロジェクトベースで働くマーケティングの責任者を指す「フラクショナルCMO」。日本での知名度はまだ低いが、英語で「Fractional CMO」と検索すると情報発信が盛んに行われている様子が見られ、海外では認知が広がっていることがうかがえる。これから日本でも普及する可能性があるフラクショナルCMOの概要を解説する。

フラクショナルCMOとは

フラクショナルCMOとは、時間やプロジェクトベースで働く最高マーケティング責任者のことを指す。フラクショナル(Fractional)は英語で「断片的な」を意味し、CMO(Chief Marketing Officer)は「最高マーケティング責任者」のことである。フラクショナルCMOは一企業にフルタイムで働くことはしないため、複数の企業でプロジェクトに携わることが多い。

フルタイムCMOとの違い

フラクショナルCMOに対して、企業に専属で長期的な成長を担うのがフルタイムCMOだ。主な違いにはコミットメントに要する時間とコストの二点が挙げられる。

時間に関しては、フラクショナルCMOはパートタイムであるため、フルタイムCMOよりも必然的に一企業に対して投下される時間は少なくなる。そのため規模が大きく、週数十時間もの稼働が必要になるキャンペーン施策の場合にはフラクショナルCMOは適さないだろう。一方、コストに関しては拘束時間が長く、福利厚生や各種手当などが発生するフルタイムCMOと比較して、フラクショナルCMOの方が低くなる。

なお、フラクショナルCMOとフルタイムCMOで異なる点は、上記で紹介した雇用形態や働き方、企業への関与度であり、行う業務の内容に大きな違いはない。具体的には、両者ともにマーケティング戦略の策定やブランディング、キャンペーン施策の企画・実行などの業務を担当している。業界トレンドや消費者行動の変化などを詳細に分析して企業の成長戦略を推し進める、重要な役割と言えるだろう。

フラクショナルCMOを雇用するメリット

フラクショナルCMOはフルタイムCMOよりも稼働時間が短いため、長期的なコスト削減が期待できる。経験豊富なフラクショナルCMOに依頼すれば、費用対効果の高いマーケティング施策を行うことができるだろう。このコストパフォーマンスの良さがフラクショナルCMOに依頼する最大のメリットと言える。

そのほか、時間単位またはプロジェクト単位でコストが発生するため、プロジェクト規模の拡大・縮小に応じて柔軟に依頼内容や費用を調節できる。ソフトウェア開発の領域ではアジャイル開発と呼ばれる小規模・短期間でテストと実装を繰り返す方式が注目されており、柔軟な対応が求められるのはマーケティングの分野だけではないことが分かる。今後はビジネス全体で「柔軟性」が重要な要素になるだろう。

関連記事:柔軟かつスピーディーな開発手法 「アジャイル開発」はなぜ必要とされるのか

フラクショナルCMOの注意点と必要なサポート

企業にとってさまざまなメリットがあるフラクショナルCMOだが、注意点も存在する。

まず一つ目は企業の長期的な成長戦略やビジョンとのズレが生じる恐れがあることだ。これはフルタイムCMOと比べてフラクショナルCMOは企業や業界への理解が限られていることに由来する。企業側は方針のズレがないようにフラクショナルCMOに対して、積極的な管理が不可欠になる。

また、企業のビジョンや業界理解に乏しいフラクショナルCMOの関与により、現在運用中のマーケティング戦略が混乱し、ROI(投資収益率)が一時的に悪化する恐れもある。そのほか、依頼したフラクショナルCMOが優秀であればあるほど、契約終了後に同等の成果を維持することが困難になるため、ノウハウを蓄積させる仕組み作りや属人化させない社内体制の構築も必要になるだろう。

フラクショナルCMOの可能性

まだ日本での認知度は低いが、アメリカではフラクショナルCMOを提供する企業も現れており、今後フラクショナルCMOが日本でも普及する可能性は十分に考えられる。

マーケティングで課題を抱えるクライアントには、フラクショナルCMOという選択肢があることを提案してみてはいかがだろうか。