IoT・AI

アプリ開発革命!
ノーコード・ローコードの実力

掲載日:2025/03/18

アプリ開発革命! ノーコード・ローコードの実力

IDC Japan社が行った2021年9月の調査によると、国内企業の37.7%がノーコード・ローコードプラットフォームを導入済みとのことだ。この数字は現在、生成AIの台頭によりさらに増加していると予測される。今回はノーコードとローコードの基本的な仕組みやその違いのほか、これらの手法を導入するメリットについても解説する。

ノーコード・ローコード開発が増える背景

DX推進の切り札ともいわれるノーコード・ローコード開発。IT人材の不足も深刻化していることも重なり、ますます注目が集まっている。

レバテック社が発行した「IT人材白書2025」によると、2024年度の採用目標人数の達成状況で「達成済み」「目標達成進捗である」と回答したのが全体の45%となり、「目標達成が難しい可能性がある」「目標には大きく届かない見込み」と回答した企業が約22%だった。

また、同報告書では新卒を除くエンジニア未経験の採用状況で、「採用している」が39.4%、「検討中」が31.2%。未経験者採用の理由の一位は「経験者採用が難しくなっているから」が50.8%で最大だった。この状況からも、IT人材の不足は慢性化しつつある状況が浮き彫りになっている。

経験者の採用が難しいとはいえ、DXの流れを止められない背景から、注目されているのがノーコード・ローコードアプリの開発だ。

ノーコード・ローコードアプリは、主にクラウドベースで提供されており、クラウド技術の一般化、SaaS利活用やAPIエコシステムの増加も注目されている要因だろう。

従来の開発とノーコード・ローコード開発の違い

従来のアプリケーションやWebの開発は、HTMLなどのプログラミング言語で記述するために専門知識が必要だったが、ノーコード・ローコードアプリは、あらかじめセットされたパーツを選ぶだけで専門知識がなくてもWeb開発が可能だ。

二者を比較すると、IT初心者でも作れるのはノーコード、より複雑なアプリが作れるのはローコードということになる。またローコードの方が拡張性も高いため、少しでもコードが書けるならローコードの方が利便性も高いだろう。

ただし、プログラミング言語の有無にかかわらず、アプリ開発のスピードを重視するならノーコードの方が有利だ。

どのようなアプリが作れるのか?

ノーコード・ローコードで実現できるアプリ開発では、データ管理系、タスク自動化系、Webデザイン系などが挙げられる。

例えばデータ管理系は、Excelなどで管理していた経理データや社員データ、顧客データなどを一元管理できるアプリも開発可能だ。アプリはクラウド上で動作するので、社員間で共有もしやすい。

またタスク自動系は、例えばあるアプリに入力した情報を加工して、別のアプリやデータベースに自動保存するなどの処理を行う。各アプリが別のメーカーのサービスでも連携できるようにする。

Webデザイン系は、デザインパーツを選択し、サイトの枠内に当てはめるだけでWebサイトが構築できる。

ノーコード・ローコードアプリを導入するメリットは、IT業種の経験を問わずアプリ開発が可能なため、IT人材の不足にも対応できる点が挙げられる。またアプリの内製化も実現することで、開発期間や外部への依頼のコストも抑えられるうえ、業務内容の変化などでアプリをカスタマイズする際に、簡単に改修できる柔軟性の高さも特長だ。

ノーコード・ローコード開発のリスクと今後の展望

IT人材の不足の解消などプラスの側面が多い印象もあるが、アプリを開発した人員が退職、異動した際に対応できる後任者が不在になるなどして、ブラックボックス化しかねない。ノーコード・ローコードで開発への難易度は下がるとはいえ、開発のマニュアルを作成するなどの仕組みづくりは欠かせない。

またセキュリティの問題にも注意する必要がある。開発自体は容易であっても、専門知識がないことで機密情報や個人情報が安易に閲覧できる状態を作ってしまうことなどもあり得る。

こうしたデメリットがあることを念頭に置きながら、ノーコード・ローコードでのアプリ開発を活用していきたい。

ノーコード・ローコード開発ツールは、生成AIの活用とも相性が良く注目を集めている。今後、AIの活用が進めば作りたいサービスの概要を入力することでアプリができるようになるかもしれない。こうした未来が実現することも見据えて、今のうちからノーコード・ローコード開発の活用を検討してみるのも良いだろう。

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