IoT・AI
生成AIの活用でお困りのあなたへ
用途別にプロンプト例を紹介!
掲載日:2025/03/25

2024年1月、東京都デジタルサービス局は、生成AIの具体的な活用場面や効果的なプロンプトを紹介する「都職員のアイデアが詰まった文章生成AI活用事例集」を公表した。同資料は民間企業でも生かすことができる生成AI活用のヒントが網羅されている。本記事では同資料に紹介されている事例を踏まえ、プロンプトを書くコツや用途別の生成AI活用事例を紹介する。
東京都がおすすめするプロンプト作成のコツ
東京都デジタルサービス局が公表した「都職員のアイデアが詰まった文章生成AI活用事例集(以下、活用事例集)」では、生成AIから質の高い回答を引き出すために「必要な情報を引き出し、整理する」、「視点を加えて質の高い回答を導く」という2ステップを踏むことを推奨している。

この2ステップではより有効なプロンプトを入力することが大切だ。活用事例集が挙げるプロンプトのコツは「ハッシュタグで情報整理」「定量的かつ具体的な表現」「『キーワード』を入れる」「出力形式を指定する」の四つ。「キーワード」とは、より高品質な回答にするための「最高の」や、論理的な答えを導くための「段階的に」、期待どおりの回答が出ない場合の「厳密に」などが挙げられる。
これらの四つのコツを踏まえたプロンプトの一例を以下で紹介する。
- # 自己紹介
5年以上BtoBのITソリューション営業に従事 - # 聞き手
人事採用担当者 - # 実績
前年比売上120%・年間売上5,000万円を達成
競合他社が存在する中で3,000万円規模の新規契約を締結 - # 強み
コミュニケーション能力
情報収集能力 - # 出力形式
自然な日本語で500文字以内
上記のプロンプトで期待どおりの回答が出ない場合には、「実績のエピソードを入れてみて」「強みを特に強調してみて」など、より具体化したプロンプトを重ねてくことで、回答内容をブラッシュアップさせるのが良いだろう。
営業職向けプロンプト作成のコツと活用事例
前述した四つのコツを踏まえた、営業職向けの生成AI活用事例を紹介する。用途別に実際のプロンプトを紹介するので、必要に応じてアレンジしながら活用してほしい。
提案資料の原案作成
生成AIをうまく活用すれば、提案資料作成を効率化することが可能だ。例えば実際に作成する際には以下のプロンプトが考えられる。
- # 提案商品
印刷速度の速さや低消費電力設計、クラウド連携が特徴の複合機 - # 提案相手
食品加工メーカーのシステム部の課長 - # 提案相手の状況
ペーパーレス化が進んでいない
ITリテラシーはそれほど高くない従業員が多い - # 提案資料で強調したいポイント
複合機の導入で業務効率化を図れること
現在使用している複合機よりも運用コストが下がること - # 出力形式
パワーポイントにコピペして使える提案資料の体裁
上記形式を参考に情報を盛り込めば、より実践的な提案資料の原案を作成できるだろう。回答があいまいな場合は、「具体的な情報を入れて作成してください」「数値データを入れて作成してください」などプロンプトを重ねてみるのが効果的だ。
営業サポート
商談の成功に向けて営業先へのアプローチ方法に迷うこともあるだろう。その場合は、以下のようなプロンプトを入力することで、優秀な相談役として生成AIを活用することができる。「# ゴール」を追記することで、よりイメージに近い回答をしてくれることが期待できる。
- # 役割
あなたはデジタルサイネージを販売する優秀な営業員です。 - # 指示
以下の状況を踏まえ、営業先Aへのアプローチ方法を具体的に教えてください。
- ・販売するデジタルサイネージの特徴
→既存の設備と連携してディスプレイを一元的に管理できる
→耐久性や迅速なサポート体制が売り - ・営業先Aの状況
→営業先Aは競合他社からアプローチを受けている
→競合他社の商品はコストは安いがサポート体制が弱い
- ・販売するデジタルサイネージの特徴
- # ゴール
営業先Aから自社のデジタルサイネージに強い興味をもらってもらう
ビジネスメールの作成
具体的な指示や知識が思いつかなくても、話し言葉を元にしてプロンプトを作成することも可能だ。例えば、ビジネスメールを作成する場合、以下のようなプロンプトが考えられる。「ベストプラクティスに従い」というキーワードを付け加えることで、より高品質な回答をしてくれる可能性が高くなるだろう。
以下の内容を基に、ビジネスメールのベストプラクティスに従い、丁寧な文章に清書してください。
大塚太郞様、先日は提案する機会をありがとう。参考になりそうな事例を送ります。
生成AIを業務に定着させるには
業務に生成AIを定着させるためには、本記事で紹介したプロンプト作成のコツや用途別のフォーマットを従業員へ共有し、生成AI活用へのハードルを下げることが重要となる。
生成AIは業務の効率化に大きく貢献する可能性を秘めている。AI黎明(れいめい)期にいる現在から業務への活用を根付かせることを意識していきたい。