中小企業
中小企業の挑戦を後押しする
「成長加速マッチングサービス」とは?
掲載日:2025/05/20

中小企業庁が主体となり、2025年3月より「成長加速マッチングサービス」がスタートした。同サービスは中小企業が抱える経営課題とその解決につながる支援機関をつなぐことで、中小企業の成長や挑戦を支えることを目的としている。同サービスで受けられる支援内容やメリットを詳しく紹介していく。
成長加速マッチングサービスとは?
中小企業庁が主体となった「成長加速マッチングサービス」が2025年3月にスタートした。同サービスは事業拡大、新規事業立ち上げなどを志す中小企業と、それを支援したい金融機関や投資機関、認定支援機関などの支援者をつなげる役割を果たす。
これまで中小企業が資金の調達先を探し出すには、時間と労力がかかっていた一方で、金融機関や支援機関側は情報不足などから、その支援が十分に行き届かないケースがあった。同サービスを活用することで、効率的なマッチングを実現し、中小企業の成長や活性化が期待されている。
同サービスを活用すると、中小企業は金融機関からの適切な融資プランの提案や、経営戦略に合わせた資金計画の作成支援などが受けられる。また後継者不足に悩んでいる企業には事業承継ファンドによる事業の譲受や、事業人材の派遣といった支援も可能だ。

中小企業側のメリット
中小企業が抱える課題は業種や企業形態によってさまざまで、対策や支援を受ける手段などを探し出すのは容易ではない。特に、地方では支援団体自体が少なく、新規事業を始めづらいほか、後継者不足で事業の継承が困難になる場合が多い。こうした地理的な不利益も同サービスによって解消が期待されている。
登録されている支援者は資金調達、経営戦略、マーケティング、DXなど、各方面の専門家であるため、融資にとどまらない企業ニーズに合った支援を受けられる可能性がある。また公的機関からの認定を受けている事業者のみが対象になることも安心して利用できるポイントだ。
同サービスへの登録は、中小企業庁の「事業再構築補助金」、「省力化投資補助金(一般型)」、「ものづくり補助金」の加点項目ともされている。各補助金の応募締め切り日に、挑戦課題のステータスが「掲載中」である挑戦課題を1件以上登録していることが条件である。
また、デジタル庁が発行するGビズIDに登録し、企業情報と「資金調達の課題」「事業承継」「経営相談」の中から選択した項目に合わせた設問や課題を入力すれば登録ができる。その後、支援者の目に留まれば連絡が来るという仕組みだ。
登録されている支援機関
支援を行いたい企業側にも支援をしやすい側面がある。同サービスでは、支援を受けたい中小企業が課題や背景などの定性的な情報を記入するため、ニーズにマッチした具体的な支援策を提案しやすくなる。通常は情報を得ようとしても、財務情報などの定量的な内容の調査やヒアリングから行う必要がある分、迅速にアプローチできる点はメリットと言える。
既に多くの企業や団体が支援者として登録している。グループA~Hに分けられているが、主な業種は以下のとおりだ。

中小企業との接点を増やし、支援を行いたい支援者は、利用事業者と同様にGビズIDに登録すると、事業者の挑戦課題を検索できるようになる。支援したい企業が見つかれば「コンタクト」ボタンをクリックして相手企業に送信する。ここでコンタクトが受け入れられると、担当者の連絡先が表示されるため、直接連絡を取る流れとなる。
新規事業や事業拡大に前向きな中小企業は選択肢の一つに
「成長加速マッチングサービス」は新規事業や事業拡大を後押しする目的で始められたサービスだが、実際の支援内容には事業承継や経営相談などの経営課題に対するマッチングも期待できる。
また中小企業への支援機関にとっても、支援を求めている企業へのアクセスが簡略化され、地元企業以外で地域とつながりのある企業との接点も作りやすくなる。
新たな事業を考えている企業や資金や後継者、経営についての課題を抱えている中小企業はぜひ利用したい。