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現状のシステムではもう限界?
モダナイゼーションで実現すべき企業システム改革

掲載日:2025/05/20

現状のシステムではもう限界? モダナイゼーションで実現すべき企業システム改革

今日のビジネスにおいては、多くの企業で何らかのITリソースの活用は欠かせないはずだ。しかし、業務上不可欠なITリソースであるほど、改修することなく使い続けていることはないだろうか。そこで、ITリソースを大きく刷新する際に重要なモダナイゼーションという概念を紹介する。

レガシーシステム改修のタイミング

企業や団体などが既に稼働しているITリソースを新しい形式のものに置き換え、システムの構造を変革することを「モダナイゼーション」と呼ぶ。また、モダナイゼーションの対象となる古いITリソースはレガシーシステムと呼ばれている。

現代のビジネスに適していないレガシーシステムを使い続けることは、膨大なリソースの無駄遣いにつながるほか、古いシステムに対応できる人手が限られる点においても、管理や保守点検にかかる手間や費用も大きな負担になりかねない。

モダナイゼーションは、レガシーシステムから脱却するだけではなく、最新のITリソースによってより効率化された最適なシステムを構築できる。人手不足問題の解消や働き方改革への対応など、常に変化が求められる現代だからこそ、モダナイゼーションの機運は高まっていると言える。

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モダナイゼーションとマイグレーションの違い

モダナイゼーションについて語る際によく比較されるのが「マイグレーション」だ。マイグレーションとは、既存のITリソースと同じ構造のまま、利用するデータやシステムだけを新たな環境へ移行することを指す。具体例として、業務で利用するシステムをオンプレミス環境からクラウド環境へ移行することなどが挙げられる。

モダナイゼーションを実現する一つの方法としてマイグレーションがあるため、セットで把握しておきたい概念である。

モダナイゼーションの手法

モダナイゼーションを実施する場合、三種類の手法が考えられる。以下にその特長を詳しく解説する。

リファクター

ソフトウェアの挙動を変えることなく、プログラムの内部構造を改善する手法をリファクターと呼ぶ。全構成を最新の状況にそろえられるため、モダナイゼーションの効果が最も大きく期待できる手法だ。しかし、新規システムの構築とほぼ同等のコストが発生する点には注意が必要だ。

リホスト

既存ITリソースをそのまま新しい環境に移行する手法をリホストと呼ぶ。前述した環境で稼働していたシステムを全面的にクラウド環境へ移行するオンプレミスはこのリホストの典型例と言える。しかし移行前のシステムを継続して使用することになるため、最新システムとの連携や拡張性は制限される可能性がある。

リプラットフォーム

リプラットフォームとは、部分的に新規で構築したり、環境を移行させたりする手法を指す。リホストに比べ一部要素のみを改善する手法であるため、実施のハードルが低く、段階的に変革を進められる。

モダナイゼーションの事例

モダナイゼーションは既に多くの企業で実施されている。以下に、実際の例を紹介したい。

リファクター

ある化学系メーカーは、老朽化した業務システムの全面改修を目的にリファクターを実施。同社は受注や配送などの業務管理システムを運用していたが、導入から十数年の間、大規模な改修や更新が行われていなかった。

そこで、同社はリファクターを決断。約2年の期間を費やし、無事に業務システムの刷新を成功させた。これにより社内間のデータやりとりもシステム内で完結するなど、効率的な業務が実現した。

リホストによる大規模な業務効率化

ある情報系サービス企業は、基幹システムのクラウドへ移行するリホストを実施した。最も大きな効果を発揮したのは、システムの処理速度の向上だ。これにより大幅な業務効率化を実現した。

またポータル画面から複数の機能を同時に起動することが可能になり、業務時間の無駄が大きく削減できたことも報告されている。

モダナイゼーションの重要性

レガシーシステムの継続利用は、変化の激しい現代のビジネスにおいて、セキュリティや業務の効率化、他システムとの連携などさまざまな面で不利益が生じることだろう。レガシーシステムを使い続ける顧客には早急なモダナイゼーションを提案すべきだ。