マーケティング

企業のSNS炎上を防げ!
事例と注意点を解説

掲載日:2025/08/19

企業のSNS炎上を防げ!事例と注意点を解説

いまや企業のマーケティング活動に欠かせないSNS。一方、一度SNSで炎上を起こしてしまうとブランドイメージや売上にも悪影響を及ぼす危険性がある。そこで本記事では企業のSNS炎上事例と併せて炎上を防ぐための注意点などを解説する。

高水準で推移する企業の炎上件数

一般社団法人デジタル・クライシス総合研究所とシエンプレ株式会社が共同で発行した「デジタル・クライシス白書2025」によると、2024年の炎上発生件数は1,225件を記録。うち法人などの件数は421件(34.4%)に上った。1,225件という数字は調査を開始した2019年以降で最も少ない記録だが、法人などに限れば2019年を上回る。

一度炎上すると、企業のブランドイメージの低下や売上への悪影響を招きかねない。さらに従業員エンゲージメントの低下につながる可能性もある。1日1件以上の法人などがそのようなリスクを持つ炎上を起こしていると考えると、421件という数字は決して少なくないと言える。

炎上の社会問題化に対する国の動向

2025年4月、SNSや匿名掲示板などでの誹謗中傷の問題を背景に「情報流通プラットフォーム対処法」が施行された。誹謗中傷はその多くがプラットフォーム上で行われるため、同法律によりプラットフォーム事業者などへの適切かつ迅速な対応を義務付けた形だ。誹謗中傷の中には炎上目的のものもある。間接的ではあるが、同法律が有効に機能するようになれば炎上目的による誹謗中傷が以前よりは抑止されるかもしれない。

そのほか同様に誹謗中傷の社会問題化を背景として、2022年7月より侮辱罪が厳罰化された。これも炎上目的の誹謗中傷の抑止として一定の機能を果たすことが見込まれる。

企業や従業員のSNS炎上事例と注意点

最後に企業や従業員が起こしてしまったSNS上の炎上事例を取り上げ、SNSを使用する従業員が気を付けるべき点を解説する。

不適切な“人事あるある”の投稿

とある人事担当者が、“人事あるある”として不適切な内容をSNSに投稿して炎上した事例。投稿内容は「履歴書記載の物件の家賃を検索して、ライフスタイルを想像する」というもの。他のユーザーとは「(物件を)ストリートビューで見る」というやりとりも行った。これは応募者に不快感や恐怖感を与えるには十分な行為であり、応募者のプライバシーを侵害しているものとして炎上した。

おそらくこの人事担当者は応募者本人の目の前で「家賃を検索して、あなたのライフスタイルを想像している」とは言わないだろう。本人の目の前で言えないような、他人のプライバシーに踏み込む投稿は避けるようにしよう。

国・地域の名称表記に関する投稿

某大手コンビニチェーンは世界各国の制服を紹介する企画画像を投稿。投稿では「中国(台湾)」と表記していたため、「台湾は中国の一部ではない」「台湾は台湾である」という趣旨の数多くの非難の声が寄せられ、炎上した。

この炎上事例から分かるとおり、炎上を防止するためには政治的な内容の投稿は避けるべきだ。もし不安な場合は第三者やAIによるチェックを受けることで、炎上リスクを減らすことができるだろう。

なお、そのほかにも某大手エンターテインメント企業が「なんでもない日おめでとう」というメッセージをSNSに投稿したが、投稿日が長崎に原爆が投下された8月9日だったことで炎上した事例もある。たとえ政治的な内容の投稿ではなかったとしても、投稿のタイミングや文脈、そのときの国際情勢などによっては炎上する可能性がある点も押さえておこう。

不適切な言動が投稿されて炎上

交通事故発生時に、某和菓子店の社長(当時)による暴力的な言動がSNS上で投稿された。これにより、同店のアカウントは炎上。「もう買いません」という趣旨の投稿が複数寄せられた。

この事例の当事者は社長(当時)だが、たとえ従業員が同じ行為をしたとしても(仮に会社が特定された場合は)炎上は免れなかっただろう。従業員の不適切な言動が投稿されて炎上した場合、企業だけでなく、その従業員個人にも多大なダメージが及びかねない。いまや誰もがスマホを持ち、撮影する・される時代である。不適切な言動がSNSに投稿された際に起こり得るリスクについて啓発することで、同和菓子店のような不適切な言動による炎上リスクの芽を摘むことができるかもしれない。

たとえ投稿者は問題ないと判断した投稿であっても、他人から見たら不適切だと判断され、炎上するリスクがある。本記事で紹介した事例も踏まえ、SNS運用のガイドラインを定めることも検討したい。