組織改革
AI時代に求められるリーダーのスキルとその高め方とは
掲載日:2025/10/28

2025年3月31日~4月3日、定額制動画学習サービス「GLOBIS 学び放題」を提供する株式会社グロービスは若手リーダーを対象とした「AI時代のリーダーに必要なスキル・ 性質に関する実態調査」を実施。本記事では同調査の質問項目の一つ「AI時代のリーダーが持つべきスキル」にて上位回答されたスキルおよびその高め方を解説する。
AI時代のリーダーが持つべきスキルの上位回答
株式会社グロービスはAIを活用する30代の若手リーダーを対象に「AI時代のリーダーに必要なスキル・ 性質に関する実態調査」を実施。
同調査では「ビジネスにおけるAI活用が進む中、リーダーが持つべき重要なスキルは何だと考えますか。(複数回答可)」という質問がなされた。回答結果は以下のとおり。

1位は「データ分析力」、2位は「コミュニケーションスキル」、3位は「リスクマネジメントスキル」という結果になった。それぞれのスキルについて深掘りしていく。
AI時代のリーダーが持つべきスキル1位|データ分析力
同調査で42.6%の回答を集めて1位となったのが「データ分析力」。AIに関連する「データ分析力」とは、「AIに適切な分析対象データを入力する力」「AIが出力した分析結果の精査および取捨選択をする力」などに分類することができる。まさにAIをより効果的に活用するためのベースとなるスキルだ。
データ分析力の向上は一朝一夕にはいかないが、ポイントはデータ分析の「目的」を明確にすることにある。データ分析はあくまで課題を解決するための手段であり、目的ではない。データ分析を行う「目的」を適切に設定することで、AIに分析してもらうデータの選定から出力結果の精査まで分析プロセスごとの判断基準が明確になり、より有効な分析を行うベースが整えられる。特にデータに基づく意思決定を担うリーダーは意識したいポイントだ。
AI時代のリーダーが持つべきスキル2位|コミュニケーションスキル
2位は「コミュニケーションスキル」で38.4%の回答を集めた。
AIが一部業務を担う時代であっても、リーダーが担うチームビルディングや部下との信頼関係構築などに不可欠なコミュニケーションスキルは変わらず重要である。また対AIの観点においても同スキルは重要だ。AI活用にあたってはプロンプトの質がそのままアウトプットの質に影響する。その点、コミュニケーションスキルが高い人材は人間に接するのと同様に「望む答えを得るためにどのような対話をすべきか」を考える力が高いためだ。
コミュニケーションスキルの高め方はさまざまだが「アクティブリスニング」の実践もその一つ。アクティブリスニングとは「積極的傾聴」とも訳され、相手の話をただ黙って聞くのではなく、聞き手が主体的に相手の主張への理解・共感・適切な反応を行う技法である。アクティブリスニングを通じて相手の立場・考え方を理解することで、より建設的かつスムーズな対話を行えるようになるだろう。
AI時代のリーダーが持つべきスキル3位|リスクマネジメントスキル
3位は37.2%の回答を集めた「リスクマネジメントスキル」だ。同スキルが3位にランクインした背景には、AI時代のリーダーには部下たちに適切なAI利用を指導する役割があるためだろう。例えばAIには誤った情報を真実のように回答するハルシネーションのリスクがあるが、その認識が甘いままAIを活用してしまえば、業務の正確性や顧客との信頼性などが毀損(きそん)しかねない。AI時代においてはこのようなAI特有のリスクを減らすためのスキルがリーダーに求められる。
こうしたAI時代に特有のリスクマネジメントスキルを高めるためには、まずはリーダー自身がそのリスクを把握することが必須だ。ハルシネーションだけでなく、個人情報・機密情報の漏えいや不正アクセスなどのリスクを事例も交えて理解することで、AIリスクのアンテナの感度を高くできる。
求められるのは「AIには代替しづらいスキル」

調査によって明らかになったのが、AI時代におけるリーダーにはデータ分析力のように「AIをより効果的に活用するスキル」やコミュニケーションスキルおよびリスクマネジメントスキルのように「AIが代替しづらいスキル」が求められる可能性が高いということ。特にAIを積極的に活用している組織を率いるリーダーは、それらのスキルの継続的な向上に努めることが重要だ。