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ブロックチェーンの2025年版トレンドは? 実際の活用事例も解説
掲載日:2025/11/04

いまや国内外のさまざまな分野で活用が進んでいるブロックチェーン技術を使いこなすには、今年2025年のトレンドを把握することも必要である。本稿では、ブロックチェーンの2025年版トレンドとその活用事例を詳しく解説していこう。
2025年も世界中で注目されているブロックチェーン
ブロックチェーンとは、複数のコンピューターが同一のデータを分散管理する技術である。各種取引記録は暗号技術で保護され、後から変更することが極めて難しい。国内外で普及しており、グローバル市場ではブロックチェーン関連の規模が2024年の201億ドルから2029年には2,489億ドルへと拡大する見込みである(成長率:年平均65.5%)。
一方、国内市場は2025年時点で約7,247億円に到達すると推計されている。各国では政府によるブロックチェーンに関する規制整備や企業投資の増加が進んでおり、今後も市場の成長を見込めるであろう。
ブロックチェーンの2025年トレンドワード6選
ここでは、ブロックチェーンに関する2025年のトレンドワードについて、以下の六つを解説する。
BaaS
BaaS (Blockchain as a Service)とは、企業が独自にインフラを構築せずともブロックチェーンを利用できるサービス形態である。大手企業も既にBaaSプラットフォームを展開しており、これにより低コストかつ迅速にブロックチェーンを活用できる。また、今後はブロックチェーンに関する規制の明文化も進むと見込まれるため、規制に対応したデータ保護ソリューションについても開発が進むだろう。
RWA
RWA(Real-World Assets)は不動産や美術品などの実物資産を意味しており、これをデジタルトークンとして表現する技術のビジネス活用が普及してきた。現物資産もブロックチェーン上で取引できるようになり、流動性の向上が期待される。これにより、現物投資に参入するハードルも低下するであろう。また、所有権の移転も容易になるため、仲介コストの軽減や資産管理の透明性向上にもつながると期待される。
AIとの融合
ブロックチェーンとAI技術を融合させることで、データの信頼性や透明性を向上できると期待されている。この融合により企業は高度なAIモデルを安全に開発でき、データの完全性に関する課題の解消とイノベーションの加速を両立させることが可能になる。2025年までに市場規模は7億3,000万ドルを突破し、年平均25.3%(2020年-2025年)の成長率が見込まれている。
分散型ID
分散型IDは、ブロックチェーンを基盤として、ユーザー自らが自身の個人情報を管理できる仕組みである。中央管理者に依存せずとも本人確認ができるため、Web3プラットフォームでのユーザー体験を変革し、プライバシー保護と所有権確保に寄与する。
ステーブルコイン
ステーブルコインは法定通貨と連動している暗号資産で、2025年には円建てステーブルコインの発行が開始されることとなった。暗号資産でありながら価格の安定性を有することが特徴で、資産のトークン化が加速するとみられる。預金型ステーブルコインは融資資金の域内循環を促進すると期待され、取引コスト削減や企業収益改善につながるだろう。
DePIN
DePIN(Decentralized Physical Infrastructure Network:分散型物理インフラネットワーク)は、各個人が物理的リソースを持ち寄ってインフラを構築・維持する手法である。シェアリングエコノミーをより小規模な単位で実現し、手軽に参加できる。DePINの参加者に報酬を与えることで、単体の組織だけでは困難なインフラ運営の円滑化や人手不足解決につなげる動きもある。
ブロックチェーンの活用事例
最後に、ブロックチェーンの活用事例を三つ紹介する。
食品×RWA
例えば酒類をNFT化するRWAサービスを用いることで、一般の個人では購入が困難である高価なたるを小口化するサービスが提供されている。これにより、個人投資家も酒類が熟成することで得られる価値を享受できる仕組みを構築した。また、別の酒類NFTサービスでは、引換チケットをNFT販売することで二次流通時に酒蔵へロイヤリティを還元できる。
教育機関×分散型ID
分散型IDによるデジタル学生証の実証実験を進めている大学が存在している。これを使えば、スマートフォン連携で在籍証明・単位証明・オンライン授業の本人確認が可能である。卒業見込証明書発行や単位互換にも対応し、今後は企業や他大学との相互運用を視野に入れている。
インフラ×DePIN
インフラ業界でも、ブロックチェーン技術を応用した取り組みが行われている。そのうちの一つが、DePINプロジェクトだ。参加者は電柱やマンホールを撮影して提供することで、仮想通貨やギフト券が報酬として受け取れ、提供された情報は設備保守に活用される。
ブロックチェーンの2025年最新トレンドを把握して自社ビジネスで活用

ブロックチェーンの各種取引記録は暗号技術で保護されている。この特性からビジネス利用が近年急速に進んでおり、その技術も大きく進歩してきた。
今後も自社のビジネスでブロックチェーンを使いこなすには、最新のトレンドを常に把握しておくことが重要である。そのため、本稿ではブロックチェーンに関する今年2025年版のトレンドキーワードとして、BaaSなど六つのキーワードを紹介した。
自社のクライアントには、業務プロセスの信頼性向上や取引コスト削減の手段として、ブロックチェーン活用を提案してみるのも良いだろう。