テレワーク

厚生労働省「輝くテレワーク賞」の受賞企業はどんな取り組みをしている?

掲載日:2026/01/20

厚生労働省「輝くテレワーク賞」の受賞企業はどんな取り組みをしている?

コロナ禍を機に一気に広がった「テレワーク」。しかし、現在テレワークを導入しているものの「もっと良い体制を整えられないか」と考える企業も多いはず。そこで、本記事では令和6年度の厚生労働省「輝くテレワーク賞」を受賞した企業の取り組みを紹介していく。

2024年は首都圏の4社に1社がテレワークを実施

国土交通省が2024年10月に実施した調査をまとめた「令和6年度テレワーク人口実態調査-調査結果」によると、直近1年間のテレワーク実施率※は全国平均15.6%、首都圏平均では27.2%である。首都圏においては、4社に1社はテレワークを実施していることが分かる。

また同調査結果には「コロナ禍を経て、出社とテレワークを組み合わせるハイブリッドワークが定着傾向」と明記されている。テレワークはいまや当たり前とも言える働き方の一つだ。そのため、より充実したテレワーク環境の整備が求められる時代といえよう。

※雇用型就業者のうち、各調査年度において直近1年間にテレワークを実施しているテレワーカーの割合

厚生労働省「輝くテレワーク賞」受賞の六つの企業の取り組み

厚生労働省「輝くテレワーク賞」を受賞した全6企業の取り組みを紹介していく。

労働生産性の大幅アップを実現

システム開発会社の株式会社プログレスは、2020年の創業時よりテレワーク(フルリモート×フルフレックス制度)を導入している。同社のテレワークの環境整備施策には、「コミュニケーションガイドの作成」や「PeMAPの作成」などが挙げられる。

前者はツールごとのコミュニケーション方法やアイデアを細かく提示したもの。また、後者はテレワーク環境下においてスムーズかつ高品質なアウトプットを実現するために必要なスキルを言語化したマップだ。

こうしたテレワークの環境整備により、同社の2023年度の「労働生産性※」は799.7万円に上る。これは、「2022年版 中小企業白書」に記された情報通信産業の労働生産性の平均(563万円)を大きく上回る数字だという。テレワークの導入が労働生産性ひいては企業収益に結びつくことを示す、好事例といえよう。

※労働生産性の具体的な算出方法
1.労働生産性=付加価値額/総従業員数
2.付加価値額=営業利益+役員給与+役員賞与+従業員給与+従業員賞与+動産・不動産賃借料+租税公課
3.従業員数=役員数+従業員数

障がいのある人のライフワークバランス向上に寄与

約50名の障がいのある人が働いているグリービジネスオペレーションズ株式会社では、精神・発達障がいのある社員の能力を最大限発揮するための合理的配慮を目的に2020年4月からテレワークを導入した。具体的な環境整備施策としては、「オンライン朝礼の実施」や勤怠予定を共有できる掲示板および会社生活に必要な情報をまとめた「社内ポータルサイトの作成」などが挙げられる。

また、テレワーク導入効果の一つに社員の「心身の安定」が挙げられる。社員アンケートでは「通勤ストレスから解放された(84%)」「対人関係のストレスが減った(67%)」「体調が安定した(44%)」などの回答(複数回答あり)を得られた。テレワークの実施が同社社員のライフワークバランスの向上に寄与していることが分かる。

テレワーク×ホラクラシー型組織で柔軟な働き方を実現

学習塾を運営する有限会社ジェムでは、年齢・性別・ライフステージにとらわれない働き方を実現するためにテレワークを導入。業務のオンライン化・クラウド化を進め、これまで教室でしかできなかった業務を他の場所でもできるように環境を整備した。

また役職や階級、上下関係をなくし、意思決定権を社員に分散させる、ホラクラシー型の組織体系を採用している同社では、基本的に一つの業務を複数人で担当しており、社員の急な欠勤が発生した際にも他の誰かが業務に対応できる環境が整えられているという。これにより、テレワークとあわせて、同組織体系も社員の柔軟な働き方の実現に寄与しているのだ。

同社の事例を参考にすると、テレワークの推進・浸透にはチーム体制の見直しも効果的であることが分かる。

離職率が低下傾向

パーソルホールディングス株式会社では、テレワークの積極活用と共に一部職種では「居住地フリー」を導入するなど、場所にとらわれない「新しいはたらき方」を推進している。これは同社にとって、従来の「一つのオフィスに出社する働き方」から「社員が自律的に働く場所を選択する働き方」へ移行する、大きな挑戦だという。

「新しいはたらき方」の推進効果として、社内サーベイでは働き方の柔軟性に関してポジティブな回答率が高く、また直近数年間の離職率も低下傾向にあるという。そのほか、テレワークの活用で時間を柔軟に使えるようになり、約10%の社員が複業(パラレルワーク)に取り組んでいる。テレワークが社員のエンゲージメントと自主性の向上に貢献した好事例といえよう。

テレワークが業績の向上にもつながった

デジタルマーケティング支援等を手掛ける株式会社Massive Actでは、オフィス勤務と同等以上の生産性実現を目指してテレワークを導入した。まずは業務プロセスの抜本的な見直しを行い、不要と判断した業務を廃止。マニュアル化ツールで詳細な手順を作成することで、それまで属人化していた業務の標準化・平準化も推し進めたという。さらに業務効率化ツールやRPAなどを活用して定型業務の自動化も推進するなど、さまざまな施策を実施した。

その結果、テレワーク環境下での生産性向上と業務効率化を実現し、残業時間抑制や業績向上につながった。テレワークと聞くと「従業員満足度向上のための施策」というイメージがあるかもしれないが、同社はそれだけでなく、「業績の向上」にもつなげた好事例である。

丁寧な環境整備がテレワークの浸透につながった

パッケージ製造・販売などを手掛ける株式会社吉村では、コロナ禍における2020年の緊急事態宣言発令を受けて、半ば強引に本格的なテレワークの導入に踏み切った。それ以前もテレワークは行っていたものの、全社には浸透していなかったという。

テレワーク導入に当たっては、会社への入電やFAXを自宅で確認できる環境の整備のほか、出社人数をスプレッドシートで可視化するなどのさまざまな取り組みが行われた。また事務系社員にはノートパソコンと携帯電話を1人1台ずつ貸与し、貸与できない社員には個人携帯を利用してもらう代わりに通信費分の手当を支給して、社員の不安解消に努めたという。一つ一つ丁寧に環境整備を行いながら、テレワークの浸透を図った事例といえる。

テレワークの導入施策は企業によってさまざまだ。テレワークをさらに推進させたいクライアントには、本記事で紹介した企業の取り組みを紹介してみてはいかがだろうか。