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2026年度から「IT導入補助金」が「デジタル化・AI導入補助金」に名称変更

掲載日:2026/02/10

2026年から「IT補助金」が「デジタル化・AI導入補助金」に名称変更 予想される変更点や活用ポイントは?

2026年度から、従来の「IT導入補助金」を刷新して創設される「デジタル化・AI導入補助金」。名称変更だけでなく支援内容も変わり、上手に使いこなすためには確実に内容を把握しておかなければならない。本記事ではデジタル化・AI導入補助金の意味や申請枠、活用ポイントまで詳しく解説していこう。

デジタル化・AI導入補助金とは

デジタル化・AI導入補助金とは、政府が中小企業などの生産性向上を目的として運用する補助金制度である。AIやクラウドツールの導入費用を支援することで、業務の自動化やDXの進展を後押しする。ここでは、前身のIT導入補助金から予想される変更点について以下の二点を解説する。

AI活用ツールの補助要件

従来の補助対象であるソフトウェア導入支援に加え、生成AIや業務自動化AIの活用が重視されるだろう。要件を満たすためにはツールの所有だけでなく、AIを組み込む業務プロセスやその付加価値にも注目しなければならない。特に審査では、実務での定着状況や省人化への寄与が重視されると思われる。

サイバーセキュリティへの強化

DXやAIの技術が発展している半面、セキュリティリスクも増大してきたため、セキュリティ対策支援がさらに強化されるであろう。サイバー攻撃への備えを経営課題と捉え、セキュリティ対策に関する取り組みを促進する枠組みが維持・拡充されると思われる。企業の信頼性を担保するためにも、万全のセキュリティ対策を講じることが重要である。

デジタル化・AI導入補助金の申請枠

ここでは、デジタル化・AI導入補助金の申請枠について、以下の五点を解説する。

通常枠

通常枠では、自社の課題解決に向けた汎用的ITツールの導入を幅広く支援する。業務効率化や売り上げ向上に役立つ多種多様なソフトウェアが対象で、生産性の向上を目指す中小企業にとっては最も利用しやすい。

複数者連携デジタル化・AI導入枠

複数者連携デジタル化・AI導入枠では、商工団体や地域の中小企業グループが連携して取り組むDX活動を支援する。複数の事業者が共通のシステムを導入し、地域全体のサプライチェーン効率化や、単独では難しい高度なAI活用を実現してもらうことが狙いである。

インボイス枠(インボイス対応類型)

インボイス枠(インボイス対応類型)では、インボイス制度へ対応するための会計ソフトや受発注システムの導入を支援する。小規模事業者に対して高い補助率が適用される傾向があり、法制度への適応だけでなくバックオフィス業務のデジタル化にも有用である。

インボイス枠(電子取引類型)

インボイス枠(電子取引類型)では、取引先と電子データでやり取りするシステムの導入を支援する。受発注のデジタル化でインボイス対応に必要な電子保存要件を満たすことに加え、事務作業の削減・効率化が狙いである。

セキュリティ対策推進枠

セキュリティ対策推進枠では、サイバー攻撃から自社の情報資産を守るべく、セキュリティ製品の導入を支援する。IPA(情報処理推進機構)が示すセキュリティアクションを実施することが前提であるが、高度な脅威に対しても低コストで防御体制を構築できることがメリットだ。

デジタル化・AI導入補助金の申請プロセス

ここでは、デジタル化・AI導入補助金の申請プロセスについて、以下の三点を解説する。

申請する補助金の申請枠決定

まずは自社の事業目的や導入したいAIツールの機能を踏まえ、申請する補助金を決定する。補助金額や補助率、さらには対象となる経費は申請枠ごとに異なるため、最新の公募要領を読み込んで、自社の要件にマッチするかを確認しなければならない。

事業計画の策定

事業計画では、導入するツールをどの業務で活用し、どの程度生産性を向上させられるか、具体的な数値目標まで示すことがポイントである。IT導入支援事業者と連携し、経営課題の解決プロセスを明確に記述し、採択の可能性を高められるように書類を準備する必要がある。

申請手続き

事務局のポータルサイトを通じ、GビズIDプライムアカウントから電子申請を行う。セキュリティ対策の自己宣言や経営診断の実施が必要な場合もあるため、締め切りに余裕を持って必要な書類をアップロードし、申請を完了させなければならない。

デジタル化・AI導入補助金を有効活用するポイント

ここでは、デジタル化・AI導入補助金を有効活用するポイントについて、以下の四点を解説する。

業務課題の事前整理

補助金の活用を検討する前に、自社が抱える課題を図や表に書き出して整理してみよう。これにより、既存業務フローにおけるボトルネックを客観的に把握でき、AIツールなどをどこに導入すれば大きな効果が見込めるかを特定できる。

改善業務の明確化

AIツールは単に導入するだけでは、十分な効果を期待できない。大切なことは、AIで具体的にどの業務を自動化、もしくは補助するかを明確にすることである。AIで改善したい業務を明らかにすることで導入後のミスマッチを防ぎ、確実な成果が見込めるであろう。

早めのツール選定

事前に事務局へ登録されているツール以外は、補助金の対象にならない。そのため、申請までのスケジュールから逆算し、自社の課題解決に最適な登録ツールが存在するかを確認しておくことが重要である。IT導入支援事業者とも早めに相談するとよいであろう。

補助金は併用可能か事前確認

ものづくり補助金など他の補助金と、デジタル化・AI導入補助金を同じ経費で重複申請することは不可能である。そのため、制度ごとに目的や要件が異なることを前提に、どのように補助金を組み合わせれば最も自社の活動にプラスになるかを立案しなければならない。

デジタル化・AI導入補助金でDXを推進

2026年度から始まるデジタル化・AI導入補助金は、政府がAIやクラウドツールの導入費用を支援することで、経営基盤の強化を図る制度である。

従来のIT導入補助金よりも、AI活用の促進やセキュリティへの強化に重点を置くことが予想される。最適な補助金の申請枠を決定し、事業計画の策定や申請手続きを行わなければならない。デジタル化・AI導入補助金の有効活用には、改善したい業務の明確化や早めのツール選定が必要である。

自社のクライアントには、DX推進の手段として、デジタル化・AI導入補助金の活用を提案してみるのもよいだろう。