製造業
2026年末まで続く!?
PC向けメモリーの価格高騰の現状とは
掲載日:2026/03/10

PC向けのメモリーをはじめとする半導体不足が世界中で広がり、価格高騰につながっている。なぜ今、半導体の価格が上がり、メモリー欠品が相次いでいるのか。今後、メモリーの価格高騰が収まる見込みはあるのか。また、現在の状況から今後のPC購入計画をどのように進めていけばいいのかを考えていこう。
メモリーの価格高騰
2025年後半から半導体不足によるメモリーの価格高騰が続いている。
メモリーの需要と供給が価格に大きく関わるPCは、コロナ禍の在宅勤務特需で一時、需要が大きく伸びたが、一段落して2023年には出荷台数が減った。その後、2025年にWindows 10のサポート終了やGIGAスクール構想の推進などで出荷台数が再び増加した。
しかし、半導体不足と価格高騰は解消しない。特に深刻な状況に陥っているのがメモリーだ。メモリーは、PCやタブレット、スマートフォンなどに搭載され、アプリの実行などの一時的なタスクを処理するDRAMと、写真や動画などのファイルを保存するNANDフラッシュメモリーの2種類に分けられる。
DRAMの主な規格であるDDR4の欠品、DDR5の不足で値段が上がっていることはよく報道されているが、NANDも同様に値段が上がっており、契約価格は過去12カ月で約7倍に跳ね上がっている。
メモリーの供給不足が起こった理由
AIブームによってデータセンターの建設ラッシュが続き、現在、半導体メーカーは製造の主軸をデータセンター向けにシフトしている。OpenAIや、Googleの親会社アルファベットは、生成AIなどのアプリケーションを稼働させるために、生産されるメモリー半導体の大部分を消費しているとされている。DRAMの世界シェアはSKハイニックス、サムスン電子、マイクロンの3社で9割以上を占めるが、そのいずれもがAIデータセンター向けの製品にシフトしている。
データセンターへの投資は国内だけでも数千億~数兆円規模と言われ、新設だけでなく既存システムを増強するケースも右肩上がりで増えている。データセンターには、高性能CPUやGPU、HBM(広帯域メモリー)、大容量・高耐久SSDが大量に使われるが、これらに搭載されるメモリーは半導体メーカーにとって利益率が高いため、優先して製造されることになる。
また、PC向けメモリー供給不足の理由の一つには、世代交代の時期がAI需要に重なったことも指摘されている。
DDR5は2020年にリリースされ、2023年頃から普及が進んだ。その前世代にあたるDDR4は当初、2025年末~2026年初頭に生産を終了する予定だった。つまり、現在はDDR4からDDR5への世代交代の時期に当たり、DRAMの生産量が「谷間」になっている。
DDR5の供給が足りないために、DDR4の生産終了は延期されることになったが、どの程度供給が戻るかはまだはっきりとは分からない。
メモリーの価格高騰はいつまで続くのか

「AKIBA PC Hotline!」2026年2月12日の情報によると、秋葉原に構える各ショップの店頭価格は、比較的低価格な製品の入荷や特価販売などによって高止まりが緩みつつあるという。しかしこの状態が続き、徐々にメモリー価格が下落するかというと、そうではない。業界アナリストらの見方では、まだしばらく高値が続くようだ。
AI関連のインフラ投資は2026年がピークだと言われている。少なくとも2026年中は現在と同様、またはさらに値上がりしていく可能性があると考えられる。
現在、サムスン電子が韓国京畿道平沢市に建設している平沢キャンパス第5工場は、次世代DRAMやHBM、半導体の受託生産を網羅するハイブリッド型メガファブとして稼働する予定だ。完成すれば、メモリー不足の解消にもつながりそうだが、稼働開始は2028年の見込みとなっている。
マイクロンは米国ニューヨーク州に大型の工場、サプライヤーの入居を想定した工業団地などを建設し、2026年1月に竣工式を行った。2030年の第1ファブを皮切りに、2041年には4つ全てのファブを稼働させる予定で、完成すればかなりの量産が期待できそうだ。しかし、これも直近でのメモリー不足の解消には至らない。
SKハイニックスは、韓国龍仁市で建設中の新工場を、当初の予定を3カ月前倒しして2027年3月に稼働開始させると発表した。これは少し希望が持てる情報ではある。
業界アナリストらは、メモリーの供給不足が2028年まで続くという予測を出している。AIブームと大手半導体メーカーの動向から、残念ながらこの予測が当たってしまうかもしれない。
PC購入のタイミングは?
現在PCの購入を考えているのなら、2026年3月中に購入やリース契約を済ませることをおすすめする。4月以降はさらに価格が上がっていく可能性が高いからだ。
既に価格は上がってきているため、新規購入の際はスタンダードPC、ハイエンドPCともに5~15%の価格上昇幅を含めて予算を設定しよう。各社、納品までに3カ月~半年程度かかる可能性があることも見込んでおく必要がある。