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配信日:2010-04-01
制度改正でビジネスチャンス! SIer、官公需に熱い視線
官公需にSIerの熱い視線が注がれている。民需の底離れが遅いうえに、新政権の施策の具体化に伴う官公需のIT需要の拡大が期待できるからだ。東海地区最大手SIerのトーテックアメニティは、自治体や医療分野に力を注ぎ、日立情報システムズは介護・福祉向けの新商品投入によるシェア拡大を本格化。医療や介護・福祉などでの「制度改正が向こう数年は断続的に見込める」(トーテックアメニティの川北敏久取締役)と、ビジネスチャンスを虎視眈々とうかがう。
●自治体や医療、介護・福祉に焦点
公共や医療などの分野では、制度改正によるITシステムの手直し需要が周期的に発生する。例えば、検討が進む納税者番号制度や医療改革などを実行するとなれば、自治体や病院の基幹業務システムの手直しや刷新は欠かせない。福祉・介護分野でも2011年度以降、断続的に改正が進む見込みだ。有力ベンダーは“絶好のビジネスチャンス”と捉えて準備に余念がない。
トーテックアメニティ(名古屋市)は、既存の自治体向け基幹業務システムを大幅に刷新。中核となるソフトモジュールを集約したコアパッケージ「G-COAS」をベースに、人口規模で10万人前後の自治体向けの営業に力を入れる。子ども手当など新政権の目玉施策にも柔軟に対応できるよう、カスタマイズ性能を向上。自治体顧客からの「引き合いは上々」(川北敏久・取締役執行役員公共医療システム事業部長)と手応えを感じている。同社は、医療向けITシステムの分野でトップシェアの富士通の東海地区トップソリューションプロバイダでもあり、「依然として厳しい受注環境の民需を、公共・医療分野の受注増でカバーする」(同)としており、落ち込んだ製造業向けなどのビジネスを補う方針だ。
公共ビジネスに強い日立情報システムズは、頻繁な制度改正が見込まれる介護・福祉向けの業務システムを2010年1月から順次リニューアルし始めた。クラサバ(クライアント/サーバー)時代の古い開発言語を改め、制度改正に対応しやすいようJavaで全面的につくり直した「福祉の森FUTURE」シリーズの製品ラインナップを拡充。「システムの更新や入れ替えのタイミングがシェア拡大好機」(田中正太・福祉営業部担当部長)と捉え、2013年度までに介護事業所向けでシェア20%、障がい者施設向けで同50%の獲得を目指す。
制度改正による周期的な需要が期待できる官公需だが、あまりに周期が短いとソフト改変にかかる先行的な費用がかさみ、回収が難しくなる。公共で民需の落ち込みを補う必要に迫られているとはいえ、資金力があるベンダーがシェアを伸ばす過酷な“体力勝負”になる恐れもある。(安藤章司)
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