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IT業界ホットニュース

配信日:2010-04-28

<ライフサイクルマネジメント特集>環境激変! IT資産管理のニーズ高まる

クラウド/SaaS化が後押し

 IT資産管理のメインターゲットであるクライアント端末を取り巻く環境は、今、大きく変わろうとしている。クラウド/SaaSの利用拡大や、クライアントOS新版のWindows 7への移行が本格化するなど、利用環境が変化。パソコンやサーバー、ネットワークなどユーザー企業内に溢れるIT機材を統合的に管理し、維持運用にかかるコストのより一層の削減を求めるニーズが高まっている。この特集では、こうしたニーズに応えるIT資産管理システムを開発するベンダーやそのビジネスパートナーを中心に最新動向を探る。

 IT資産管理システムは、クライアント/サーバー型システムの維持管理コストの削減需要の高まりとともに発展してきた。当初は、クライアントの機種やCPU、メモリのスペック、導入済みソフトの種類などの情報=インベントリを収集するタイプがメインだったが、今は情報セキュリティやソフトライセンス(ソフトの使用許諾)状況など、さまざまな情報を統合的に管理する方式へと変わりつつある。

 さらに、パソコンやサーバー、ネットワークなどのIT機器の発注や修理、棚卸し、廃棄などのITライフサイクル全般を専用のワークフローシステムによって、ユーザー社内の関連部門や外部業者などと情報を共有していく。こうしたIT資産管理システムと連動させることで、より効率的な管理を実現し、維持運用コストの低減に結びつける動きも活発化している。

 近年では、クラウド/SaaS型の浸透や、Windows 7への移行が本格化しており、従来のクライアント/サーバー型を刷新するアーキテクチャを導入するタイミングで、IT資産管理システムを見直すユーザー企業が増えている。

 大手ユーザー企業は、自社内にプライベート・クラウドを設置し、グループ企業で共有し、アプリケーションはSaaS方式で利用することで、個々のパソコン端末にソフトをインストールする手間を省くケースが増えた。また、今のところユーザー企業で多く使われているWindows XPから、Windows 7へ切り替える動きも着実に拡大している。ユーザー企業では、将来の拡張性を見越して64bit版のWindows 7の一部導入を始めるケースもみられ、クライアントを巡る環境が大きく変わりつつある。

 IT資産管理システムも、こうしたクライアント周りの変化に迅速に対応する必要がある。IT機器の「インベントリ情報」、アクセスログなどの「セキュリティ情報」、SaaSなど月額課金ベースのサービス型ソフトに対応した「ソフトライセンス管理」に対応し、なおかつ機器やソフトの発注から導入、運用、廃棄に至る一連の“ITライフサイクル”全体を支える仕組みが求められている。

 有力SIerの1社で、IT資産管理システム「ITAM(アイタム)」を開発するコア(簗田稔社長)は、インベントリやセキュリティ、ソフトライセンスなどの情報を一元的に管理する“構成管理データベース”を軸としたアプローチを採用。ユーザー企業が、構成管理データベースの情報を共有することで、統合的なIT資産管理を実現するものだ。特徴的なのは、データベースの情報を活用するワークフローエンジンを別途開発し、IT機器やソフトのライフサイクル管理(LCM)を効率的に行えるように設計されている点である。ITAMを担ぐSIerやソフト開発ベンダーなどのビジネスパートナーも増えている。

 インベントリの収集や、セキュリティ情報に特化したソフトでは、一元的なIT資産の管理は難しい。ましてや、分散型のクラサバ方式から、集中型のクラウド/SaaS方式へとシステムやサービスの統合化が急速に進む時期に差し掛かっている。IT資産における統合的な管理手法の導入も、もはや避けては通れない。Windows 7への移行のタイミングで、IT資産管理システムのリプレース需要が高まるのは必至だ。SIerやソフトベンダーにとって、大きなビジネスチャンスになっている。次ページ以降では、IT資産管理ビジネスに取り組む有力ベンダーの取り組みをレポートする。

コア
IT資産管理システムが好調
ユーザー評価高まり、販路拡大へ

 有力SIerのコア(簗田稔社長)が開発するIT資産管理システム「ITAM」が売れている。IT資産の構成をデータベースで一元的に管理するというITAMの特徴を、ユーザー企業が高く評価。販売を担うビジネスパートナーに新たに兼松エレクトロニクスが加わるなど、販路も着実に拡大している。コア自身による直販に加え、パートナー経由の売り上げが増えたことなどが後押しし、10年3月期のITAM関連ビジネスの売り上げは前年度比約2割増に達した模様だ。今年6月をめどに開発を進める次期バージョンでは、クラウド/SaaSや仮想化、64bitへの対応などをさらに強化して、シェア拡大を目指す。

 コアの「ITAM」が売れている秘密は、パソコンなどのIT資産のライフサイクル全体を管理する“構成管理データベース”にある。これを中核にして、管理部門や情報システム部、パソコンなどを設置する業者など、複数の組織でIT資産情報を共有。ライフサイクル全般にわたって統合的にIT資産の状況を無駄なく把握できる点が、高く評価されているのだ。

 パソコンのCPUやメモリー、セキュリティ、ネットワーク構成などのインベントリ情報を収集する仕組みはこれまでにもあったが、ITAMはこれら収集した情報をライフサイクル管理に生かすことに重点を置いている。構成情報データベースを可視化して、ライフサイクル管理に生かすためのユーザーインターフェース「ITAM LCM(ライフサイクルマネジメント)」も充実しており、IT資産管理を通じてコスト削減を強く求めるユーザー企業からの引き合いが増えている。

 大手ユーザー企業からの引き合いも増え、「10万クライアント単位の商談も珍しくない」(コアの武内烈・ネットワークソリューション部 情報資産ビジネスユニット長)と、不況でコスト削減を進めるユーザーのユーズに合致した。

 ITAMの開発はすでに10年近くになり、累計の納入社数は1500社、ライセンス数で100万ライセンス余りに達する。数年前まではコア自身による直販が中心だったが、ここ1~2年は大手SIerや有力ソフト開発ベンダーなどのビジネスパートナーが急増。2009年からは本格的なビジネスパートナー施策を打ち出すに至っている。

 ビジネスパートナーは、昨年度(2010年3月期)に新たに兼松エレクトロニクスが加わって、一次代理店が3社に増えた。既存の住商情報システム、東芝ソリューション、そしてコアを含めて計4社で、およそ30社ある二次代理店を強力にサポートしている。さらに今年1月、製品アライアンスパートナーとしてソフトクリエイトが加盟。ソフトクリエイトが独自に開発したセキュリティ製品「L2Blocker(エルツーブロッカー)」とITAMの連携を始めた。

 L2Blockerは、不正に接続されたパソコンを検知・排除する製品で、ITAMのIT資産管理機能で把握していない未登録パソコン(=不正パソコン)を、L2Blockerの排除機能によってネットワークから強制的に遮断する。セキュリティポリシーが適用されていない未登録パソコンをネットワークから切り離すことで、セキュリティ事故の大きな要因になってるファイル共有ソフトやスパイウェアなどによる情報漏えいリスクを最小化するものだ。

 ITAMは、IT資産管理ビジネスを手がける他のSIerやソフトベンダーなどへのOEM提供も行っており、一次代理店、二次代理店、製品アライアンスパートナー、OEMパートナーの計4系統のチャネルで展開する。

 コアは、今年6月をめどにITAMの新製品「バージョン5」を完成させる予定だ。ユーザー企業のプライベートクラウド構築や、サーバーの仮想化、クライアントPCの64bit化など、IT資産管理のメインターゲットであるパソコン端末を取り巻く環境の変化を先取りするものだ。現行バージョンでもクラウド/SaaSや64bitに対応しているが、「大元となる開発言語から抜本的に見直し、従来のクライアント/サーバー型との互換性を保ちつつ、クラウド/SaaSや64bitへの完全準拠を成し遂げる」(武内氏)と、設計を根本的に見直したメジャーバージョンアップとなる。

 ITAMを使ってライフサイクル管理を行うITAM LCMの新バージョン「ITAM LCM 2010」は、今年9月の出荷を目指して開発を進める。ITAM LCMは、ユーザー企業ごとにカスタマイズすることが多いため、新バージョンではJavaのソフトウェブ部品化の手法を使うことで対応機能を大幅に高め、柔軟で迅速なカスタマイズを可能にする。システム構築を担当するSIerにとって、カスタマイズ性能の向上は納期短縮や生産性向上につながり、ユーザー企業にとってもコスト削減のメリットがある。日々大きく進化するIT資産管理システム「ITAM」から目が離せない。

ソフトクリエイト
什器や備品までも網羅した資産物品管理の決定版
バーコードを活用するユニークな仕組み

 ソフトクリエイトの資産管理ソリューション「Assetment」は、他のITベンダーのIT資産管理ソフトとは、一線を画す。PCだけでなく、ネットワーク接続されたIT機器や椅子・机、キャビネットなどの什器や固定資産、リース品までも網羅した総合資産管理が手がけられるのだ。IT機器の資産管理ソリューションは多いが、管理対象を什器や固定資産まで広げたソリューションは珍しい。

 内部統制や国際会計基準への準拠などを理由に、ユーザー企業は今、固定資産管理業務に追われている。PCほかIT機器だけでなく、オフィスに点在する資産をすべて一括管理したいと要望は強い。ソフトクリエイトはこの点に着眼し、自社が新規株式公開(IPO)する際に行った資産管理手法を活用して「Assetment」を企画・開発。ITリテラシーの乏しい企業にも、十分運用可能な方法でその問題を解決するソリューションを作りあげた。

 一般的なIT資産管理ツールは、PCにエージェントソフトをインストールし、インベントリ情報を収集する。ただ、これではエージェントが導入できないIT機器や什器は管理できない。「Assetment」の仕組みは明快で、各資産にバーコードを貼りつけて棚卸の際にリーダーで読み取り、そのデータをPC内に取り込むだけで、台帳と現物の差異チェックが簡単にできる。バーコードの印刷をするために専用機器は必要なく、安価な汎用品を利用できる。管理画面も工夫しており、実際のオフィスレイアウト図に各資産を配置する画面を用意しており、「どの資産が・どの場所に」配置されているかが、ひと目で把握できるようにした。

 ソフトの提供だけでなく、ユーザーの要望によっては資産管理ノウハウを提供するコンサルティングサービスや、棚卸などの運用業務の代行も手掛けるメニューを用意。「資産管理に関連するソフトやシステム、関連サービスを総合的に提供できるのが強み」(岡本康広・ビジネスアプリケーション営業部部長)になっている。

 この資産管理者のニーズに合致した仕組みが評価され、これまでヤフーや白百合女子大学など約70社・団体に納入した実績がある(2010年3月末時点)。ユーザーだけでなく、ITベンダーにも評価され、大塚商会やリコーグループ、富士ソフトや伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)がパートナーに名を連ねている。今後はコアの資産管理ソリューション「ITAM」と連携させる予定。他社ツールとの連携で使い勝手をさらに向上させて、「資産管理の総合ソリューションベンダーとしての地位を固める」(岡本部長)計画だ。

コア=http://www.core.co.jp/nsp/
ソフトクリエイト=
http://www.softcreate.co.jp/

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