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配信日:2011-05-09

ニュースカテゴリ:[経営戦略]

【特別インタビュー】MOTEX、高木哲男会長が語る社長禅譲の理由、トップシェアへの道程

 エムオーテックス(MOTEX)の創業者である高木哲男氏が、4月25日付で代表取締役社長を退き、代表取締役会長に就いた。「ネットワーク監視ツール」という新ジャンルを創出し、約4300社のユーザー企業を抱えるトップシェアメーカーをつくり上げた高木氏。その先見性と、経常利益率44%(2010年5月期)という高収益体質をつくりあげた独特の経営手法から、国内ISV界では一目置かれる存在だった。突然の社長交代のように思えるが、自身は「設立後20年で辞めることを決めていた」という。社長交代の発表前、高木氏がMOTEXの大阪本社でインタビューに応じ、設立から20年の軌跡を語った。(木村剛士)

●20年で辞める決意は、漫画家の弘兼憲史氏のひと言がきっかけに

――「設立から20年経ったら社長を辞める」と創業時に決めていたと聞いています。その理由を教えてください。

高木 以前から親交があるマンガ『課長 島耕作』の作者、弘兼憲史さんに、起業した時にいわれたひと言が理由の一つでした。弘兼さんは「60歳を過ぎたら、時間をできるだけ自分のために使ったほうがいい」と言ったんです。私は今年で63歳なのですが、この言葉がすごく心に残っていて、大きな節目である設立20年の後、21年目には後任に託そうと決めていました。

 それと同時に、MOTEXの100年計画を立てたんです。今後100年間、MOTEXが成長し続けるためのプランで、私が社長として20年間で達成すること、後任に託すべきことをこの時に定めました。

――新社長は、日本IBM、日本マイクロソフトで要職を歴任した高橋慎介さん。後任の社長選びはいつ頃から始めていたのですか?

高木 創業時に20年で辞めるつもりでしたから、「いつから?」と問われれば、創業時から。選定基準は、今後のMOTEXを成長させる力があるかどうかでした。高橋さんとは、09年にニューオリンズに一緒に行ったことがありましてね。最初に社長の打診をしたのは、確かこの時だったと記憶しています。日本IBMと日本マイクロソフトで、多くの実績を積み上げてきた方ですから、MOTEXの今後を託すことができると思いました。

●創業後2~3年は苦しい日々、10年はメーカーとしての地位確立を重視

――今後は代表取締役会長として経営に携わることになりますが、今回のトップ交代は一つの節目ですね。他社に先駆けてネットワーク監視の必要性を訴え、「LanScope」をトップシェアへと押し上げた。この20年は、どのような年月だったと振り返っていますか。

高木 いろいろなことがありましたが、ほぼ計画通りに進んだと思っています。

――順調だった、と。

高木 創業時に描いた20年先の姿はほぼ計画通りですが、苦しい時期がなかったなんてとんでもない誤解です。会社を設立してから2~3年は、地獄のような日々でした。

 ネットワーク監視の必要性なんて、その当時ほとんどの人が感じていなかったので、売り上げは伸びない。お金はないし、信頼していたスタッフも辞めていく。パートナーは理不尽なことをいう。本当に苦しくて、駅のホームから飛び降りようと考えたことが何度かありました。本当にどうすればいいのか分からなかった。体調を崩して顔色も悪かったですから、家族も相当心配したと思います。この経験は誰にも味わせたくないと今でも思いますね。それほど、しんどかった。

 ただ、ある時、「うまくいかないのはすべて自分のせい」だと認めて物事をみるようにしたんです。それまでは「あいつが悪い」とか「自分の思う通りに動いてくれない」とか、どこか人のせいにしていた部分があったんですが、そんな考え方を一切排除したんです。そうしたら、不思議と物事が好転し始めました。

――「LanScope」が売れ始めたのはいつ頃ですか?

高木 先ほど100年計画を立てたと言いましたが、100年を細分化し、「いつまでに何をやるか」を決めていたんです。創業から10年はモノをつくる時期、メーカーとしての立場を確立する時間だと決めていました。だから、10年間は積極的に売るつもりがなかったものですから、ほとんど売れていません。品質の高いプロダクトを生むことに、ひたすらに力を注いでいたんです。次の10年を売る時期と定め、11年目を迎えて一気に営業活動を活発化させたので、「LanScope」が売れ始めたのは、10年を過ぎてからです。

●経営で大切にしてきたのは、問題を先送りにしないこと

――改めて、この20年間大切にしてきたことは何ですか?

高木 判断を迫られた時、100年先のMOTEXの従業員に「(過去の)あの判断は間違いだった」と言われない判断をしようと心に決めていました。目先のことだけでなく、中長期の視点で経営判断を行うことを大事にしていました。それと、問題を先送りにしないこと。辛いことでも可能な限り迅速に決断して、物ごとを進めることを大切にしてきました。

――今後のMOTEXについて、どのような姿を描いていますか?

高木 高橋さんに任せていますが、目標としては、今後10年で1000万クライアントを突破させたいと思っています。

――ご自身の今後については?

高木 東北地方太平洋沖地震の被災地に足を運ぼうと思っています。それと、しばらくはゆっくりしようかな、と。大和紡績でサラリーマン人生を終えようと思っていたのが、一転、20年前にビル・ゲイツ氏の「ネットワークは今後もあり続ける」という言葉に影響を受けて起業。それ以来、ずっと突っ走ってきましたからね。

――ありがとうございました。

エムオーテックス=http://www.motex.co.jp/

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