岸田内閣の成長政策のキーワードは地方、地域社会

小規模事業者の販路開拓などを支援する「持続化補助金」では、新たに賃金引上げや雇用の増加に取り組む事業者を対象とした「成長・分配強化枠」、後継ぎ候補者が実施する新たな取り組みや創業後間もない小規模事業者を支援する「新陳代謝枠」、免税事業者からインボイス発行事業者への転換を支援する「インボイス枠」が新設された。

また地方創生を支える「地域資源型」「地域コミュニティ型」の事業者を優先的に採択する方針が打ち出された点にも注目したい。前者は「地域資源などを活用し、良いモノ・サービスを高く提供し、付加価値向上を図るため、地域外への販売や新規事業のたち上げを行う計画」、後者は「地域の課題解決や暮らしの実需に応えるサービスを提供する小規模事業者による、地域内の需要喚起を目的とした取り組みなどを行う計画」が対象となる。

IT導入補助金の最大の特長は、IT導入支援事業者を中心にしたスキームにより補助金交付申請がスムーズに行える点にある。今年度は2023年のインボイス制度導入への対応を見据えた企業間取り引きのデジタル化推進が注目されている。その観点から新たにデジタル化基盤導入枠が創設された。ポイントは大きく4つに分けられる。一つは会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、ECソフトを対象にした補助率引き上げ、次が従来1年分だったクラウド利用料の2年分補助、三つ目がPC・タブレット、レジ・券売機など購入の補助対象への追加、最後が複数社連携IT導入類型の創設である。特に目を引くのが、PCをはじめとするハードも補助対象とする点で、PC・タブレットなどについては最大10万円(補助率1/2)、レジ・券売機などについては最大20万円(補助率1/2)が補助される。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者が経営計画を作成して取り組む販路開拓などに加え、賃上げや事業規模の拡大(成長・分配強化枠)や創業や後継ぎ候補者の新たな取り組み(新陳代謝枠)、インボイス発行事業者への転換(インボイス枠)といった環境変化に関する取り組みを支援。ECサイト構築などの事例も数多い。令和4年度の公募では、持続的成長を志向し、地方創生を支える「地域資源型」「地域コミュニティ型」の事業者を優先採択する方針が打ち出されている。

対象:
常時使用する従業員数が「商業・サービス業 宿泊業、娯楽業を除く」は5人以下、それ以外は20人以下の事業者

対象経費:
チラシ作成、広告掲載、店舗改装など

スケジュール:
例年、年3回の公募を実施

※赤字事業者は3/4

事業承継・引継ぎ補助金

事業承継やM&Aを契機とした経営革新などへの挑戦や、M&Aによる経営資源の引継ぎ、廃業・再チャレンジを行おうとする中小企業者などを支援。「経営刷新事業」「専門家活用事業」「廃棄・再チャレンジ事業」の3枠がある。

対象事業者:
事業承継、M&Aを契機として、経営革新などに挑戦する中小企業・小規模事業者(個人事業主を含む)など

スケジュール:
申請期間を4期間設定し通年対応

業務改善助成金

生産性の向上により、事業所内で最も低い賃金(事業者内最低賃金)の引き上げを図る中小企業・小規模事業者を支援。厚生労働省の施策で、事業所内最低賃金の引き上げを前提として、設備投資(機械設備、コンサルティング導入や人材育成・教育訓練)などを行った場合に、費用の一部を助成。POSレジシステムや業務システム、CRMなどの導入事例も多い。

対象事業者:
中小企業・小規模事業者

スケジュール:
年1回公募。2022年度は23年1月末締切予定

※1 10人以上の上限額区分は、以下のいずれかに該当する事業場が対象
・賃金要件:事業場内最低賃金900円未満の事業場
・生産量要件:売上高や生産量などの事業活動を示す指標の直近3カ月間の月平均値が前年または前々年の同じ月に比べて、30%以上減少している事業者
※2 ここでいう「生産性」とは、企業の決算書類から算出した、労働者1人当たりの付加価値を指す。直近の決算書類に基づく生産性と、その3年度前の決算書類に基づく生産性を比較し、伸び率が一定水準を超えている場合などに、加算して支給される。

前のページへ