2019年5月28日発行

各業種に特化したツールセットで生産性向上を実現
サブスクリプションの特典も充実したAutoCAD 2020

オートデスクは、AutoCAD 2020をリリース。昨年から変更された、業種別のツールセットの標準化はもちろん、モバイルアプリやイノベーティブな機能強化などを柱に、生産性の向上を実現できる点をアピールしている。これらがいかなるパフォーマンスをもたらすか、ぜひ確認のうえ、エンドユーザー様にご提案いただきたい。

各分野の作業に最適なライブラリと機能を搭載

オートデスクの汎用2D/3D CAD「AutoCAD」は、2019版よりツールセットと呼ばれる各業種専用の機能が標準装備されている。

業種別のツールセットは、7つの種類があり、すべてAutoCADのサブスクリプションで利用可能。AutoCADを使用しながら各業種別のツールセットにアクセスすることで、必要なライブラリや機能を使用し効率良く作業を進められる。例えば、機械設計用の「Mechanical」ツールセットは、70万以上のインテリジェントな機械部品やフィーチャー、シンボルを用意。機械コンポーネントの自動生成や部品表の作成も容易に実行できる。外部専門家への委託で、標準機能のみを使用した場合と生産性を比較したところ、最大で55%の向上がみられたという。

建築設計用の「Architecture」ツールセットでは、膨大なライブラリの利用で窓やドアなどのシンボルやスタイル作成の作成が容易になる。窓を挿入する作業では、従来の手作業による壁の終点処理や窓ブロックの作成といった手順を省き、壁の作成・窓オブジェクトの挿入、幅に合わせた開口の処理だけで完了できるようになった。また、立面図や断面図も3Dモデルから生成することで、2D編集の作業時間を大幅に削減できる。

電気制御設計用の「Electrical」ツールセットでは、2,000種以上の回路図シンボルが利用可能。配線に回路図コンポーネントを挿入するだけで配線が自動でトリムされるなど、作業を簡素化できる。また、スプレッドシートをもとにPLCI/O図面を自動作成できる機能も搭載。さらに、コンポーネントや配線、部品表などを含むプロジェクトの包括的なレポートも自動生成できる。

地図情報用の「Map 3D」では、GISとCADデータを統合することで、計画設計やデータ管理をサポート。ファイルやデータベース、Webサービス内の空間データにアクセスして作業に活用できる。設備設計用の「MEP」は、空調設備や配管、電気設計のために必要なダクトや電気ケーブルのオブジェクトを収録。プラント設計用の「Plant 3D」はプロセスプラントの設計および3Dプラント設計モデルを統合。配管ルートやプラントレイアウトの作成が可能となっている。ラスター画像処理用の「Raster Design」は、スキャンされた図面の編集やラスター画像のDWGオブジェクト化が可能。画像の編集やクリーンアップ、ラスターエンティティの操作やベクターシェイプの作成といった多彩な編集機能を備えている。これらを活用することで、各分野で求められる作業をスムーズに進められる。

時と場所を問わず図面にアクセスし柔軟なワークフローを可能に

今バージョンにおける二つ目のポイントが、Webアプリとモバイルアプリによるワークフローの拡張だ。WebアプリはWindowsやMac、AndroidやiOSなど、幅広い端末からアクセス可能。シンプルなWebインターフェイスを用い、CAD図面を編集・作成・閲覧できる。同様に、モバイルアプリもAndroidやiOSから図面の操作が可能だ。例えば、PC版やWeb版で保存した図面を、出先でモバイル版から閲覧できる。MicrosoftOneDriveやDropboxといったクラウドストレージサービスを併用すれば、クラウド上のDWGファイルに複数のデバイスからアクセスし、編集を加えるといった運用も可能だ。どのデバイスからでも同じ図面へアクセスできるため、お客様先での打ち合わせ中や現場などの外出先で図面の編集が可能となる。要望に応えて修正や注釈を加えたり、プロジェクトメンバー間で図面情報をリアルタイムに共有したりと、ワークフローの柔軟な組み立てができる。

機能強化とパフォーマンス改善で快適な作業環境を実現

注目の強化機能として「ブロック パレット」を紹介したい。履歴や指定した図面からブロックを選択して、ギャラリーで視覚的に確認しながら図面へ効率的に挿入できるようになった。また、図面上の距離を容易に測れる「クイック計測」も便利。オブジェクトの上や複数のオブジェクト間にマウスを重ねるだけで、付近の全計測値が自動的に表示される。図面比較機能も強化。作業中のウィンドウ内で、バージョンの異なる図面の差異を比較できる。必要な変更を作業中の図面にリアルタイムで読み込むことができ、設計の検討やミスの軽減に役立てられる。名前削除機能は一新され、複数の不要なオブジェクトを選択し、プレビューで確認しながら一括で削除できるように。図面内で名前をもとに削除できないような項目を、検索したうえで処理することもできる。

さらに、処理速度も向上されている。図面の保存に要する時間は大幅に短縮されており、保存先がSSDであれば、従来の半分の時間でインストールできる。

サブスクリプションのメリットを最大限に生かせるサービス体系

一連のユーザビリティの向上で、より快適な作業環境を実現したAutoCADは、サブスクリプション方式で利用可能。3カ月単位から複数年まで、契約次第で必要な期間だけ使用できる。このため、大規模なプロジェクトを受注した期間だけ契約するといった、柔軟な運用が可能だ。管理ツールも充実していて、ソフトウェアライセンスやその割り当て、利用状況も容易に管理できる。さらに、契約期間中は最新のアップデートを入手してすぐ導入でき、先端の作業環境を常に維持できるメリットも。サポート特典も充実しており、サポートスペシャリストからの技術提供を受けられる。リモートデスクトップによるサポートや、オンラインリソースの利用も可能と、手厚いフォロー体制が敷かれており、安心して運用できる。