2020年03月28日発行

AMPS Designer
高度な解析機能と快適な操作性をリーズナブルに
コスト削減と顧客の信頼を勝ち取るCAE

CAEによる製品設計のシミュレートは、コストの削減やプレゼンテーションの効果増大など、多大な効果を発揮できる手段だ。その反面、取り扱いが難しくて思うような効果が得られないといったケースが聞かれるのも事実だ。「AMPS Designer」のように、取り扱いやすく低コストで導入できるツールを用い、CAE導入のメリットを最大限に享受したい。

CAEの恩恵を得るには容易に扱える環境が必要

設計者向けCAEによるシミュレートは、製品の強度や流体の流れる範囲など、起こりうる問題を設計段階で洗い出すうえで有用な手段だ。試作や手戻りによるコストを削減できるだけでなく、解析結果を提示することで、説得力をもって顧客に説明できるなど、プレゼンテーションの補強にもなる。

このように多くのメリットを持つ設計者向けCAEだが、いささか専門的で取り扱いが難しく、導入したものの結果が出ないといったケースもあり、容易に使えるツールが求められている。

こうしたニーズに応え、AMPS Technologies社がBricsCADユーザー向けに提供しているのが「AMPS Designer」だ。この製品は「解析に関するあらゆる問題を設計者が取り扱えるソフトウェア」がテーマの設計者向けCAE。具体的には、「BricsCADから直接呼び出して使用可能」「アイコンを多用した直感的に使える仕様」「リーズナブルな価格で多くの設計者に使ってもらう」の実現を目指して開発されている。日本国内ではBricsCADの代理店を務める図研アルファテックが、同様に販売・提供を担当。最新バージョン「AMPS Designer 10」(日本語版)を2月26日にリリースした。まずはその特長について説明しよう。

ビジュアルライクで分かりやすいUI

AMPS Designerは前述の通り、Brics CADとシームレスに連携する。BricsCAD Platinumへ導入することで、ツールバー上のアイコンを起動するだけで使用可能だ。AMPS Designer自体のインターフェースも洗練されていて扱いやすい。計算に必要な設定はSystemとMaterial、Conditionの各パネルに集約されていて分かりやすいうえ、基本的な設定はデフォルトで定義済み。ユーザーは必要な箇所のみ、設計内容に合わせて調整するだけで済む。また、開発コンセプトにもあるように、機能の多くをアイコンにアサインすることで、直感的な操作を実現。モデルの向きの変更や、切断による内部の確認、計算結果の確認など、さまざまな操作がアイコンに定義されており、すばやく作業を行える。

複雑または大規模なモデルのメッシングにおいても、実行は容易。例えば、61万メッシュの大規模モデルを作成する場合、細かいフィレットに細かいメッシュを自動で配置・作成してくれる。複雑なパーツが入り組んだケースでも、盤内のブレーカーの細かいフィレットを再現するために自動で細かいメッシュを作成。16GB程度のメモリーで約100万メッシュもの自動メッシュが作成でき、ノートPCでも数百万メッシュが解析可能となっている。

複雑で高度な構造解析を専門知識なしで実行

このようにAMPS Designerはユーザビリティに優れ、専門的な知識やスキルがなくとも高度な構造解析が可能。Basicエディションの基本機能だけでも、製品をつり下げた際の応力と変位を計算して強度を確認したり、インバーターの熱伝導を解析して動作温度環境を満たせるか検証したりと、設計判断へ大いに役立てられる。また、部品の共振周波数や、変形形状、フレームの強度計算など、複雑なシミュレートも可能となっている。

さらにAdvancedエディションならば、非線形接触・大変形計算(非線形、大変形、大変位)・衝突計算(動的・過渡応答)といった高度な解析や、弾性非等方・弾塑性・超弾性など、より幅広い材料を想定しての検証が可能。例えば、歯車の回転で歯に発生する応力や、ゴムブーツの圧縮、弾塑性素材の破壊といった計算を、試作コストなしで行うことができる。また、追加料金で使用できるオプション機能も豊富だ。流体解析オプションを使用すれば、液体等の流れの検証も可能。例えば、シリンダー内に流入された流体が設計意図に沿って正しく流れるか確認でき、パイプ内に流れた液体のゆらぎや、パイプへの影響など応力計算も可能。メーカーは例として、容量3000立方メートルの流体空間に柱を配置した際の、柱の変位や変形、応力を計算したサンプルも提示。応力とベクトルがビジュアルライクに見られる、95万メッシュにも及ぶ計算結果を、8コアCPUを使用し72分程度で出力したという。

オプションには、電場解析や電磁場解析といった機能も用意。高周波回路や無線通信用回路、アンテナやレーダー等の設計にも活用できる。

保守や操作トレーニングなど独自のサポートも提供

AMPS DesignerはハイエンドなCAE用ソフトに匹敵する機能を搭載しながらも、基本的な機能の「AMPS Designer Basic」で80万円、より高度な構造解析ができる「AMPS DesignerAdvanced」で130万円と、リーズナブルな価格を実現している。流体解析等のオプションは、60~80万円で利用可能だ。なお、推奨動作環境はCPUがデュアルコアの2GHz以上、メモリーが16GB以上など、比較的低めで、ノートPCでも稼働できるレベル。マルチCPUや、8コア以上のメニーコアCPUにも対応しているので、ハイスペック環境の恩恵も十二分に発揮できるだろう。

なお、図研アルファテックはAMPS Designerの国内販売において、独自のサポートサービスを提供している。パッケージでの導入に際しては、初年度のバージョンアップ保守のほか、問い合わせサポートや操作トレーニングを提供。また、次年度のバージョンアップ保守や問い合わせサポートなど、オプションサービスも豊富。導入企業の用途とニーズに応じた操作トレーニングやカスタマイズトレーニング、CAE業務の立ち上げ支援に至るまで、密なサービスを用意している。

同社はAMPS Designerの販売に際し、「設計者向けCAEはちょっとしたコツをつかめば効果を出せるもの。それを伝授し効果を体験いただきます」と力説する。CAE本来のメリットを最大限に生かす手段として、ぜひご検討いただきたい。