2020年11月28日発行

ライセンスへの変更に不安があるお客様へのアプローチシングルユーザー(Standard プラン)のメリットと留意点

現在、マルチユーザーサブスクリプションとネットワーク保守プランを契約しているエンドユーザー様は、シングルユーザーに切り替える絶好の好機といえる。2020年8月7日以降の最初の更新時のみ、1ライセンスの更新費用と同等の価格で2ライセンスのシングルユーザーを取得できるからだ。その一方で、ライセンスの変更に不安を抱いているエンドユーザー様も少なくない。そこでシングルユーザーのメリットや留意点を改めて紹介する。

Autodesk Accountのチーム設定で利用者の割り当てを随時変更可能

オートデスクのマルチユーザーサブスクリプションは、2020年8月6日に新規1年間の販売提供が終了し、2021年8月7日以降は更新もできなくなる。同様に、ネットワーク保守プランは、2020年8月7日から更新費用が20%引き上げられ。2021年5月6日に販売が終了する。このため、マルチユーザーサブスクリプションとネットワーク保守プランの利用者は、シングルユーザー(Standard プラン)へ早期に切り替える必要がある。

これに伴い、オートデスクは、マルチユーザーサブスクリプションとネットワーク保守プランのシングルユーザーへの特別な移行プログラムを期間限定で提供している。これにより、2020年8月7日以降の最初の更新時のみ、1ライセンスの更新費用と同等の価格で2ライセンスのシングルユーザーを取得できるメリットを享受できる。

いずれの移行プログラムも、単体製品と業界別コレクションが対象となる。これまでDesign SuiteとCreation Suiteを利用されていた場合は、それらを包含した業界別コレクションへアップグレードして同等の価格で2ライセンス利用できる利点がある。

従来のマルチユーザーサブスクリプションとネットワーク保守プランは、ライセンス保有数が同時使用数であったため、ライセンス数の数倍の人数のユーザーが社内に存在した。一方、シングルユーザーでは、ライセンスがユーザーに紐づくため、原則1ライセンス1ユーザーである。マルチユーザー1ライセンスをシングルユーザー2ライセンスにした場合、ライセンス数が足りない、状況も考えられる。そのため「今まで10ライセンスで30本の製品を利用していたのに、シングルユーザーの移行プログラムで20本が利用できるようになっても、10本分足りなくなるのではないか?」と危惧するエンドユーザー様も多いかもしれない。

だが、Autodesk Accountによってライセンス製品の利用者の割り当てを適時変更することで、そうした不安を解消できる。例えば、ライセンス製品を頻繁に利用するグループ(チームAの10名)と、ライセンス製品をたまに利用するグループ(チームBの20名)を振り分ける。このうち、チームAの人にはライセンス製品の割り当てを行う。一方、チームBの人にはライセンス製品の割り当てを行わず、管理者がチームBの全員に「セカンダリ管理者」という権限を付与する。それにより、ライセンス製品の割り当てや解除をAutodesk Accountで行えるようになる。

例えば、チームBの人は、製品使用前にAutodesk Accountへサインインし、自分に製品を割り当てる。そして、製品を使い終わったら、再びAutodesk Accountへサインインし、製品の割り当てを解除する。こうした柔軟な運用形態を実施することで、20本のライセンス製品をこれまでと同様に30人で円滑に運用できる環境が整う。最初のうちは、チームBの人は戸惑うかもしれないが、慣れてしまえば、ほとんど苦にならないはずだ。

1ライセンスで3台まで利用できVDIなどの仮想化環境にも対応

従来のマルチユーザーサブスクリプションとネットワーク保守プランから、シングルユーザーへ切り替えることで、現在の多様な働き方にフィットした最適な環境が整う。その最大のメリットは、ライセンスを付与された人は、最大で3台の電子デバイス上にソフトウェアをインストールして利用できることだ。一度に利用できるのは1台の電子デバイス上のソフトウェアに限られるが、オフィス用と自宅用、モバイル用の3台の電子デバイスを使い分けながら、日々の業務を効率的に行えるようになる。特に現在は、新型コロナウイルスの感染対策として、テレワークで仕事をする人が飛躍的に増えているので、そのメリットは極めて大きい。

シングルユーザーは、VDI(Virtual Desktop Infrastructure)などの仮想化環境にも対応。3台の仮想デスクトップを構築した場合も利用可能だ。ただし、留意すべき点もある。

例えば、仮想サーバーにある仮想デスクトップは、エンドユーザー様がアクセスする度に、いずれかの仮想デスクトップがランダムに起動する。そのため、どの仮想デスクトップに誰がアクセスするかは決まっていない。そのため、ある疑問が生じる。

シングルユーザー1ライセンスで最大3台の仮想デスクトップにオートデスク製品をインストールできるので、会社組織などで4ライセンスを所有していた場合は、仮想サーバーに最大で12台の仮想デスクトップが構築できる。しかし、それぞれの仮想デスクトップはランダムにアクセスされるため、エンドユーザー様1人に対して、12台の仮想デスクトップ全てにアクセスできる状態が生じる。そのため、「1ライセンスにつき、3台まで」という条件に反してしまい、コンプライアンス上問題が生じるのではないかと不安を抱く人がいるかもしれない。

しかし、シングルユーザーの使用規約では、「ライセンスの承認ユーザーが各提供物のインストールやアクセスを行うときは、自身のAutodesk IDを使用してログインする」となっているため、これを順守する限りコンプライアンスに触れることはない。

つまり、エンドユーザー様は、自分が使用する「物理的な電子デバイス1台」を使って仮想サーバー上にある仮想デスクトップにアクセスし、「自身のオートデスクID」を使って製品を使用すれば、実質的に一つの製品を使っていることになるので、まったく問題はないという。

シングルユーザーへの移行は時代の流れだ。最大で3台の電子デバイス上で利用できるメリットを最大限に生かした提案を行うことが重要なポイントになる。