2021年05月10日公開

新機能追加やパフォーマンス向上のAutoCAD 2022をリリース!
Webアプリとモバイルアプリで場所を選ばない設計作業を実現

コロナ禍により、モバイルワークやリモートワークなど、場所を問わない業務の遂行が求められている。このような中、オートデスクはAutoCADの最新版でサブスクリプションサービスにWebアプリとモバイルアプリの活用を進めている。オフィスや自宅、現場や取引先など、どこでも設計の確認や編集ができるツールで図面へアクセスし、業務の効率化に役立てていただきたい。

全体的なパフォーマンスの向上、新たな機能が追加・強化された

オートデスクは3月23日、2D/3D対応の汎用CADソフト「AutoCAD 2022 including specialized toolsets」をリリースした。また、5月7日にはAutoCAD 2022の単体発売を開始し、価格をAutoCAD LT 2022並とし、2D/3D のスタンダードCADとして推し進める。これにより、AutoCADは単体製品とツールセットを含む製品の2ラインアップとなり、AutoCAD LT新規ライセンスは6月6日をもって提供終了となる。

ここでは全体的なパフォーマンスを向上させるとともに、多くの改良が加えられたAutoCAD 2020の新機能を中心に紹介したい。

【新機能】トレース

画面のトレース機能。既存の図面を変更することなく、安全にDWGファイルをレビューし、フィードバックを追加できる。

【新機能】カウント

ブロックやジオメトリの集計を自動化する「カウント」も便利な機能だ。人力で数える時間と、それに伴う人的ミスを大幅に低減できる。画層や胸像、尺度ごとに実行でき、結果の更新やフィールド値としての表への書き出しも容易だ。

【新機能】Autodesk Docsにプッシュ

図面をAutodesk DocsにPDF形式で出力する機能を追加。図面ウィンドウを並べて表示したり、複数のモニターに表示したりと、同時に2つの図面を表示・編集できるフローティング ウィンドウも、効率化に役立てられる。

【新機能】共有

共有機能ではメンバーに送信する図面コピーは権限管理が可能になった。「表示のみ」「コピーを編集して保存」のアクセス権を設定できるため、セキュリティ性や図面の保持がより強固となっている。

インストーラーもカスタマイズ可能な高速版に刷新され、設定時間が低減。さらにインストール中でも作業を進行可能だ。

こうした新機能や機能強化に加え、レスポンスも高速化。より高速でリアルタイムな画面移動やズーム操作が可能となり、自動再作図や3Dオービットもスムーズに行える。データの保存も平均で1秒短縮され、最速0.5秒で処理可能に。4K以上の高解像度ディスプレイのサポートもあり、全体の作業環境を改善できる。

AutoCADの機能にあらゆる端末・場所からアクセス

この優れた設計環境が、Webアプリおよびモバイルアプリで扱える点も、同製品の大きなメリットだ。これらはAutoCADのサブスクリプション特典として、追加費用なしで利用可能(保守プランを除く)。

デスクトップPCはもちろん、ノートやスマートデバイスなど、端末の種類を選ばず図面へアクセスし、閲覧や編集を行える。

ファイルの共有には、オートデスクのクラウドストレージを使用。他社サービスにも対応しており、Microsoft OneDrive、Box、Dropbox上のDWGファイルへ直接アクセスできる。

Webアプリはインストール不要で使用可能。Webブラウザからシンプルなインターフェースのアプリを開き、最新状態のCAD図面を表示・編集・作成・共有できる。モバイルアプリではiOSやAndroid端末からAutoCADの機能にアクセス可能だ。

これらを活用すれば、場所を選ばずAutoCADを利用できるため、工事や製造の現場で図面を確認しつつ作業を進めたり、取引先に最新の図面を提示しつつ打ち合わせを進めたりと柔軟な運用が可能。チームでコミュニケーションをとりながらリアルタイムに変更を加えられるため、現場での計測を記録したり、作業過程で必要が生じた修正を図面に反映させたりと、スピーディーな対応もできる。

また、自宅やワークスペース、フリーアドレスなど、場所にとらわれない作業環境も実現できる。外出に何かと制限のかかるコロナ禍においても柔軟な業務形態でプロジェクトを進行可能だ。

AutoCAD Webアプリとモバイルアプリ

専門分野に特化したツールで最適な作業環境を実現

AutoCAD including specialized toolsetは、建築や機械、電気制御など、業種別のツールセットが利用できる。75万点を超える記号やパーツ、詳細コンポーネントを収めたライブラリーや、注釈・画層・プロパティの自動作成、3Dモデルから詳細やビュー、集計表やリストを作成する機能など、各専門分野に特化したツールを多数搭載している。

ツールは全部で7種類。Architectureツールセットでは、8,000点以上のインテリジェントな建築オブジェクトを収録。建築図面と設計図書を短時間で作成でき、平面図や断面図、立面図などは自動で作成可能だ。

Mechanicalツールセットは機械設計に特化したもので、画層管理やパーツ一覧の生成、部品表(BOM)の作成が容易に行える。

電気制御用のElectricalツールセットでは、65,000以上の電気シンボルでドキュメント作成を効率化。AS、GB、IEC、IEC-60617、JIC、JIS、NFPA、IEEE標準規格にも対応する。

MEPツールセットでは、豊富な機械、電気、配管オブジェクトにより、スムーズな建物システムの作図、設計、ドキュメント作成が可能に。ダクトや電線管、空調設備の経路や、建物の配管や電気系統を容易に設計できる。

Plant 3Dツールセットは、プラント設計とエンジニアリングに特化。P&ID設計を効率的に行い、3D プラント設計モデルに組み込めるほか、プラントのレイアウトや回路図なども短時間で作成可能だ。

Map 3Dツールセット、地理情報システムとCADデータを統合してプランニングや設計に活用できるツール。標準のデータスキーマや自動化された業務ワークフロー、レポートテンプレートを使用して、空間データを管理できる。

Raster Designツールセットを搭載。ラスターイメージをDWGオブジェクトに変換可能だ。オートデスクの調査では、これらを活用することで、基本的なAutoCADとの比較で生産性が最大63%向上するとの結果が出ており、作業効率の大幅な向上が見込まれる。

予約制の電話サポートやオンラインチャット、メールなど、サブスクリプションメンバーへのサポートも充実。セキュアな通信を介したリモートデスクトップサポートも用意されている。また、ヘルプドキュメントやチュートリアル、トレーニングビデオなどを取りそろえたナレッジベースやコミュニティサポートフォーラムといった、充実したオンラインリソースも利用可能だ。

業種別ツールセット

AutoCAD 2022のサブスクリプションメンバーになると、建築設計、機械設計、電気制御設計など、さまざまな業種に特化した機能やライブラリを利用して、設計作業を効率化できる。

AutoCADのサブスクリプション期間は、1年・3年単位。プロジェクトの期間に合わせた柔軟な組み立てが可能だ。多様な業務形態を実現し、最適なものづくりを実現するうえで、頼りになるソリューションといえる。