2022年03月公開

オートデスクのマルチユーザーライセンス、販売終了迫る!
ネームドユーザーモデルへの移行プログラムで柔軟かつ効率的運用へ

ライセンス体系の一本化を進めるオートデスクは、2020年5月にシリアル番号単位での管理を終了し、ユーザー単位管理の新たなプランを開始。既存のマルチユーザーアクセスのサブスクリプションは、2022年8月6日で提供を終了するとしてきたが、コロナ禍の顧客状況を踏まえ、提供終了タイミングを2023年2月6日まで延期することを決定した。移行プログラムによりネームドユーザーモデルへ移行することで、エンドユーザー様は、フレキシブルな作業環境やライセンス管理の簡易化といったメリットを享受できる。

ライセンスの一本化でシンプルな運用へ

オートデスクはソフトウエアの提供プランについて、2016年に買取型の永久ライセンス体系を終了し、サブスクリプション体系への移行を開始している。

利用するユーザーごとにアカウントを割り当てる「シングルユーザーサブスクリプション」と、複数人で使用する企業向けに、構築したサーバーでライセンスを管理する「マルチユーザーサブスクリプション」、永久ライセンスの継続使用を求めるユーザーに対し、ソフトウエアのバージョンを常に最新に保てる「保守プラン」の、3つのライセンス体系で展開してきた。

このサブスクリプション化は、導入時の初期費用を抑えることができ、プロジェクトの規模に応じて柔軟な契約形態がとれるといったエンドユーザー様にメリットをもたらしたが、今またオートデスクはこれらライセンス体系を一本化することで、さらなる利便性の向上を図っている。

2020年5月に始まったこの改変は、シリアル番号単位での管理を終了し、ユーザー単位管理の「ネームドユーザーモデル」制へ移行するもの。これに伴い、保守プランの更新は2021年5月に提供終了し、マルチユーザーサブスクリプションも2023年2月6日で終了する予定だ。

オートデスク製品を継続使用するエンドユーザー様はいずれ契約の変更が必要となるが、ライセンス体系の簡素化により、多くのメリットを享受できる。

人とライセンスがひも付けられるメリット

エンドユーザー様のメリットとしては、端末に依存しない働き方ができる点が挙げられる。シリアル番号単位での管理の場合、ワンマシンワンインストールの原則があり、どうしても作業はオフィスのPCとなり、テレワークが困難であった。

また、協力会社との連携においても、煩雑な作業が発生してしまう。その点、ソフトウェアが人にひも付くネームドユーザーモデルであれば、1ライセンスで3端末にインストールすることができる。また、仮想デスクトップにも対応し、場所や時刻、端末にとらわれず作業できる。クラウドによるデータ共有で、他社との連携もスムーズに行える。

さ個人ごとにライセンスが割り当てられるため、使用の順番待ちといったダウンタイムの問題も解消できる。二段階認証(Standardプラン)またはシングルサインオン(Premiumプラン)を採用したセキュリティ機能もあり、データを安全に運用できる。

管理コストの低減や経営判断にも貢献

ネームドユーザーモデル制は、システム管理者の負担軽減にも貢献する。既存の体制では一つの端末を複数人が共用するケースが多く、製品のバージョンアップが末端で行われ、シリアル番号がいつの間にか変わっているといったトラブルも発生する可能性がある。こうした状況では利用状況の把握が難しくなるうえ、社内サーバーのデータやライセンス管理は煩雑なものとなり、管理コストとリソース不足を招いてしまう。

これらの問題は、ネームドユーザーモデルへの移行で解決できる。人とライセンスが1対1で対応しているため、使用状況はシンプルで把握しやすいからだ。ライセンスの稼働状況は全てクラウド上で管理され、管理ツール「AUTODESK ACCOUNT」で容易に確認できる。また、部署ごとにチームを作成し、それぞれに管理者を置くといった、体系的な管理も可能だ。

異動や退職時のアカウント削除や、製品のダウンロード権付与といった操作も可能。ライセンス管理や稼働状況を把握することで、製品やバージョンごとの使用頻度、人員の増減に合わせてライセンスにかけるコストを最適化するといった対応ができる。管理コストの低減や、適切な経営判断まで、幅広いメリットをもたらしてくれる。

移行プログラムで既存ライセンスを新ライセンス2つに引き換え

このライセンス体系の変更に取り組むうえで、オートデスクは既存のマルチユーザーサブスクリプションおよび、ネットワークライセンスの保守プランユーザーに向けた移行プログラムを提供している(スタンドアロンの保守プランユーザー向け移行プログラムは2021年5月6日に終了)。

マルチユーザーサブスクリプションの場合は、2024年2月6日までの更新時、ネットワークライセンスの保守プランユーザーの場合は、2022年5月6日までの更新時に移行プログラムを利用できる。

移行プログラムの内容は、従来の更新費用と同等の価格で、既存の1ライセンスをネームドユーザーモデルのStandardプラン2ライセンスに引き換えられる。なお、LT製品シリーズを除く単体製品のユーザーは、移行時に業界別コレクションへのアップグレードを選択することも可能だ。

移行プログラムを利用してライセンスを移行したユーザーは、2028年までは、特別更新価格で契約更新を行える。更新の希望小売価格は2023年、2025年、2027年の、2年ごとにそれぞれ5%引き上げられる予定となっているので、契約時期には留意されたい。

スタンドアロンの保守プランの移行プログラムは既に終了しており、こうしたケースでは、各種キャンペーンを利用してのサブスクリプション導入が推奨されている。ただ、官公庁など守秘上の問題でインターネット接続ができない、またはIP保護でセキュリティ制約を義務付けられているといった事情で、移行プログラムを利用できないケースもある。

オートデスクではこうしたユーザーにも、ニーズに最適なオプションを案内するという。例外申請といった形で、オフラインライセンスが提供されるケースもあり、ユーザーはソフトウエアを継続利用することができる。

移行時または移行後に一定の条件を満たしたユーザーは、Premiumプランへのアップグレードを選択できる。こちらは50ライセンス*以上のサブスクリプションを必要とする、中小から大規模の企業を対象とし、サインイン時によりセキュアなシングルサインオンが採用されるほか、24時間365日対応のライブサポートなど、より高度なサービスを利用できる。*2022年中に10シートに引き下げられる予定

また、製品の使用状況レポート機能においても、ユーザー別の使用状況を詳細に示すレポートが出力可能に。使用状況の傾向を分析してパワーユーザーを特定し、製品知識やワークフローのベストプラクティスを他のユーザーと共有してもらうなど、社内の連携をより向上するといった使い方が可能となっている。