2013年3月28日発行

クラウドサービスとの相乗効果で生産性が格段にアップ
最新版『Autodesk AutoCAD 2014』とLTファミリー

『AutoCAD』は、今や学生などの若い世代にもCADソフトの定番として浸透しつある。そうした中、ブランドイメージをより一層高めるためにコーポレートアイデンティティを刷新し、さまざまな機能改善を施した『Autodesk AutoCAD 2014』が3月26日に新たに登場。これ伴い、『AutoCAD LT ファミリー』の2014バージョンも順次リリースされる。クラウドサービスとの相乗効果で活用範囲は一気に広がり、設計ワークフロー全体の生産性を劇的に向上する。

クラウド連携機能を大幅強化。ライブマップの取り込みも実現案

クラウドやモバイル技術の進化により、顧客の業務環境が変化している。新しい変化に対応し続けていくという姿勢を表現するために、2013年3月26日、オートデスクはコーポレートアイデンティティを刷新。新しいロゴは、日本の折り紙をモチーフにした鮮やかなもの。これにともない、最新版2014バージョンより、すべての製品ロゴも一新された。そこには、いろいろな形を自在に生み出せるというメッセージが込められている。Windows 8を正式にサポートし、タッチ操作にも対応。タッチ操作による画面操作も行える。設計ワークフローの生産性を高めるために、さまざまな機能改善が施されているが、その一つが、クラウドサービス『Autodesk 360』との連携機能が強化されたこと。[Autodesk 360] というリボンタブを実装し、図面ファイルやカスタム設定の同期が簡単に行える。またデスクトップ上に表示されるアイコン[Autodesk 360]をクリックし、ドラッグ&ドロップの直感的な操作で図面ファイルの受け渡しも行える。

DWGの図面内に緯度・経度の地理的位置を指定することで、ライブマップの表示も実現。建物の住所や方角などを入力すると、そこを起点とした衛星写真や地図を透過表示できるので、3Dモデルとともに利用すれば、ビル建設や都市計画の検討や住民説明会などで役立つ。例えば、現在、新交通システムの導入が検討されている地域で、予定ルートの衛星写真の中に車両や軌道の3Dモデルを配置し、実際にどのような景観になるのか事前に確認できるようになる。『Autodesk 360 Rendering』との連携により、通常のデスクトップ環境で3日かかるようなレンダリング処理もわずか30分で済み、照度計算などにも対応しているので、よりリアルな画像生成が可能になる。

『AutoCAD WS』と共通の「設計フィード」を実装し、コラボレーション機能も強化された。例えば、オンラインで結ばれている複数の人のコメントや外部からモバイルデバイスのカメラで撮影した写真を『Autodesk AutoCAD 2014』の図面上の特定の位置を指して、リアルタイムに表示し、チャットのような感覚で円滑なコミュニケーションが行える。

『Autodesk ReCap』という専用ツールを同梱し、3Dスキャナーで取り込んだ点群データの表示や編集が素早く行えるようになり、読み込み可能な点群数は230億点にも上る。これにより、3D CAD データが存在しない既存施設を点群として取り込み、改修工事時の新しい設備を3Dモデリングで追加する、といったニーズにも応えられる。

このほか、複数の図面やレイアウト表示の切り替えを容易に行えるように、図面ウィンドウ上部の「ファイルタブ」を付けるなど、細かな便利機能が加わっている。

最適なLTファミリーを提案し低コストで生産性アップを図る

『AutoCAD LT ファミリー』の最新版も続々と登場。まず、『Autodesk AutoCAD LT 2014』は、先に紹介した『Autodesk 360 Rendering』との連携や『Autodesk ReCap』を用いた点群サポートなどは未対応だが、『Autodesk 360』とのシームレスな連携や地理的位置の指定によるライブマップの表示、「設計フィード」を活用したコラボレーション機能などは利用できるので、最新の機能を低コストで活用したいという設計者にはお勧め。

また『Autodesk AutoCAD Inventor LT Suite 2014』は、製造業の機械部品設計に最適化されているので、『AutoCAD LT』の導入を検討されているお客様が、機械部品設計をメインに行っている場合は、こちらをぜひ提案していただきたい。実際、『AutoCAD Inventor LT Suite』の販売実績は年々急速に伸びているので、訴求力の高い製品といえる。機能面ではパーツ設計に特化しているが、他社の3DCADデータを取り込んで展開できるトランスレータが実装されているので、元請け企業などから3Dデータをもらえれば、それをもとに各種図面を作成したり、必要な情報を追加してパーツのモデリングをしたり、効率的な設計業務が行えるようになる。例えば、大手メーカーの部品ライブラリを作成する仕事を請け負うことも可能になる。

DWGデータの完全互換により、『AutoCAD』などで作成した2次元データを取り込み、必要な部分に厚みをつけたりしながら、3Dモデルの作成も簡単に行える。図面から変換した2Dスケッチの寸法を変更すると3Dモデルに自動的に反映され、逆に3Dモデルに変更を加えれば図面に即座に反映される相互連携を実現。3Dパーツをブロック化してひとつの塊にすることで、全体の動きや長さなどが適切かどうか確認することもできる。

設計フィードを使ってAutoCAD WS との連携がさらに強化された

『AutoCAD Inventor LT Suite』では、『Autodesk Inventor』 同様に、3Dパーツをより本物らしく見せるための色づけやレンダリングを設計環境内で行えるので、リアルな3Dモデルを作成してプレゼンを行ったり、カタログに掲載したり、データの活用範囲が大きく広がる。

建築設計向けの『Autodesk AutoCAD Revit LT Suite 2014』は、本格的なBIMソフトを低価格で導入でき、急速に広がるBIMニーズに対応することで受注機会の拡大につながる。『Autodesk Revit』を使っている元請け企業のデータをそのまま活用できるので、データ変換する無駄な手間が省ける。自習用チュートリアルとシンプルなUI、作図に集中できるコマンド体系により、初心者でも簡単に扱え、クラウドレンダリングを利用すれば高品質のパースも容易に作成できる。特に低価格でBIMを導入したい設計事務所、協力会社が『Autodesk Revit』を使用している企業、自社製品のBIMデータを公開している建築資材メーカーなどが主要なお客様層となる。

例えば、『AutoCAD LT』などの2DCADで建築設計を行っている小規模設計事務所が新たに導入することにより、クライアントとのコミュニケーションの向上、図面間の整合性とチェック時間の短縮、パース等の外注費の削減といった課題解決に貢献する。

『Autodesk Revit』と比べると機能はある程度限定されるが、詳細設計を主業務にしている事務所ならば、『AutoCAD Revit LT Suite』でも十分賄える。

一度、BIMモデルを作成すれば、建物の断面図などを簡単に出力できるので、従来のように図面作成のために多くの時間を費やさずに済み、本来の建築設計業務に注力できる。また、建築部材を分解しパース化し、通常見えない仕上・下地材間の構成も同時に見せることのできる機能が追加されたことにより、効果的なプレゼンテーションが可能だ。

新しいAutoCADとAutoCAD LTファミリーは、パートナー様のビジネスを大きく広げてくれるに違いない。