2013年5月28日発行
オートデスクは、各産業におけるワークフロー全体の効率化を実現するSuite製品の最新版をリリースし、同時にパートナー様の販売支援戦略を強化。サブスクリプションのクラウドサービスを利用するための「クラウドクレジット」の追加販売など、オートデスクとパートナー様が一体となってエンドユーザ様の満足度アップに貢献しながら、安定したストックビジネスを展開することが可能になる。その意味では、パートナー様に新たなメリットがもたらされる。
オートデスクは、4月に『Autodesk Entertainment Creation Suite 2014』を、5月に『Autodesk AutoCAD Design Suite 2014』、『Autodesk Product Design Sui te 2014』、『Autodesk Factory Design Suite 2014』、『Autodesk Building Design Suite 2014』、『Autodesk Plant Design Suite 2014』を、さらに6月に『Autodesk Infrastructure Design Suite』をリリースし、合計7種類のSuite製品の最新版が出揃う。
オートデスクのSuite製品は、エンドユーザ様のワークフロー全体の業務効率を高めるために、さまざまなツールがバンドルされており、各製品を個別に購入するよりもコストメリットが大きいことから、昨年の売上実績が200%も伸びるなど、大変好調に推移。今年に入ってからも、その勢いは止まらず、むしろ加速度を増している。
その追い風の中、パートナー様が最新版のSuite製品をより販売しやすい環境を整えるために、オートデスクでは数々の施策を打ち出している。例えば、マーケティング調査に基づき、各産業のサブセグメントごとの改善すべき共通の課題を抽出。その課題解決のためにパートナー様がどのような販売活動をすればよいかを「セールスプレイ」としてモデル化し、それを資料に落とし込んで実践的なノウハウを提供していく。また、契約パートナー様に最新のプロモーションツールなどをタイムリーに提供する取り組みも行っている。
さらにSuite製品の今年の販売戦略として掲げているのが、2つの力を相互連携することでより大きな成果を生み出すソリューションの提案である。その柱になるのが「オートデスク & パートナーズ」。常にパートナー様の戦略に準じて行動し、パートナー様と一緒にエンドユーザ様の販売プランを考えて大きな売上達成に寄与していく。
もうひとつの柱が「セル & ユース」。Suite製品は7種類で、Standard、Premium、Ultimateの各エディションを含めると、合計21のラインナップとなり、平均すると9つのアプリケーションがバンドルされている。より多くのツールを活用しているエンドユーザ様ほど満足度が高く、上位エディションに移行されるケースが多い。エンドユーザ様の満足度がアップすると、ほかの人にも勧めてもらえるのでビジネスの幅も広がる。ところがエンドユーザ様の多くは1つか2つのツールしか使用していないのが実情であるため、Suite製品のツールをより多く利用してもらうための施策を展開し、パートナー様の収益力のアップに貢献する。
オートデスク株式会社
チャネルセールス部長
草谷 裕信氏
さらにパートナー様のストックビジネスを強力に後押しするのが、「Suite & サブスクリプション」戦略である。Suite製品とクラウドサービス『Autodesk 360』との相互連携を推進することにより、エンドユーザ様はクラウドのリソースを活用することで業務範囲が一気に広がり、パートナー様は継続的な収益を確保することが可能になる。『Autodesk 360』では、サブスクリプションの加入者にレンダリングやシミュレーションサービスなどを提供しているが、「クラウドクレジット」制度を本格的にスタートし、エンドユーザ様は「クラウドクレジット」(100クレジット単位:1万5,000円)を購入・消費することでクラウド上の多彩なサービスを利用できる。この「クラウドクレジット」は、パートナー様がエンドユーザ様に直接販売することが可能なので、Suite製品と一緒にサブスクリプションを購入していただいたエンドユーザ様と継続的な関係を維持でき、新たなビジネスチャンスが広がる。
日本では、社内の貴重なデータを外部のクラウド上に預けることに抵抗を感じている企業も少なくないが、逆に社内のサーバなどがクラッシュしてしまうと、そこにあるデータが一気に消失してしまうリスクを抱えている。しかし、万全なセキュリティ対策が施されたクラウド上にデータが保管されていれば、そうした事態を免れることができる。
例えば建築業では、アメリカやカナダなどのBIM先進国では、建物などのBIMモデルをクラウド上で共有し、施工業者などに有効活用してもらう取り組みがすでに始まっている。その結果、施工業者のROI(投資収益率)が驚異的な1,700%に達し、事故がゼロになるといった多くのメリットが生み出されている。また、クラウド上でパーツの製造などを協力会社に発注することで、自社に工場がなくてもものづくりが行える「ファクトリーレス化」も進展しつつある。こうしたBIMモデルとクラウドの連携によるビジネスモデルは、新たな産業革命だと指摘する識者もいる。
今後日本でも、BIMモデルの構築に必要となるSuite製品とサブスクリプションによるクラウドサービスを相互に連携した仕事のやり方が浸透していく可能性が高い。オートデスクが提唱する「Suite & サブスクリプション」は、まさにその先駆けといえるだろう。
実際に設計データをクラウド上で共有して活用していくためには、メーカーやオーナーに、プロジェク全体のコストを削減できるようになることを理解してもらう必要があるが、それがうまくいけば、クラウドを活用する流れが一気に広がる可能性がある。オートデスクのSuite製品とサブスクリプションは、そうした時代の流れをいち早くキャッチして安定したビジネス基盤を確立するうえで大いに役立つに違いない。