2013年11月28日発行

オートデスク製品拡販セミナーレポート
Windows XPからのCAD移行術とAutoCAD Suitesで活用する3Dプリンティング

オートデスクは2013年10月11日に「オートデスク製品拡販セミナー」を東京本社セミナールームで開催した。2014年4月にサポートが終了するWindows XPからのCAD移行術や、AutoCAD・AutoCAD LT Suitesで活用する3Dプリンティングに関する最新動向を紹介。いずれもお客様の設計業務の安全性や効率性を図るうえで重要なファクタであり、パートナー様の売上アップに貢献する見逃せないトレンドだ。

Windows XPのマイグレーションはビジネスを拡大する絶好の好機

「Windows XPからのCAD移行術」のセミナーではXPのサポート打ち切りにより、セキュリティリスクが無限大に広がる危険性があると指摘。それ以降はセキュリティ更新プログラムが提供されなくなり、安全性を保てなくなるためだ。たとえインターネットにつながなくても、USBメモリなどを通じてウイルスに感染するケースもある。「Windows XPを使い続けることは、ドアが壊れても誰も直してくれない家に住むようなもの」と警鐘を鳴らす専門家もいる。そのリスクを回避するためには、最新版のWindowsへ移行する必要があるのだ。

現状、オートデスク製品ユーザのOS環境は50%近くがいまだにWindows XPにとどまっており、Windows XPのマイグレーションビジネスは大きな潜在需要があるといえる。同時にハードウェアの刷新やオートデスク製品の最新版へのアップグレードを図れば、売上増につながる。

その背景には、『AutoCAD ファミリー』の2009以前のバージョンは、Windows7にサポート対応していないことがある。お客様のOS環境をWindows 7へ移行する場合は、必然的にオートデスク製品のアップグレードが必要になるのだ。しかも、お客様にとっては機能強化を図る絶好の好機となる。

特に最新の『AutoCAD 2014』は、多くの新機能を実装している。その一つが、Windows 8を正式にサポートしていること。Windows 8のタッチ操作やタブレット端末などに対応する。もう一つのポイントは、『Autodesk 360』とのシームレスな連携だ。専用のリボンタブから図面ファイルやカスタム設定の同期が行え、DWG/DXFの閲覧・編集がWebブラウザやモバイルデバイス上で行える『AutoCAD360 Web/Mobile』や、クラウドのリソースを使ってレンダリングが行える『Autodesk360 Rendering』へのダイレクトアクセスも実現している。

設計フィードによるコラボレーション機能も強化された。例えば、オンラインで結ばれている複数の人のコメントや、モバイルデバイスのカメラで撮影した画像を図面上にリアルタイムに表示しながら、チャットのような感覚でコミュニケーションが行えるようになる。

また、『AutoCAD 2014』は仮想環境でも快適に利用できる。『AutoCAD2013』からシトリックス社の『XenApp』に対応し、『AutoCAD 2014』では新たに『XenDesktop』もサポート。WindowsXPからの移行を機会にユーザ企業の関心も高まっている。

さらにサブスクリプションに加入することで、より多くの特典が得られる。一つ目は、契約期間中に最新版へ無償でアップグレードできること。二つ目は、『Autodesk360』の活用範囲が広がること。ストレージ容量が5GBから25GBへ増量され、レンダリングやシミュレーションといった多彩なサービスを利用できる。特に『Autodesk 360 Rendering』は、光の反射などをリアルに再現したレンダリング画像を迅速に生成でき、その間、PC上でほかの作業を進められるので生産性アップに貢献するだろう。三つ目は、柔軟なライセンスを利用できること。旧バージョンと新バージョンの併用や会社と自宅の併用などが可能になる。そして四つ目は、Web経由で製品に関する技術サポートが受けられることである。

さらに有償のアドバンスサポートを追加で契約すると、電話やリモートアクセスによるインストールに関する問い合わせやトラブルシューティング、Webキャストによるオンラインセミナーなどが受けられるようになる。

最後にまとめとして、Windows XPのマイグレーションは、パートナー様にとってビジネスチャンスであり、オートデスク製品のアップグレードやPCのリプレース、さらにサブスクリプションやアドバンスサポートの提案を同時に行うことで売上アップに寄与すると強調した。

3Dプリンティングの活用でお客様のものづくりを変革

3Dプリンティングに関するセミナーでは、3Dデータを活用したデジタルファブリケーションを実現する手段として3Dプリンタを導入する企業が増えていると指摘。その理由の一つは、コストが安いこと。3Dプリンタの中には6万円程で購入できるものもある。また、通常のプリンタ同様にPCにつなげるだけで出力できるため、製造ノウハウも不要。さらに静音で安全性が高く、通常のオフィスの100Vの電源で使用できる。その一方でどんな形状にも対応できるといった優れた特徴がある。そのため、すでにさまざまな分野で効果的に活用されている。

例えば、医療分野では、ドイツの研究所が人工血管を作製した事例もある。自動車や航空機産業では、精密部品の試作品を3Dプリンタで作製し、試作品の製作コストや期間を大幅に削減することに成功している。同様に、シューズメーカーも3Dプリンタを用いた試作品づくりに着手し、これまで専任の技術者によって4週間かかっていたものをわずか1日で実現するなど、目に見える成果を上げている。

実際に3Dプリンティングを行うためには、3Dプリンタ用のSTLファイルを用意する必要があるが、『AutoCAD』などのオートデスク製品には、生成した3DデータをSTLファイル形式に保存できる機能が実装されているので、導入したその日から実行できる。

特に推奨製品は、『AutoCAD 2014』『AutoCAD Design Suite Premium2014』『AutoCAD Inventor LT Suite 2014』の3製品。このうち、『AutoCAD 2014』は、自由な発想で柔軟な形状作製が可能になる。

『AutoCAD Design Suite Premium2014』は、デザインを重視した3Dプリンティングに適している。また『AutoCADInventor LT Suite 2014』は、機械部品などの3Dプリンティングで優れた能力を発揮し、『AutoCAD LT』の2Dデータを再利用することもできる。

例えば、『AutoCAD 2014』で生成した3Dモデルをもとに、3Dプリンタで扇風機のパーツを作製し、それを組み合わせて試作品を製作することも可能だ。その結果、お客様のものづくりのコストや納期を大幅に短縮できる。同時にパートナ様のビジネス領域の拡大にもつながるため、上記の3製品を活用した3Dプリンティングの提案を積極的に行ってほしいとアピールした。