2015年1月28日発行

FY16 チャネルフレームワーク/ビジネスプランニング セミナーレポート

去る2014年12月、オートデスク本社にて、「FY16 チャネルフレームワーク/ビジネスプランニング セミナー」が開催された。オートデスク株式会社 代表取締役社長 Louis Grespan(ルイス・グレスパン)氏による挨拶を皮切りに、これまでの日本におけるチャネルビジネスの進捗説明が行われ、その後、オートデスクが挑戦する新しいビジネスモデルへの移行について説明された。その内容はこれまでのビジネスモデルとは、大きく異なり、時代の変化を告げる印象となった。

日本 チャネルビジネスの進捗について

オートデスク株式会社
チャネルセールス 部長
草谷 裕信氏

セミナーでは、Louis Grespan氏による挨拶のあと、チャネルセールス部長草谷 裕信氏による「日本 チャネルビジネスの進捗」について説明が始まった。

まず、四半期別売上高推移について、FY15のQ1~Q3で2ケタ成長を達成したとのこと。これはMaintenance SubscriptionがSubscription全体の売上げ成長を牽引したことと、Suite製品とAEC製品が継続的に高い成長率を達成したことで、各四半期で 堅実な成長率を達成できたことにつながったという。

2014年の前半は、Windows XPのサポート終了、そして消費税の増税を前にした駆け込み需要に沸いた。クライアントPCやワークステーションの入れ替えは、OSのみならず、アプリケーションの入れ替えにつながる。この機を逃さず、ご活躍されたパートナー様も多いのではないか。

草谷氏は、Q4の課題と取り組みとして「製造系製品の成長路線を維持・拡大」「FY15を通して好調なMaintenance Subscriptionの成長路線を維持・拡大」「アップグレード最後の半期。周知の再徹底と受注の最大限化」「Desktop Subscriptionビジネス拡大への準備」の4点をポイントに挙げた。FY15年間を通じてアップグレードとサブスクリプションを促進してきた結果、アップグレードビジネスおよびサブスクリプション契約の成長率は非常に高い。

近い将来、2014年がライセンスビジネスの分岐点だったと裏付けられる日が来るかもしれない。

新しいビジネスモデルへの移行について

テーマは、「新しいビジネスモデルへの移行」へと移り、APAC Mature チャネルセールス 本部長 坂間 充氏が登壇。昨年10月1日に米国で開催されたInvestor Dayで発表された、今後12-24か月をかけてサブスクリプションモデルに完全移行するという新たなビジネスモデルについての説明がなされた。

「エンドユーザー様のワークスタイルの変化にともない、我々も変化する必要があります」と坂間氏は話す。IT業界の動向としては、クラウドサービスやモバイルコンピューティングが当たり前の時代となり、データは所有する時代から、アクセスする時代へと変化している。エンドユーザー様が重要視する価値観も、資産コストから運用コストへと移りつつある。そのため、利用した分だけ課金されるビジネスモデルが今後の主流となることが予測されるのだ。

「オートデスクでは、これらのビジネスモデルをSubscriptionという形式で提供してきました。Subscriptionは、より優れたカスタマーエクスペリエンスを提供し、定期的に製品の機能強化を受けることで投資対効果を最大限に高めることができます。そして柔軟なライセンスオプションは、エンドユーザー様の利用環境に応じた無駄のない運用を可能にし、しかも資産ではなく、経費として計上できる運用形態は、コストの低減につながります」と坂間氏はメリットを強調する。

さらにパートナー様のメリットとしては、「新規顧客の開拓につながる」「乗数効果による売上げの拡大」「ビジネスの予測性と企業価値を向上」という点があるという。事実、外部の調査会社が北米の Desktop Subscriptionユーザーに調査を実施したところ、Desktop Subscriptionを購入したエンドユーザー様の56%が新規顧客であるという結果が報告されている。

今後、オートデスクは、3つのSubscription(Maintenance、Desktop、Cloud)に注力していく。この新たなビジネスの挑戦は、オートデスクよりもパートナー様の力によって成否が決まるといっても過言ではない。かつて、音楽業界が体験したように、CADビジネスも変革の時期にさしかかっている。パートナー様とともに新しい市場/産業へのビジネスの拡大を成功させたいと坂間氏は、締めくくった。

オートデスク株式会社
APAC Mature チャネルセールス 部長
坂間 充氏

これでいいのだ!耳よりセルアップ術 セミナーレポート

昨年の11月に行われたBP事業部主催セミナーの第2セッションでは、「3Dビジネスはじめませんか?」と題するセルアップセッションが行われた。技術営業本部 塩澤 豊氏は、これまでのCADビジネスは、技術の進化とともに大きく拡大してきたと話し、これから注目される分野について説明した。

「これまでは、2次元CADを業務に活用されているエンドユーザー様に3次元CADの活用提案を行うことで、パートナー様に大きなビジネスチャンスが生まれてきました。また、2次元CADビジネスの中でも、PCや大判プリンターなどをクロスセルすることで、パートナー様の関連機器ビジネスは拡大しています。技術の進歩により、3次元CADの活用は、今後ますます進むでしょう。そこで注力したいのは、3Dプリンターやスキャナーなどの関連機器の提案です。また、CADで作成した3Dデータの活用提案がパートナー様のビジネスを拡大します」と塩澤氏は話す。

オートデスクでは、早い段階で、3次元CADの活用提案を行ってきた。デジタルプロトタイプに代表される3次元モデルの活用は、エンドユーザー様の作業効率を高め、生産性の向上に大きく貢献している。今後は、3次元CADを中心とした関連ビジネスこそが、パートナー様のビジネスを飛躍させる鍵となる。

オートデスク株式会社
技術営業本部
塩澤 豊氏

セミナー会場では、3Dプリンターのデモが行われ、CADで設計された造形物のサンプルも展示された。