2015年1月28日発行

変化はビジネスを飛躍させるチャンス!ライセンスビジネスに乗り遅れるな!

オートデスクは、パッケージビジネスからサブスクリプションの販売に重点を置いたライセンスビジネスへ移行する。まずは新規製品の売上比率の高いAutoCAD LTの利用者をターゲットに据え、「Desktop Subscription」の拡販に注力する。その真意はどこにあるのか。またパートナー様にどのような利益をもたらすのか。AutoCAD/AutoCAD LTを中心にボリュームビジネスの責任者であるRama Tiwari氏に話を伺った。

市場の変化に敏感に対応しライセンスビジネスへシフト

Rama Tiwari
Director,Volume Sales and Strategy
Worldwide Sales and Services

オートデスクは、パッケージビジネスからライセンスビジネスへ大きく転換しつつある。その要因の一つは、ソフトウェアを取り巻く環境が変化し、App StoreやGoogle Playストアなどでのダウンロード購入が当たり前になったこと。21世紀以降に生まれた若い世代は、オンラインでソフトウェアをダウンロードすることに慣れているため、買いに行く手間や時間がかかるパッケージソフトの購入に抵抗を感じている人が多いことである。

二つ目の要因は、ビジネススタイルが変化したこと。従来は一つのプラットフォームですべての仕事をこなしていたが、現在は、社内ではデスクトップPC、外出先ではモバイルデバイスを利用するなど、一連の業務を異なるプラットフォームで行うケースが増えている。

このような市場の変化に対応することは、ソフトウェアベンダーにとって当然のことであり、その具体的な対応策として、オートデスクはライセンスビジネスへ大きく舵を切った。

幸い、オートデスクは、最新版のソフトウェアなどが入手できる「Maintenance Subscription」を長年販売してきたので、サブスクリプション型のライセンスビジネスに移行する基盤が既に整っていた。実際、オートデスク製品のワールドワイドの売上のうち、ほぼ半分をサブスクリプションのビジネスが占めている。今後は、この比率をさらに増やしていく。

「なぜ、そうするかというと、サブスクリプション型のビジネスを持っていない企業は、持っている企業に比べ、株価が明らかに低いのが現実です。すなわち、市場の変化に対応できない企業は、時代から取り残されてしまう可能性が高いのです」とRama Tiwari氏は語る。

Desktop Subscriptionがエンドユーザー様に大好評

これまでは、一つのソフトウェアを永続的に利用できる永久ライセンスを主に提供してきたが、これからは、必要なソフトウェアを必要な期間だけ安価に利用できる「Desktop Subscription」の販売に力を注ぐ。まずは、AutoCAD LTがメインの商材となる。

その理由は、オートデスク製品のうち最もユーザー数の多いのがAutoCAD LTだが、実はサブスクリプションに契約しているユーザーが最も少ないのもAutoCAD LTである。したがって、AutoCAD LTのサブスクリプション付加率を上げれば、オートデスク全体のサブスクリプションビジネスの比率を一気に拡大できる。

「特にDesktop Subscriptionは、AutoCAD LTの利用者に大変好評です。その第一の理由は、初期費用が安く済むこと。第二の理由は、ライセンスの増減が容易に行えることです。例えば、AutoCAD LTは建設系や製造系のお客様が大半を占め、プロジェクト単位でCADのオペレータを増減するケースが多いです。そのため、必要な人数分だけ最新版を利用できるDesktop Subscriptionは、まさに打ってつけのライセンス形態です」とRama Tiwari氏は語る。

また今後は、オートデスクが提供している各種クラウドサービスを契約期間中に利用できる「Cloud Service Subscription」も拡充していく計画だ。例えば、エンドユーザー様は、クラウド上のリソースを活用することで、ビジュアライゼーションやシミュレーションの処理時間が大幅に短縮し、ワークフロー全体の生産性を高めることができる。

過渡期は痛みを伴うが乗り越えれば売上は増える

パートナー様の中には、パッケージビジネスからライセンスビジネスへ移行すると、売上が減少するのではないかと危惧しているところもある。そのため、ライセンスビジネスが軌道に乗るまでの間は、オートデスクの契約パートナー様に対するインセンティブプログラムを改訂し、パートナー様の利益をある程度補う計画だ。

しかし、ライセンスビジネスへの移行は、パートナー様にとって決してマイナス要素ではない。「むしろ、ライセンスビジネスを継続することにより、最終的にはパートナー様の売上や利益がアップし、経営も安定します。したがって、目先のビジネスが縮小することにあまり囚われないでいただきたいです」とRama Tiwari氏は語る。

例えば、今はCDを購入する人はほとんどいない。なぜなら、1曲ずつ好きなものだけを低価格でダンロードできるようになったからだ。また、今はカメラのフィルムを買う人はほとんどいない。なぜなら、デジタルカメラに移行したからだ。

このように市場は常に大きく変化を遂げている。そのため、旧態依然としたビジネスモデルに固執した結果、今は存在していない企業も少なくない。

逆に、市場の変化に合わせて自社のビジネスモデルを変革すれば、新しい顧客を開拓するチャンスが広がる。

「パッケージビジネスからライセンスビジネスへ移行する過渡期は、一時的に痛みを伴うかもしれません。しかし、それを乗り超えれば、パートナー様の売上は間違いなくアップします。それを信じて、ぜひオートデスクについてきてください」とRama Tiwari氏は力強く語る。

実際、オートデスクは2002年にサブスクリプションのビジネスを開始したが、その翌年の売上は減少している。そのときに、一部のパートナー様は売上が下がることを危惧してオートデスクから離れていった。しかし現在、それらの企業はほとんどビジネスをしていないか、会社の規模が小さくなってしまった。逆に、オートデスクと一緒に苦労を乗り越えてくれたパートナー様は、オートデスク製品のビジネスが大きく伸長している。

「特にDesktop Subscriptionは、パッケージソフトウェアの販売に比べれば売上は低いです。だからといって積極的に販売しないでいると、Desktop Subscriptionのような費用対効果の高いサービスを求めているお客様は、それを販売している別のパートナー様へ流れてしまいます。そうならないように、オートデスクと一緒に新しいビジネスを成功させましょう!」とRama Tiwari氏は最後にパートナー様へ熱いメッセージを送った。