2015年3月28日発行

AutoCAD 2016/AutoCAD LT 2016
クラウドサービスと密接に連動しながら使いやすさを追求した新機能を実装

オートデスクは、最新版であるAutoCAD 2016/AutoCAD LT 2016を発表した。その特長は、クラウドサービスとシームレスに連動すること。さらに、「モダンでスマートな機能」「生産性の向上」「接続性のアップ」を開発コンセプトに掲げ、使いやすさを追求した新機能が随所に盛り込まれている。特にAutoCAD 2016は、最新のBIMを意識した新しい機能を提供することで、コーディネーションモデルの評価ワークフローに組み込むことができる。

A360との統合環境を実現モダンでスマートな最新機能

AutoCADは、エンドユーザーの要望を反映しながら、常に時代とともに進化を続けている。その集大成ともいえる、AutoCAD 2016/AutoCAD LT 2016の大きな特長の一つは、クラウドサービスのA360との統合環境を実現していることだ。

具体的には、A360との同期機能を強化し、Windowsのエクスプローラからの同期フォルダの操作や、タスクトレイからの同期制御が簡単に行えるようになった。AutoCAD 2016/AutoCAD LT 2016でカスタム設定を行った場合は、A360上で自動的に同期を取り、他のコンピュータを使ってAutoCAD 2016/AutoCAD LT 2016を起動したときも、同じ設定で利用できる。ワークスペースやCUIファイル、キーボードのショートカットなども正確に復元する。

また、AutoCAD 360とシームレスに連携し、設計フィード上でリアルタイムコラボレーションを実現する。A360 Renderingを活用すれば、負荷のかかる演算処理を強力なクラウド上のインフラで実行できる。例えば、照度や日照シミュレーション、インタラクティブパノラマといった機能に加え、バーチャルリアリティで利用するステレオパノラマといった最先端の機能を活用できる。ReCap 360と連携させれば、複数の写真から合成した3Dモデルを生成して、AutoCAD上にインポートして再利用することも可能だ。

AutoCAD 2016/AutoCAD LT 2016は、使いやすさを追求したさまざまな新機能を実装している。その開発コンセプトは、「モダンでスマートな機能」「生産性の向上」「接続性のアップ」だ。

例えば、「モダンでスマートな機能」として、ユーザーインタフェースを改良し、新たに「スタート」タブを設置してすぐに作業が行えるように配慮。ステータスバーのボタンは、Windowsのサイズに応じて自動的に2行で表示される。また、UIロックボタンを新設し、パレットやツールバーなどを一時的に固定化したり解除したりできるように工夫している。

グラフィックスの表現方法も改善し、線の太さ(実線)や曲線(円、円弧、楕円、楕円弧)が以前よりもなめらかに表示されるようになった。

AutoCAD 2016は、レンダリングエンジンを従来のNVIDIA mental rayからオートデスク製のRapitRTへ移行。これにより、レンダリングの演算時間に応じた品質指定が事前に行えるようになった。例えば、わずか10分間で行える「コーヒーブレイク品質」や、12時間かけてレンダリングする「オーバーナイト品質」があり、用途によって使い分けることができる。ちなみに、コーヒーブレイク品質でも十分高精細なので、急きょプレゼンを実施する際などに重宝する。

Aレンダリング時にはIBL(Image Based Lighting)を活用することが出来るので、光源を全周囲背景画像から取得できるようになった。これにより、いろいろな背景画像を駆使した表現力豊かな3Dモデルを容易に作成することが可能だ。

生産性と接続性をアップ。製造・建築分野で効果を発揮

AutoCAD 2016/AutoCAD LT 2016は、生産性を向上させるための細かな工夫も施されている。

例えば、一般的に図面の変更個所などを雲マークで囲んで強調する場合が多いが、AutoCAD 2016/AutoCAD LT 2016では、その雲マーク(短形状、ポリゴン、フリーハンドタイプ)の編集作業が以前よりも簡単に行えるようになった。また、DIM(寸法記入)コマンドを大幅に改良。マウスカーソルの下の図形を認識しながら寸法プレビューが行え、作図される寸法図形の画層も指定できる。さらに、コマンドプレビュー画面では、コマンドを実行した結果を即座にフィードバックする。

AutoCAD 2016/AutoCAD LT 2016は、ほかのアプリケーションとの接続性もアップしている。例えば、図面をPDFで出力する際に細かな品質指定などが行え、作成したPDF上でハイパーリンクの維持や文字の検索などが行えるようになった。

AutoCAD 2016は、Navisworksモデル(.nwd、.nwc)を取り込めるようになり、不透明度と色フェードによる表現の変更なども容易に行える。ただし、64ビットでハードウェア アクセラレーションが有効な場合のみサポートする。オートデスクのクラウドベースのBIMマネージメントサービスであるBIM 360 Glue(英語版)とのシームレスな連携も実現している。

AutoCAD 2016/AutoCAD LT 2016は、Windows 7/8/8.1(32ビット・64ビット版)のOSに対応。図面ファイルは、AutoCAD 2013から採用されている2013 ファイル形式(DWG/DXF)を継続し、旧バージョンとの互換性も確保している。

従来よりAutoCADは、製造分野や建築分野で幅広く活用されている。製造分野においては、より精緻な図面作成とデジタルプロトタイプ化の促進に貢献し、オートデスクのほとんどの製造系ソフトウェアとの統合を実現する。また、建築分野においては、2Dと3Dによるコンセプトデザインのアイデアの探求に役立ち、オートデスクのほとんどの建設系ソフトウェアと密接に連携しながら、BIMのパワーを最大限に引き出すことができる。

図面作成の2D機能に特化した、AutoCAD LTは、価格面でより手軽に導入できるので、中小規模の企業などで大きな需要が見込まれる。さまざまな特典を得られるSubscriptionやシームレスに連動するクラウドサービスと組み合わせて提案すれば、訴求力がさらにアップする。