2015年5月28日発行

オートデスクの新製品はサブスクリプションビジネスで売る!

オートデスクは2015年4月23日に認定販売パートナー向けのイベント「ONE TERM Extension - JAPAN」を開催。その中で、今後はSubscriptionビジネスモデルへ大きく変革すると発表し、来場者の理解と協力を要請した。キーワードは「THE TIME IS NOW」。今すぐSubscriptionビジネスをスタートさせ、将来の安定した収益基盤を確立しようと呼びかけた。その基調講演の主な内容を紹介する。

お客様の疑問に答えて適切な方向へ導いていく

オートデスク株式会社 APAC チャネルセールス本部長の坂間 充氏は、基調講演の中で「昨年、オートデスクは、1.すべてのお客様をサブスクライバー(Subscriptionの加入者)にする、2.新規提案の際にSubscriptionを追加する、3.Subscriptionの更新率を上げるという3つのメッセージをパートナー様に伝えた。今年も引き続き、Subscriptionビジネスに注力する」とアピールした。

特に今年は、Subscriptionビジネスへ移行する絶好のタイミングである。2016年1月31日にSuite製品を除く単体ソフトウェアの永久ライセンスの販売が終了するため、今後、単体ソフトウェアはDesktop Subscriptionが唯一の販売形態となるからだ。

Desktop Subscriptionは、「ソフトウェアの導入コストを低減できる」「最新のバージョンを利用できる」「ライセンスの増減やバージョンのアップ・ダウンに柔軟に対応できる」「さまざまなデバイスで利用できる」といった新たな付加価値をお客様にもたらす。

一方、販売パートナーは、Subscriptionビジネスへ移行することで、将来にわたる安定したビジネス基盤を確立できる。その潮流に乗り遅れないために、今すぐSubscriptionビジネスへの移行に取り組むべきである。特にパートナー様には、Subscriptionに関するお客様の不安や疑問を解消し、適切な方向へ導くサポートが期待される。

それを具体的に実現するために、坂間氏は3つの重要なポイントがあると指摘。1つ目は、「なぜ、Subscriptionなのか?」というお客様の疑問に答えること。例えば、ものづくりの分野では、トヨタのカンバン方式が永続的に続くわけではない。現在はグローバルなプラットフォームで部品を共通化する新たなものづくりが注目されている。一方、IT分野では、クラウドテクノロジーが台頭し,誰もが最新の技術を低コストで利用できるようになった。Subscriptionは、まさにそうした時代のニーズに合致したもの。その変化を受け入れなければ、おそらく勝ち残れない。この点をお客様にぜひ訴えていただきたい。

2つ目は、お客様に選択肢を提示して適切な方向へ導くこと。例えば、大きな変化を望んでいないお客様には、ネットワークライセンスに複数年のMaintenance Subscriptionを付加した提案を行う。変化する必要性は感じているが、できれば先延ばししたいというお客様には、永久ライセンスが終了する単体製品をSuite製品へステップアップする提案を行う。その際、複数年のCloud Service Subscriptionを付加する。

さらに、変化することに積極的なお客様には、複数年のDesktop Subscriptionを提案する。日本には、まだSubscriptionに加入していないお客様が約62万ユーザーもいる。その需要を喚起すれば、大きなビジネスに成長する。また、新しいものに好意的なユーザー層も少なからずいるので、新規の顧客開拓をする絶好のチャンスともいえる。

3つ目は、お客様が適切な方向へ進み出したら、きめ細かなサポートを継続していくこと。それにより、Subscriptionの更新率がアップし、安定したビジネス基盤が整う。

ソーシャルメディアを活用しs支援者を増やすことも重要

Autodesk inc. APAC フィールドマーケティング ディレクターのブペッシュ・ラール氏は、Subscriptionビジネスで成功するためには、Twitterなどのソーシャルメディアを効果的に活用することが重要だと指摘した。

「企業で意思決定している人は、80%をソーシャルメディアに依存しているといわれています。そこで自社にとって最適なソリューションを探しているのです。そのため、イベントや広告だけでは、十分なマーケティングを行うことはできません」とブペッシュ氏は語る。

例えば、新しいサブスクライバーを獲得したら、そのお客様と定期的にコンタクトを取る。最先端の情報などを提供しながら信頼関係を築き、Subscriptionビジネスの支援者になっていただく。その支援者が、ソーシャルメディアでSubscriptionのメリットなどを紹介してくれれば、それが口コミで広がり、最終的にパートナー様の売上アップにつながる。

しかし、そのためには投資も必要だ。例えば、パートナー様の社内で支援者を増やす責任者を決める。その責任者がソーシャルメディアで積極的に発言することで、自ずと支援者の輪が広がり、ビジネスチャンスが拡大する。

また、オートデスク株式会社 チャネルセールス部長の草谷 裕信氏は、「永久ライセンスの終了後は、Desktop Subscriptionがメイン商材になる。しかし、来年の1月に単体製品の永久ライセンスが終了してからSubscriptionビジネスへ移行を始めるようでは完全に出遅れてしまう事になる。今何をすべきか考え、プランニングとアクションを明確にして早急に取り組むことが重要」と語った。

さらに、Autodesk inc. ワールドワイドセールス&サービス シニアバイスプレジデントのスティーブ・ブラム氏は、「オートデスクは、Subscriptionビジネスでパートナー様やお客様を成功に導くオピニオンリーダーを目指しています。しかし、これは複数年にわたる長い旅路であり、いわばマラソンと同じです。永久ライセンスの終了やSubscriptionのディスカウントの終了など、途中のイベントでエネルギーを補充しながら、日本のパートナー様と一緒に、このマラソンにぜひとも勝利したいと思います」と力強く語った。