2015年7月28日発行
オートデスクはソフトウェアの販売方式を、従来のライセンス買取方式から、契約に応じて一定期間のライセンス使用権を販売するサブスクリプションビジネスモデルへ移行する。その中核となるのが「Desktop Subscription」と「Maintenance Subscription」だ。このビジネスモデルの移行は、エンドユーザー様やパートナー様にどのようなメリットをもたらすのだろうか?また、2016年2月から新しく提供される予定の「Network Subscription」についても簡単に紹介しよう。
これまで長い間、オートデスクはエンドユーザー様から「もっと柔軟に、もっと効率的にソフトウェアを利用したい」という要望を受けていた。この背景にあるのは、製品や建築物を設計し構築する方法の急速な変化がある。例えば、3次元CADのめざましい進化や、3Dスキャンによる点群データの実用化、オフショアショアリングによる多地点コラボレーションのニーズ、さらには積極的なクラウドサービスの活用などだ。エンドユーザー様の業務効率を飛躍的に高め、競争力を培うこれらの技術や機能をいちはやく活用するためには、より適切なソフトウェアを柔軟に提供する必要がある。
その要望に応える方法として、近い将来、オートデスクは、製品の販売方法をサブスクリプションモデルに移行するとアナウンスしている。
サブスクリプションモデルは、製品の管理や配置を簡単に行える特徴があり、さらに、使用する期間だけの投資で済むため、初期費用を抑えられる。例えば、プロジェクトに新しいツールを導入したり、ライセンスを追加するといったことが簡単に行えるのだ。
この移行の一環として、2016年1月31日をもって、ほとんどの単体製品とAutoCAD LT Suite製品の永久ライセンスの販売を終了し、期間限定ライセンスであるDesktop Subscription( 以下、DesktopSubs)のみを販売するようになる。
永久ライセンスに関する変更について
新しい販売方式の提案は、若干の混乱を伴うことがある。このところエンドユーザー様から「今もっている永久ライセンスも使えなくなるのか」「自分の製品は終了対象なのか」といった問い合わせがオートデスクに寄せられているとのことだ。
まず、永久ライセンスについては、今現在永久ライセンスを持っているエンドユーザー様、または、2016年1月31日までに永久ライセンスを購入したエンドユーザー様の場合は、引き続き永久ライセンスを使用することができる。Maintenance Subs(以下、M-Subs)付きの永久ライセンスを持っている場合は、Subscription が有効である限りソフトウェアを更新し、該当する特典を受けることができる。永久ライセンスの販売を終了する対象製品は、オートデスクのホームページに詳しく掲載されているので参照したい。
では、今後、パートナー様は、エンドユーザー様に対して、どのような提案をすべきなのか。その方法は3つある。
1.M-subsを契約する
現在、利用中の最新版ソフトウェアにM-subsを契約する。または、最新製品の永久ライセンスの購入時にM-subsを新たに契約することで、常に最新バージョンの製品が利用できるだけでなく、さまざまな特典を活用できる。
2. M-subsを更新する
すでにM-subsを契約しているのであれば、契約を更新し続けることで、これまでと変わらない特典活用ができるほか、今後更新される新しい機能やサービスを使うことができる。
3.Desktop Subsを検討する
利用する期間が決まっていたり、利用する人員に増減があるのであれば、Desktop Subsを提案したい。必要な期間の費用で済むDesktop Subsなら、初期費用を抑えつつ、新しいツールを導入したり、ユーザー数に合わせてライセンス数を増減するといったことが簡単に行える。
Q.Desktop Subsとは何ですか?
A.Desktop Subsは、ソフトウェアのライセンスを期間ベースで提供する購入オプションで、その期間は、3カ月、1年、2年、3年から選ぶことができます。プロジェクトベースの作業や臨時でスタッフを雇用するなど、さまざまな業務や予算上のニーズに柔軟に対応できるメリットがあります。Desktop Subsを購入したエンドユーザー様には、最新のソフトウェアと拡張機能の利用、ベーシックサポートなどの特典があり、特定のクラウドサービスの利用が含まれます。複数年のDesktop Subsは、購入時に全額前払いとなります。いずれの期間のDesktop Subsも、契約が満了する前に更新することで、継続してソフトウェアや特典を利用することができます。
Q.エンドユーザー様にとってのメリットは何ですか?
A.Desktop Subsは、実際のソフトウェアの使用者と、ライセンスの管理者の双方にメリットをもたらします。使用者にとっては、迅速なトラブルシューティングが可能な技術サポートで支援を受けつつ、最先端のテクノロジーを使うことで、競争力を維持することができます。また管理者にとっては、WEB上のライセンス管理ツールが提供されるので、管理業務に手間がかかりません。つまり、どの立場のエンドユーザー様にとっても、生産性の向上と時間の節約に役立つといえるでしょう。
期間限定ライセンスのネットワーク版である「Network Subscription(仮称、以下Network Subs)」を提供する予定だ。この「Network Subs」は、2016年2月1日以降に新しく提供されるライセンスで、期間を選択して使用できるネットワークライセンスとなる。現在、永久ライセンスをネットワーク版で使用しているエンドユーザー様に適し、永久ライセンスのネットワーク版にMaintenance Subscription(以下、M-subs)を契約した場合と同じように Subscription の特典を利用することができる。
Network Subsは、永久ライセンスで使用しているライセンスファイルテクノロジーと同じテクノロジーが活用される。そのため、対象製品のネットワークライセンスファイルをリクエストし、ライセンスサーバーで実行中の既存のライセンスファイルと結合できる。ライセンスファイルを結合することで、ネットワークに同時に接続できる最大ユーザー数までオートデスク製品を使用できるようになる。Network License Manager( NLM)ユーティリティは、Network Subsでも動作するので、永久ライセンスのネットワーク版と同様に、システム管理者やITマネージャが、現在の設定から最小限の変更でライセンスをすばやくセットアップ、配置、使用、管理することができる。
Network Subscriptionの特典