2016年11月28日発行

The Future of Making Things ~創造の未来~
ものづくりの未来に貢献するオートデスクの業界別コレクション

BP事業部は、2016年10月に大塚商会本社で「2016年下期 期待のマーケット&旬な商材セミナー」をパートナー様向けに開催。その中で、オートデスクは「The Future of Making Things ~創造の未来~」と題する講演を行い、製造業界や建設・土木/インフラ業界におけるものづくりの未来像を示した。そして、2016年8月1日にリリースした業界別コレクションが、ものづくりの未来を実現するための有効な製品群であるとアピールした。

最先端のものづくりに対応した製造業界向けコレクション

宮岡 鉄哉氏
オートデスク株式会社 インダストリーストラテジー&マーケティング 製造業ビジネス開発マネージャー

「The Future of Making Things~創造の未来~」では、オートデスク株式会社 インダストリーストラトジー&マーケティング 製造業ビジネス開発マネージャーの宮岡 鉄哉氏が最初に登壇し、製造業のものづくりの未来の有るべき姿について詳しく述べた。

これまで製造業の企業は、自社の優位性を高めるために、生産性の向上や、技術革新に力を注いできた。

しかし、インターネットの普及によってさまざまな製品がつながる現在では、3Dプリンターで小さな工場でも個々の顧客の要求に応じたものづくりが行えるようになった。それに伴い、ものづくりのプロセスと要件が大きく変化している。

製品コンセプトのフェーズでは、パーソナライズを意識することが重要になっている。設計フェーズでは、新しいアイデアを製品に反映させるために、さまざまな人とのコラボレーションが求められている。生産・製造フェーズでは、3Dプリンターなどを活用する柔軟性が必要となる。販売フェーズでは、どのような新しい顧客体験を提供できるかを常に意識することが重要になり、さらに製品の運用フェーズでは自社の製品がほかの製品とネットワークでつながることによって、どのようなサービス展開が可能になるのか考えておく必要がある。

ものづくりのプロセスを製品の仕様などを定義する「DESIGN」、製品を作り上げる「MAKE」、顧客が製品を活用する「USE」の3つのカテゴリーに分けて考えてみよう。「DESIGN」では、ジェネレイティブ・デザインが重要なキーワードになる。すなわち、コンピューターに設計仕様を入力すると、その条件を満たした設計案を作成できるのだ。「MAKE」のキーワードは、3Dプリンターを活用した産業向けアディティブ・マニュファクチャリングだ。素材を積層加工して何もない状態から製品を付加的に作り上げていくことが可能になる。そして「USE」では、IoTが重要なキーワードとなる。各製品はインターネットにつながることで新たな価値を創出する。

例えば、航空機メーカーのエアバス社は、キャビン内のパーテーションの設計・製造をオートデスクと協業して実施。クラウドを活用したジェネレーティブ・デザインや、3Dプリンターを活用したアディティブ・マニュファクチャリング技術を駆使して、パーテーションの強度を高めると同時に45%(30kg)の軽量化に成功。その分CO2の排出量や燃料費が削減できる。エアバス社の試算では、今後製造予定のA320型航空機の全キャビンにこの手法を適用すれば、毎年46.5万トンのCO2を削減できるという。

こうしたものづくりの未来を実現する具体的な製品群が、製造業界向けコレクション『Autodesk Product Design Collection 』である。その中には、Inventor Professional、AutoCAD Mechanical、AutoCAD Electrical、Navisworks Manageなど製造業のものづくりに必要なツールがすべて同梱されている。

これらのソフトウェアとクラウドサービスを活用することで、製品設計や機械設計、電気制御設計、工場レイアウト、ビジュアライゼーションなどを効率的に行える。

業界別コレクションの導入メリットは大きく三つある。第一に価格。多種多様なソフトウェアやサービスが従来のスイート製品よりもお得な価格で導入できること。第二に柔軟なライセンス形態。個人で使用するシングルユーザーとネットワークで使用するマルチユーザーのいずれかを選択でき、契約期間も3ヵ月~3年の間で選定できること。第三にシンプル化だ。自社の業界向けのコレクションさえ導入すれば、あらゆる業務に対応できるようになる。

BIM、CIMへの対応を実現する建設・土木業界向けコレクション

田村 弥生氏
オートデスク株式会社 技術営業本部

引き続き、オートデスク株式会社 技術営業本部の田村 弥生氏が登壇し、建設・土木/インフラ業界向けコレクション『Autodesk Architecture Engineering & ConstructionCollection( 以下AEC Collection)』の優位性について紹介した。

まず、建設・土木/インフラ業界におけるものづくりの未来では、現場で作業をしている関係者や、これまで個別に運用していたツールなどがすべてシームレスにつながる時代になると指摘。その手助けをするのが、オートデスクの使命であると述べた。

建設業界では、プロジェクトの鍵となる物理的かつ機能的な特徴を実際の建設の前にデジタル情報で精査するための統合化プロセスとして、BIM(Building Information Modeling)への対応が世界中で求められている。一方、土木/インフラ業界では、CIM(Construction Information Modeling)への対応が求められている。その基本的な目的は、BIMとほぼ同じである。特に日本では、建設業務の生産性を高めるために、国土交通省が公共土木工事にICTを全面的に活用するi-Construction構想を発表し、2020年からすべての案件で義務化されることになった。そのため、公共土木工事に携わる企業は、CIMを基調としたi-Constructionへの対応が急務となっている。

そして、BIMやCIM,i-Constructionを実現するための具体的な製品群としてオートデスクが8月から販売開始したのが、『Autodesk AEC Collection』である。その中には、土木/インフラ事業における調査、計画、設計、施工、運用管理などのすべてのプロセスで役立つソフトウェアとクラウドサービスが同梱されている。例えば、ReCap 360 Proを活用すれば、ドローンで空撮した写真から3次元の点群データを作成し、AutoCAD Civil 3Dに取り込むことで公共物の3次元設計が効率的に行えるようになる。

さらに田村氏は、2016年の公共事業のCIM試行案件を紹介し、48件中37件で『Autodesk AEC Collection』に同梱されているソフトウェアが活用されていると指摘。すでに実案件でおおいに役立っていることを強調した。